27 March 2007

グルック《オルフェオとエウリディーチェ》@新国立劇場

Orfeo2007年3月23日(金)
新国立劇場 中劇場

先週末、グルックの《オルフェオとエウリディーチェ》を観てきました。
もともとはオペラとして作られた作品が、バレエ&オペラとして、どんな風に生まれ変わるのか、けっこう楽しみに出かけたのでありますが・・・

残念ながら、結果は、どっちつかずの中途半端なものになってしまったのではないかしら?というのが率直な感想です。

物語はメインの舞台でダンサーを中心に進められてゆくのですが、サイドで歌っていた歌手が、メイン舞台の上に入ってくる場面が数回あったり、一階客席後方からダンサーのオルフェオと歌手のオルフェオが登場したりと、二人のオルフェオ、二人のエウリディーチェが、見るものの前に同時に現れるのですが、そうすることで一体何を現わそうとしているのか? 私にはつかみきれませんでした。

ダンサーたちは主に白っぽいコスチューム、歌手たちは黒いコスチュームだったのも、しっくりきませんでした。
私の固定概念かもしれないけれど、どうしても「陽と陰」と見てしまうのですよね・・・
そのせいなのかな? 歌手の方々を含め、音楽面のほうが少し力不足だったような気がしました。

でもでも、第2幕のオルフェオがエウリディーチェを冥界から連れ戻す場面は、緊張感あふれるダンスが舞台床に光によって現された迷路の上で繰り広げられ、造形的にもシンプルで美しく、振付けもとても見応えがあり、イイなぁと思いました。(^^)

振付けをしたウォルシュさんによると、今回の舞台は「モダンとコンテンポラリーをミックス」したダンスなのだそうですが、私には、そんなにコンテンポラリーしてるようには見えず、どちからといえば、かなりクラシックに近いものに見えました。
時々、キラリと光るイイ動きもあったので、それらがもう少し長く持続され「あ~目が離せな~い」って思えたならば、もっと楽しめたのかもしれません。
これは、振付けというよりも、ダンサーの魅力の問題なのかな?(^^;

   ◇  ◇  ◇

新国立劇場エメラルド・プロジェクトNo.2
《オルフェオとエウリディーチェ》

編曲/指揮:デヴィッド・ガルフォース
演出振付:ドミニク・ウォルシュ
音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック

【ダンサー】
エウリディーチェ:湯川麻美子
オルフェオ:中村 誠
アムール:丸尾孝子、グリゴリー・バリノフ、冨川祐樹

【歌手】
エウリディーチェ:安藤赴美子
オルフェオ:吉川健一
アムール:田上知穂

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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09 November 2006

パリ・シャトレ座 ラモー《レ・パラダン》

Les_paladins052006年11月8日(水)
オーチャードホール

《レ・パラダン》観てきました~♪
私が今年観たオペラの中で、間違いなくナンバー1です!(^^)
とにかく楽しかった~♪
耳も目も心もホッカホカ~♪
幸せ~♪
ホールから渋谷の駅へ向かう帰り道、気がついたら、私、スキップしてました。

だってだって、ラモーの音楽が「さぁ!あなたも一緒に踊りましょう!」って誘ってくる、そんな素晴しさだったんです。

Les_paladins01しかも舞台で繰り広げられたダンスは、私の大好きなコンテンポラリー・ダンスが中心。
頭でクルクルまわるダンス(ヒップホップって言うのかな?)や、お尻をフリフリするアフリカン・テイストな振り付けまで加わって、とても見応えがありました。

噂どおり男女2人づつのヌードダンサーも登場!
鍛えられた美しい肉体は、他のダンサーや歌手達の中で良いアクセントになっていました。
ま、プレルジョカージュのダンスを幾つか観てる私としては、あのくらいはどってことないかなぁ。(^^;うそ!

