03 May 2008

イタリア映画祭2008『カラヴァッジョ』

Cinema_italiano20082008年5月2日(金)
有楽町朝日ホール

大型連休恒例のイタリア映画祭で日本初公開の新作『カラヴァッジョ』を観てきました。
とても見応えがあり、面白かった!(^^)

ミケランジェロ最期の地ポルト・エルコレに向かう小さな漁船の上で意識朦朧としながら波乱の生涯を回想するという作りは映画としては平凡かなぁ?とも思ったけれど、デレク・ジャーマン監督の作品のように偏ることなく、ミケランジェロを多くの人々から愛された人間味あふれる魅力的な人物として、それも比較的淡々と描いていて、私としては大満足の作品でした。(^^)

ま、確かに、ミケランジェロの作品を観れば、頭に血ののぼりやすい熱い人間だったろうことは解るのだけど、彼の起こした傷害事件や殺人事件がミケランジェロの類い希な才能や魅力に嫉妬した者たちの挑発によって起こったことがキチンと描かれていたし、それ以上に彼の人間的魅力や才能を認め擁護する人々が周囲に大勢いたことが、とても良く解る映画でした。

そして何より感心したのは、ミケランジェロの絵のモデルとなった映画の登場人物が、どこで探してきたの〜?と驚くほどソックリだったこと。(^^)
マルタ騎士団長のヴィニャクールを演じた役者さんも絵の中から出てきたのかと思う程でした。(^^)
そうそう、忘れてはいけない! ミケランジェロを演じた俳優さんも良く似ていたし、なかなかのハンサムでした〜♪

映画の中には沢山のカラヴァッジョ作品が出てくるのは勿論、素描や下絵を使わずモデルを使って制作する様子や、当時おこった社会的事件によってインスピレーションを得たことなどカラヴァッジョ研究や史実に則って描かれていた点も良かったです。
当時の街の様子や衣裳なども見応えがありました。
マルタ島のハチミツ色の建物も忠実に表現されていたのにも感心感心。(^^) 現地でロケしたのかなぁ?

この映画、当初、この秋にも一般公開されると発表されていましたが、没後400年に当たる2010年に延期になったそうです。
イタリア美術や西洋美術史好きだったら見逃すと絶対に後悔する映画だと思います♪
私も、もう一度みるつもりです。(^^)

  ◇  ◇  ◇

『カラヴァッジョ』(原題)

制作年:2006年
監督:アンジェロ・ロンゴーニ
脚本:ジャイムズ・H・カリントン、アンドレア・プルガトーリ
美術:ジャンティート・ブルキエッラーロ
衣裳:リア・フランチェスカ・モランディーニ
音楽:ルイス・バカロフ

カラヴァッジョ:アレッシオ・ボーニ
ミンニーティ:パオロ・ブリグリア
オノリオ・ロンギ:ベンヤミン・サドラー
コンスタンツァ・コロンナ:エレナ・ソフィア・リッチ
デル・モンテ枢機卿:ホルディ・モッラ
ベアトリーチェ・チェンチ:マリア・エレナ・ヴァンドーネ
ドゥ・ヴィニャクール:フランソワ・モンタギュ

【関連エントリー】
カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネの斬首》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
カラヴァッジョ《執筆する聖ヒエロニムス》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
宮下規久朗『カラヴァッジョへの旅』
ジョナサン・ハー『消えたカラヴァッジョ』

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13 February 2007

ジャン=ピエール・ジュネ『アメリ』

Amelie昨夜、シネフィル・イマジカでジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』を観ました。

主人公は、パリのカフェで働くアメリ、22歳。
引っ込み思案なアメリは、ひとり空想の世界を歩くのが大好き!
そんなアメリが繰り広げるオチャメで可愛い悪戯は、周りの人たちを幸せにします。

子供の頃のアメリの遊びは「あ~っ 私もやった!やった!」というものばかりで懐かしく、コミカルでレトロチックでおとぎ話のようで、ふんわ~りとした雰囲気がとてもステキな映画でした。(^^)


実は最近、製作途中の作品のことがドッカとのしかかっていて気持ちに余裕がなく時間にも追われてます。
読書や展覧会の記事も下書きのまま書庫で渋滞中。(^^;
たかが絵のために(されど絵なんですけど)、こんなことではダメですねぇ~

『アメリ』を観ていて、何かに縛られている自分に気がつきました。そう、自分の思うままに描けばよかったんだと!(^^)


   ◇  ◇  ◇

『アメリ』 Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ヨランド・モロー
2001年(フランス)

