09 July 2013

大野和士&新日フィル@すみだトリフォニーホール

Nhp07062013年7月6日(土)
すみだトリフォニーホール

指揮:大野和士
新日本フィルハーモニー交響楽団

シャリーノ:夜の肖像
ツィンマーマン:ユビュ王の晩餐のための音楽
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(ノーヴァク版、1954)

   ◇  ◇  ◇

大野さんの演奏を聴くのは2011年1月の新国立劇場での《トリスタンとイゾルデ》以来なので2年半ぶり。そういえば、その直後に予定されていた東フィル100周年を記念する演奏会が、大野さんの頚椎の不調で指揮者交代になりガッカリしたのを思い出しました。
もうすっかり回復されたのかな?
今回、久しぶりに大野さんの紡ぎだす音楽を堪能することができ嬉しいかぎり♪

さて、マオカラーのスーツで登場した大野さん。一曲目はシャリーノの「夜の肖像」です。
現代音楽を得意とされている大野さんらしい選曲で、もちろん私は初めて聴きました。日本初演ですからね〜
とても難しそうな曲でしたが、精度の高い演奏で、聴いている私は楽しかったです。
シャリーノ、もっと聴きたくなりました。

つづいて二曲目はツィンマーマンの「ユビュ王の晩餐のための音楽」。切ったり貼ったり重ねたり、コラージュのような作品。聴き覚えのある曲が沢山でてきて、おもちゃ箱ならぬ整理のできてないCDラックをひっくり返しちゃったような曲でした。
とても面白かったです♪

休憩をはさんで後半はブルックナーの7番。
前半に演奏された二曲が、とても斬新だったものだから、もうお馴染みのブルックナーは、すっかり安心しきって聴いてしまい、スルスル~と心地よく身体の中に入ってきて、またスルスル~と抜けて行ってしまった感じでした。
でも、歌うところは歌い、押さえるべきところは押さえた模範的な演奏だったので、長大な曲でしたが上手くまとまっていたと感じました。

ところで、2015年から都響の音楽監督に就任されることになった大野さん、オペラや現代音楽も沢山演奏してくれることを期待してます♪

【関連エントリ】
ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》@新国立劇場(2011/01/11)
大野和士&リヨン@東京オペラシティ(2009/11/11)

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24 June 2013

ダニエル・ハーディング&新日フィル@すみだトリフォニーホール

Njp06222013年6月22日(土)
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

マーラー:交響曲第6番イ短調《悲劇的》

   ◇  ◇  ◇

久しぶりのコンサートはマーラーの6番。
しかも指揮者はダニエル・ハーディング!
否が応でも期待は高まる~♪

思えば2008年2月にもハーディング&東フィルの組み合わせでマーラー6番を聴いているのだけれど、今回の演奏は、その時とは随分違ったものでした。

1楽章は奇を衒うようなところのない安定したテンポで進み、どこか都会的でシャキンと洗練された印象。オケはしっかりとハーディングの指揮についてゆき、ヒヤヒヤさせられる場面も、ほとんどありませんでした。

ところが、2、3楽章になると、アルプスの風景が目に浮かび、まるで夏の高原でまどろんでいるような、のどか~な雰囲気に。ゆったりとした気分で音楽に身を委ねてしまいました。

そして4楽章で、また一転。今度はググッと緊張感が高まりました。
さまざまなパーカッションが登場し、見応え聴きごたえたっぷり。注目のハンマー係の打楽器奏者さんはカウベルを鳴らしに舞台裏に引っ込んだり戻ってきたりと大忙しのご様子でした。

最後列のコントラバス奏者お二人は舞台からはみ出して袖のドアに身体が半分隠れてしまうほど大編成のオケは、もう迫力満点!
とっても楽しかった~♪

11月のマーラー7番も聴きたい!

【関連エントリ】
ダニエル・ハーディング&東フィル@サントリーホール(2008/02/21)

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23 February 2013

マルク・ミンコフスキ&ルーヴル@東京オペラシティ

Marc_minkowski2013年2月22日(金)
東京オペラシティ・コンサートホール

指揮:マルク・ミンコフスキ
レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル

グルック:歌劇《アウリスのイフィゲニア》序曲(ワーグナー編曲版)
シューベルト:交響曲第7番ロ短調D759《未完成》
 アンコール シューベルト:交響曲第3番ニ長調D200より第4楽章
モーツァルト:ミサ曲ハ短調K427
 アンコール:同上より「クレド」

   ◇  ◇  ◇

楽しかった〜♪
最近、重苦しい出来事や心配ごとが何かと多い世の中だけど、こんなステキな音楽会に、こうして足を運べる私って幸せ、ホントありがたいことだなって、つくづく思いました。