Les_paladins03衣裳は、とびっきりシンプルでカラフル。
まるでポップな絵本を開いたようでした。(決して悪い意味ではなくてです)

雲の上で、裸ん坊さんからバロックの衣裳を身につけた人までが、ポーンポーンと楽しげに跳ねる映像や、ウサギやライオン、フラミンゴ、チンパンジーなど沢山の動物の映像も登場し、それが舞台のダンサーや歌手と巧に重なり合って、それはもうファンタジーの世界♪
選び抜かれた上質のおもちゃの箱をひっくり返したようでした。(^^)

Les_paladins04クリスティさんの指揮もステキでした。その手の動きの美しいこと。
そのクリスティさんに率いられたレザール・フロリサンの響きも、とても瀟洒で優雅。
心ゆくまで堪能しました。
それにしても、チロリロリン♪ポロポロリン♪と響いてくる音は何だったのかな?
とても心地よくてフワ~ンと天にも昇る気分でした。

Les_paladins02また、歌手も粒揃いで、歌ばかりでなく踊りも上手いのには驚きました。
アルジ役のドゥスラックさんなんて、ダンサーと見紛うほど手足が長くてスタイル抜群!
そうそう、ソリストばかりではありません、合唱のメンバーも楽しい踊りを披露してくれましたよ。

そして、昨夜は楽日だったからだと思うのですが、終演後のカーテンコールも華やかでした。
天井からトリコロール・カラーの沢山のリボンが垂れ下がり、全公演を終えた出演者やスタッフを労っていました。
ヒップホップ・ダンサーはノリノリの踊りを披露してくれ、客席からは手拍子も沸き起こりました。

が、しかし!
すご~く盛り上がっていたのは舞台の上だけで、客席は、ちょっと醒めた感じがしなくも無かったのも事実です。(^^;
その一つの理由に客席が半分くらいしか埋まってなかったことがあると思いました。
どうしてなのでしょう?
こんなに素敵な舞台なのに勿体ない。

多分チケットの価格が高かったせいもあるのかなと思います。
実は、私も公演直前まで悩んで悩んで悩んだ末に、何とか安いほうから2番目のチケットを手に入れました。
興行主は、こんなに楽しくて幸せな気持ちになれる素晴らしい公演を少しでも多くの人に見てもらいたいとは思わないのかな?半分空席にしておいても採算がとれるのなら、もう少し一枚一枚のチケットの価格を安くして欲しいな。もう少しお手軽な価格だったら観たかったという人を、私は何人も知ってます。

そういえば、以前から子供のためのクラシック・コンサートを支援している財団法人ソニー音楽芸術振興会から、何度も《レ・パラダン》のダンス・ワークショップや小学生から高校生なら35,000円のS席を5,000円で入手できるというダイレクト・メールが来ていたのを思い出しました。
こういった企画は大いに歓迎したいですね。

そして、今回のような公演ならば、クラシック音楽やバレエ・ダンスは初めてという人にも、恐らく抵抗なく観てもらえそうなので、もっともっと広い範囲に情報が行き渡る手はないものかなぁと、つくづく思った夜でした。

   ◇  ◇  ◇

《レ・パラダン Les Paladins (遍歴騎士)》
作曲:ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764)

指揮:ウィリアム・クリスティ
演出/舞台美術/ビデオ:ジョゼ・モンタルヴォ
振付:ジョゼ・モンタルヴォ/ドミニク・エルヴュ

アティス:トピ・レティプ(テノール)
アルジ:ステファニ・ドゥスラック(メゾ・ソプラノ)
ネリーヌ: アンナ・バヨディ(ソプラノ)
妖精マント:フランソワ・ピオリーノ(テノール)
オルカン:ジョアオ・フェルナンデス(バリトン)
アンセルム:ルネ・シレール(バス)

管弦楽/合唱:レザール・フロリサン
ダンサー: クレテイユ&ヴァル・ドク・マルヌ国立振付センター/モンタルヴォ・エルヴュ・カンパニー

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