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22 January 2007

タルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』

Andrei_rublevアンドレイ・タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』を観ました。

またもやタルコフスキー監督にやられちゃいました。
う~ん、もう参りました。
素晴らしいです。

映画の最後の最後、大聖堂の鐘造りの責任者という大役を悪戦苦闘しながら果たし、緊張が途切れて泣き崩れた少年を抱きかかえたアンドレイ・ルブリョフは、

「もう泣くな、私と一緒に行こう。
私もまた絵を描く。 お前は鐘を造れ。」 

と言葉をかけます。

実は、10年にも及ぶ長い間、イコン画家アンドレイ・ルブリョフは筆を折り、無言の行を自らに課していたのです。

「ああ良かった。とうとうアンドレイが再び絵を描く気持ちになれた。本当に良かった。」とホッとしたと同時に、じわっと静かな感動がこみ上げて来たのでした。

すると、それまでずっと白黒の陰鬱だった画面が、突如、目も眩むような美しいカラー画面に変わり、アンドレイ・ルブリョフがトロイツェ・セルギエヴァ大修道院(ザゴルスク 現セルギーエフ・パサート)の中のトロツキー聖堂に残した《聖三位一体》(現在はトレチャコフ美術館所蔵)が、ゆっくりと語りかけるように映し出されるのです。
一見細切れで、何の脈絡もないように思えた数々のエピソードが、最後に私の中で繋がったのでした。


15世紀のロシア。
異教徒タタール人の侵略、飢饉、内乱、圧政といった様々な苦難の中、生きる人々。そして、イコン画家アンドレイ・ルブリョフ。
もしかしてタルコフスキー監督は、自身をアンドレイ・ルブリョフの姿に重ね合わせていたのかもと、ちらっと思ったのでした。


  ◇  ◇  ◇

『アンドレイ・ルブリョフ』 ANDREI RUBLYOV
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:アナトーリー・ソロニーツィン、イワン・ラピコフ、ニコライ・グリニコ
1967年(ソ連)

【画像】
アンドレイ・ルブリョフ(1360/1370~1430)
《聖三位一体》1420年代
板、テンペラ 142×114cm
トレチャコフ美術館(モスクワ、ロシア)

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08 September 2006

8月おぼえがき

◆本
ジョルジョ・ボンサンティ(野村幸弘/訳)『カラヴァッジョ』1995年、東京書籍
石川 和恵『マルタ島に魅せられて 地中海の小さな国』1997年、晶文社
紅山 雪夫『シチリア・南イタリアとマルタ』2001年、トラベルジャーナル
塩野 七生『ロードス島攻防記』1991年、新潮社(新潮文庫)
河合 隼雄他『鶴見和子の世界』』1999年、藤原書店
鶴見 和子/佐佐木 幸綱『『「われ」の発見―鶴見和子・対話まんだら 佐佐木幸綱の巻』2002年、藤原書店
中野 雄『丸山真男 音楽の対話』1999年、文藝春秋 (文春新書)
丸山 真男『日本の思想』1961年、岩波書店(岩波新書)
青柳 恵介『風の男 白洲次郎』2000年、新潮社(新潮文庫)

◆映画
ヤニック・ハストラップ《白くまになりたかった子ども》2002年、フランス/デンマーク
アンドレイ・タルコフスキー《僕の村は戦場だった》1962年、ソ連
アンドレイ・タルコフスキー《惑星ソラリス》1972年、ソ連
ウォルト・ディズニー《ファンタジア》》1940年、アメリカ

◆ダンス(映像)
アンジュラン・プレルジョカージュ《メディアの夢》2004年
アンジュラン・プレルジョカージュ《春の祭典》1993年
アンジュラン・プレルジョカージュ《MC14/22》2001年

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15 May 2006

タルコフスキー『サクリファイス』

The_sacrificeアンドレイ・タルコフスキー監督の映画を初めて観ました。
1986年に亡くなられた監督の遺作となった『サクリファイス』。

まず流れてきたのは、バッハ《マタイ受難曲》の「憐れみたまえ、わが神よ」。
そして、画面はレオナルド未完の《東方三博士の礼拝》。
そうなんです! もうこれだけで、私はタルコフスキーに夢中になりそうな予感がしました。(^^;

そして、まず「室内風景」とでも言っていいような美しい室内の映像にしびれました。
そのモノトーンの静謐な世界は、ホイッスラーの絵画を思い起こさせ、家具と人物との空間の取り方、椅子の置き方、人物の座らせ方の上手さに思わず唸ってしまったのでした。
ちょうど今、自分も椅子をテーマに作品を制作しているからかもしれないけれど、椅子が、この映画では結構重要な役割を果たしているように思えました。

その美しい映像だけでも充分すぎるほど魅力的な上に、言葉を話さない“子供”の存在と「はじめに言葉ありき」という『ヨハネ福音書』冒頭との関係や、無神論者であったはずの主人公が核戦争の勃発を知った後、神に自らを捧げるような行動をしたりと謎めいたものを多く含んだ作品に、私は最初の予感どおり、すっかり夢中になってしまいました。

それから、映画の中で、主人公が、誕生プレゼントにもらった美しいロシア・イコンの画集はアンドレイ・ルブリョフのイコンのようで、タルコフスキー監督は同名の映画を残しているので、こちらも見てみたいと思いました。

それから『惑星ソラリス』と『ストーカー』も見たい!(^^)


◇  ◇  ◇

『サクリファイス』 Offret / The Sacrifice
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:エルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド、アラン・エドワール
1986年(スウェーデン、フランス)

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