当初予定されていたプログラムに追加されたグルックの《アウリスのイフィゲニア》序曲でコンサート開幕♪
うんうん、そうそう、この音、この響き♪ これぞミンコフスキ&レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブル♪
今回、また聴くことができて、とっても嬉しい♪

シューベルトの《未完成》は久しぶりに聴いたけれど、冒頭、クラリネットのソロが美しくて、いきなりキュッと胸を射抜かれてしまいました。心地よいテンポで進んでゆく、どこか都会的な洗練されたシューベルトでした。
そして、なんと、その後すぐにシューベルトをアンコール演奏してくださったのです。
その際、ミンコフスキさんが曲名を紹介してくださったのですが「シューベルト、シンフォニー、サン」
さん? cinq? 5?
ミンコフスキさん、ちょっと心配になったのか、もう一度念を押して「trois!」
はい、シューベルトの3番でした♪ 日本語ミックスだったのですね。
軽快で明るい清々しい音楽を身体一杯で感じられる演奏でした。

さて、後半はモーツァルトのミサ曲。
2009年初来日の演奏会で聴いたモーツァルトがとても新鮮で素晴らしかったので、否が応でも期待は高まります。
そして、その期待に違わぬ珠玉の演奏でした。
美しすぎて、まるで天上の花園を歩いているようでした♪
わずか10人のボーカル・アンサンブルによって歌われたのですが、ボリュームといいバランスといい、磨きあげられた演奏を聴かせていただきました。

終演後、相変わらず外は凍てつく寒さでしたが、心はポッカポカ。
いつも聴いてる在京のオケではなかなか得られない、ヨーロッパのエスプリを味わえたステキな夜でした♪

そうそう、忘れてはいけない。今回もミンコフスキさんの変わらぬ華麗な指揮姿も堪能できました♪

【関連エントリ】
マルク・ミンコフスキ&オーケストラ・アンサンブル金沢@サントリーホール(2012/07/27)
マルク・ミンコフスキ&ルーヴル@東京オペラシティ(2009/11/05)

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13 December 2012

クリスティアン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール

Zimerman20122012年12月12日(水)
すみだトリフォニーホール

ドビュッシー:《版画》より
 1.パゴダ(塔)
 2.グラナダの夕べ
 3.雨の庭
ドビュッシー:前奏曲集第1巻より
 2.帆(ヴェール)
 12.ミンストレル
 6.雪の上の足あと
 8.亜麻色の髪の乙女
 10.沈める寺
 7.西風の見たもの
シマノフスキ:9つの前奏曲作品1より
 第1番、第2番、第8番
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調op.58

   ◇  ◇  ◇

一音一音を慈しむように鍵盤をはじく指、すうっと薫るように湧き上がる響き、やわらかに重なりあう和音。
このうえなく美しいドビュッシーでした♪

ツィメルマンの弾くドビュッシーが聴いてみたい。
チラシを見かけた時からとても気になり、発売と同時に迷うことなく入手したチケットでしたが、その期待に違わぬ素晴らしい演奏でした。
悪戯に抒情的になりすぎることなく、かといって叙事に偏っているわけでもない絶妙なバランスが心地よく、改めて言うまでもありませんが、安心して聴いていられる完璧なテクニックと作曲家や作品と真摯に向きあう姿は感動的でした。
わがままですが、もっとたくさんドビュッシーが聴きたかった。
チケット発売当初はオール・ドビュッシー・プログラムだったのに~ 残念!

休憩をはさみ後半はシマノフスキの前奏曲から始まりました。
親しみやすい旋律の小品3曲は、初めて聴く曲でした。静かに耳を傾けていると自然に身体にしみこんでくるようでした。

そして最後はショパンのソナタ3番。
そうだな~ 一言で言えば、いぶし銀のショパン♪
甘ったるいロマンティック一直線の演奏ではなく、ビターチョコレートのような、大人にならないと本当の美味しさはわからない、そんなショパンでした。

演奏終了後、久しぶりに感じたこの清々しさはなんだろう?
ドビュッシーだけでなく、シマノフスキやショパンも聴けて、やっぱり良かった~と思いを改めました。

会場は観客で埋め尽くされていたわけではありませんでしたが(60%くらいか?)盛大な拍手でいっぱいに。
スタンディングオベーションもみられました。
ツィメルマンのチケットは値段も高く、入手が困難というイメージがあって、実は、ここ暫く足を運ぶことをためらっていましたが、これを機に、また続けて聴いてゆきたいと思いました。

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09 December 2012

ダニエル・ハーディング&新日フィル@すみだトリフォニーホール

2012年12月8日(土)
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
ヴァイオリン:崔文洙(チェ・ムンス)
新日本フィルハーモニー交響楽団

ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調op.77
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調op.93

崔さんによるアンコール
パガニーニ:《うつろな心》の主題による序奏と変奏曲よりop.38

   ◇  ◇  ◇

先日の《春の祭典》の感動から醒めやらぬ休日の午後、再びハーディング&新日フィルのコンサートに行ってきました。
プログラムはショスタコーヴィチ2曲。

最初のヴァイオリン協奏曲ではソロ・コンサートマスターの崔さん奏でるヴァイオリンの美しく研ぎすまされた音がキュゥゥゥ〜と胸にせまってきて時に辛くなるほどでした。
でも、濁りのない精錬された響きで演奏されると沈痛な音楽も快感になるんだとも思いました。
指揮をするハーディングさんと崔さんの動きがバランスよくシンクロしていたのも面白かったな。
渾身の演奏に、お二人とも満足されたようで、演奏終了後は、まるで互いの健闘を讃えあうスポーツ選手みたいに肩を組みながら何度も舞台袖と舞台を行ったり来たりしていたのが微笑ましかったです♪

そして、熱烈な拍手に応えて演奏された崔さんのアンコール曲が、これまた凄い超絶技巧の曲♪
思わず息をのんで聴き入ってしまい、疲れた〜
この後メインの10番があるというのに〜

さてさて休憩後の交響曲第10番。
ヴァイオリン協奏曲に勝るとも劣らない沈痛なメロディーで始まりました。
都会的で洗練された曲づくりは、スマートでカッコイイ指揮者そのもので、私が今まで抱いていたショスタコーヴィチの印象がちょっと変わりました。
内省的なその音楽は心象風景のようで目を閉じて聴き入っていると頭の中にイメージがどんどん沸き上がって来ます。
色や形が次々に浮かんでは消え、また現れる。
ううん、絵が描けそう。
こんな経験は初めてだったので自分でも驚き!
決してわくわく楽しくなるような曲ではなかったけど、満足感で一杯になった心を携えて、師走の人混みもものともせず帰宅しました。

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29 November 2012

ダニエル・ハーディング&新日フィル@サントリーホール

Harding012012年11月28日(水)
サントリーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調op.36  
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》

   ◇  ◇  ◇

《春の祭典》すごかった~
ハーディングかっこよすぎ~

弾けんばかりの躍動感、そして良い意味での緊張感。
指揮台の上のハーディングの後ろ姿を見ていたら、過去に観たベジャールやプレルジョカージュ振付の《春の祭典》の舞台が甦り、思わず私も狂喜乱舞しそうになりました♪

次はどうでるのか?
そう来たか~
うううん、一瞬たりとも聴きのがせないぞ!

ホール一杯になった刺激的な音の響き。
その一方で、カサッともコトリとも音のしない曲の間。
あの大ホールが満席になっているとは思えない不気味なほどの静寂。
オケも指揮者も、そして聴衆までもが、ものすごい集中力で一つになった夜でした。
長く記憶に残る演奏になりそうです。

そうだ、忘れてはいけない。
前半のチャイコフスキーも最終楽章に向けてドンドン上昇してゆくような、いい演奏でした。
1楽章は正直ちょっと退屈だったけれど、ゆったりとした2楽章では、ほんわか幸せな気分で音に包まれていました。
そして、軽快な3楽章から炸裂の第4楽章へ。
うとうとしていた人達も、みんな飛び起きるような盛り上がりようでした♪

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27 July 2012

マルク・ミンコフスキ&オーケストラ・アンサンブル金沢@サントリーホール

Oek2012年7月26日(木)
サントリーホール

指揮:マルク・ミンコフスキ
ピアノ:ギョーム・ヴァンサン、田島睦子
オーケストラ・アンサンブル金沢

ヴァイル:交響曲第2番
プーランク: 2台のピアノのための協奏曲ニ短調
ラヴェル:マ・メール・ロワ(バレエ版)

   ◇  ◇  ◇

あれはもうかれこれ3年前のこと。レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブルを率いて来日したミンコフスキさんの紡ぎだす音楽の美しさ楽しさといったら他に比較するものがないほどでした。
そのミンコフスキさんが、今回初めて日本のオーケストラを振るという。それも、常々クオリティが高いと聞き及んではいたけれど、まだ一度も、その演奏に接したことのなかったオーケストラ・アンサンブル金沢との共演。
聴いてみたい!
一体どんなコンサートになるのだろう?

そんな訳で、陽が落ちても一向に気温の下がらないベトベトむしむしの猛暑の中、サントリーホールで爽やか~な一夜を過ごしてまいりました。

定刻になりオケのチューニングがすむと、髭をたくわえ一段と貫禄のましたミンコフスキさんが舞台袖から登場♪
クマさんのような体型なのに、とっても軽快でエレガントな身のこなしは以前のまま。身体の中から留まることなく湧き上がってくる音楽の喜びが、こちらにも伝わってくるステキな指揮でした。

さて、一曲目のクルト・ヴァイル(1900~1950)の交響曲は初めて聴く曲。
響きもきれいで耳触りも悪くはなかったのだけれど、その分、特に印象に残るものがなく何となく終わってしまった感じ。
代表作とされる《三文オペラ》はどうだったっけ?と思いだそうにも思い出せず。ダメだな~私。

二曲目はフランシス・プーランク(1899~1963)の2台のピアノのための協奏曲。
プーランクの作品の中でも特に好きな曲。かつてパスカル・ロジェの録音など繰り返し聴いた時期もあったので、随分と久しぶりに聴いたプーランクはとても楽しかった♪
あの独特なリズム感とエキゾティックな響き、ミンコフスキさんはバロックや古典だけでなく、こういう粋で小洒落た現代音楽もお手のものなのですね~さすが~と聴き惚れてしまいました。
2楽章のモーツァルトの引用部分も面白いです。
聴きながら映画《アマデウス》を思い出したりしてました。(最近、音楽を聴きながらの雑念が多いなぁ)
若い二人のピアニストも大健闘。ところどころオケに比べてピアノがやや力不足かな~と思う部分もあったけど、今回聴かせてくれたキラリと光る魅力を、今後、更に磨いていかれることでしょう。

そして、休憩をはさんで演奏されたモーリス・ラヴェル(1875~1937)のマ・メール・ロアも楽しかった♪
ラヴェルも大好き!
もうお馴染みのメロディなのだけど、色彩感あふれる何とも心地よい音の流れに身をゆだねられる喜び。
なんて贅沢なんだろう。
暑さ疲れが吹き飛ぶ爽快な演奏でした♪

来春のミンコフスキ&レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル・グルノーブルの来日公演も楽しみ!

【関連エントリ】
マルク・ミンコフスキ&ルーヴル@東京オペラシティ(2009/11/05)

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08 July 2012

ダニエル・ハーディング&新日フィル@すみだトリフォニーホール

Njp12772012年7月7日(土)
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
新日本フィルハーモニー交響楽団

シューベルト:交響曲第7(8)番ロ短調《未完成》 D.759
R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》op.40

   ◇  ◇  ◇

昨日、生憎の雨になってしまった七夕の午後、すみだトリフォニーホールへ行って来ました♪

一曲目、シューベルトの《未完成》は、とても繊細で清廉な演奏でした。ハーディングさんの指揮は端正で、オケは落ち着いた響きでそれに応えていました。私も美しいメロディーラインにゆったりと身を任せることができ、あまりに有名なシューベルトの曲を、改めて新鮮な気持ちで味わうことができました。
シューベルト。歌曲やピアノ曲ばかりでなく、これからは交響曲も聴こうかな。

休憩後に演奏された二曲目のR.シュトラウスの《英雄の生涯》では、一転、華やかで輝くような響きが、いっぱいに広がりました。
ハーディングさんの指揮に敏感について行くオケの緊張の途切れることの無い熱い演奏に大満足!
コンサートマスターのチェさんのソロも素晴らしく、たっぷりと聴かせていただきました。チェさんのソロ演奏中、ハーティングさんも指揮棒を降ろし聴き入っているようでした。

ところで「英雄」って誰かと思ったら、R.シュトラウス自身のことだとか! なるほど、それで聞き覚えのあるメロディが登場したのねと納得しました。

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08 May 2012

ダニエル・ハーディング&新日フィル@すみだトリフォニーホール

Njp402012年5月7日(月)
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
新日本フィルハーモニー交響楽団

R.シュトラウス:組曲《町人貴族》op.60
ワーグナー(モットル編):女声のための5つの詩《ヴェーゼンドンク歌曲集》op.91
マーラー:交響曲第1番ニ長調《巨人》

   ◇  ◇  ◇

昨夜、ハーディングの指揮でマーラーの交響曲第1番を聴いて来ました♪
新日本フィル創立40年を記念する演奏会だったこともあって会場のトリフォニーホールは何となくいつもより華やいだ雰囲気。
そんな祝賀気分の中、その期待に違わぬステキな一夜をすごすことができました。

マーラー1番では、ハーディングの丁寧に音を紡ぎ出し織り重ねてゆくような曲作りにとても好感が持て、ハーディングってもっとアグレッシブな指揮をするのかと勝手に思いこんでいたのだけど、全然そんなことはなく、とても正統派で、終始、心地よく音楽に身をゆだねることができました。

一曲目、リヒャルト・シュトラウスの組曲《町人貴族》は喜劇の付随音楽から抜粋されたもので、歌こそないけれどオペラを聴いているような感じでした。
途中、あれ?っと思ったらリュリの曲がはさみ込まれていたり、30人強の小さなオケにピアノが加わる編成も面白く、珍しい曲が聴けて良かったです。

二曲目のワーグナー《ヴェーゼンドンク歌曲集》は、何てったって藤村さんが素晴らしかったです♪
決して大声を張り上げているわけではなく、むしろしっとりとまろやかなのに3階後方の私の座席までキッチリ届く歌声には鼓膜を圧迫するような強さもあり、凄いなと思いました。

そして休憩後のマーラーは前述の通り、ハーディングの堅実な指揮とそれにしっかりと応える新日フィルのメンバーが一丸となった、とても素晴らしい演奏でした。

ハーディングで、またマーラー聴きたい♪

【関連エントリ】
ダニエル・ハーディング&東フィル@サントリーホール(2008/02/15)
ダニエル・ハーディング&新日フィル@すみだトリフォニーホール(2009/03/06)

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26 June 2009

チョン・ミョンフン&東フィル@東京オペラシティ

2009年6月25日(木)
東京オペラシティ・コンサートホール

ヴェルディ《椿姫》より(コンサートスタイル・オペラ)

指揮:チョン・ミョンフン
ヴィオレッタ:マリア・ルイジア・ボルシ
アルフレード:ダニール・シュトーダ
ジェルモン:ヴァシリー・ゲレッロ
フローラ:渡辺玲美
合唱:新国立劇場合唱団
東京フィルハーモニー交響楽団

   ◇  ◇  ◇

念願だったチョン・ミョンフンのオペラを初体験♪
すごく良かった~♪
時間が許せば、サントリーかオーチャードでもう一度聴きたいくらい!

とにかく東フィルが素晴らしかった♪
弦の響きの何と美しいこと。
第3幕の前奏曲なんて、もうたまりませんでした。
4月にレスピーギで爆音を放っていた同じオケとは到底思えないです。(^^;;;
指揮者で、こんなにも変わるものなのですね。
さすがチョン・ミョンフン!やっぱりスゴイ!カッコイイ♪

そうそう!合唱がこれまた上手いんだなぁ。
きっと、東フィルにとっても新国立劇場合唱団にとっても《椿姫》は、お手のものなのでしょうね。(^^)

ヴィオレッタ役のボルシさんは、まろやかな中低音と透明感のある強い響きの高音を備えていて、曲が進むにつれて、どんどんと調子を上げていきました。
第3幕では、それまでのワインレッドのタフタのドレスから、チャコールグレーのシンプルなドレスに着替えて登場。
ステキなヴィオレッタでした。(^^)

ジェルモン役のゲレッロさんの余裕のある歌にも安心して耳を傾けられたし、アルフレード役のシュトーダさんも役に合った若々しさのある歌でした。

久しぶりにコンサートスタイルのオペラを聴いたけど、演出にあれこれ目を惑わされることなく音楽に集中できるし、指揮者やオケの演奏の様子が良く解って、思いのほか楽しかったです。(^^)
チョンさまの譜面台には一応スコアが乗っていたけど最初のページが開かれたままで一度も見ることはなかったのも解っちゃいました。もう全部頭に入っているのですね。うううむ、スゴイ。

すっかりソリストに任せて棒をおろしているチョンさま、ヴィオレッタの思いを代弁するかのように感情移入するチョンさま、自らソリストに拍手をおくってしまうチョンさま、そんな指揮姿を見られただけでも満足でした。

終演後の客席は、スタンディング・オベーションも見られるほどの熱い拍手で一杯に。
私は誰よりもマエストロ・チョンに拍手を贈りたかったのに、なかなか登場してくれな~い。
歓声に応えるソリスト達の後ろ側を隠れるように、やっと現れたかと思ったら、コンサート・マスターやオケの首席奏者を讃えるばかりで、とうとう自ら最前列に出ることはありませんでした。
マエストロのそんな姿も本当にステキ♪

ああ、兎に角、良い演奏を聴くと、元気が湧いてくる♪

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