08 May 2008

B.A.ツィンマーマン《軍人たち》@新国立劇場

Die_soldaten2008年5月7日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、《軍人たち》を観てきました。

1999年に若杉さん&東京交響楽団でヴォーカルシンフォニー版を聴いているのに、正直あまりよく覚えてないという、どうしようもない私(^^;なのだけど、今回は、大規模オーケストラに加えて特設スピーカーやジャズコンボまで入る、そう簡単には上演できない20世紀傑作オペラの”日本初演”と聞いて、すご~く楽しみに出かけたのでありました。(^^)

B.A.ツィンマーマンの音楽も楽しめたし、演奏も良かったし、歌手のみなさんは歌も演技も、それはそれは見事でした。
演出は、元々はドレースデン国立歌劇場で初演されたプロダクションを借りてきたのだそうですが、さすが2005年ザルツブルク音楽祭の《椿姫》を手がけたウィリー・デッカーさんだなぁと感心させられるところが一杯。
あっという間の2時間半でした。
そして、新国立劇場で、こういう舞台が観られただけでも、すごく画期的!と思ったは思ったのですが・・・

あ~ 私、期待しすぎたのかな~(^^;;;
座席から立ち上がれないほど打ちのめされる、もっともっと衝撃的な舞台を体験できるのかと・・・

勿論、その内容は、あまりに悲しすぎる卑劣なもので、随分と考えさせられながら見ました。

でも、あの坊主頭や白塗りのメイク、単色の衣裳で登場人物群をグループ分けした舞台美術や、シンプルな箱の中で物語を展開させる手法は既視感があったし、古臭ささえ感じてしまいました。
そうそう、2004年に松本で観たサイトウ・キネン・フェスティバルの《ヴォツェック》を思い出しちゃいました。
ひょっとして、こういう演出って、数年で色褪せて見えちゃうものなのかもしれないですね。(^^;
つくづく、オペラを上演までこぎつけ成功させるって、ほんとうに大変なことなのだなぁって思った公演でした。

   ◇  ◇  ◇

ベルント・アロイス・ツィンマーマン《軍人たち》

マリー:ヴィクトリア・ルキアネッツ
シャルロッテ:山下 牧子
ヴェーゼナー:鹿野 由之
ヴェーゼナーの老母:寺谷 千枝子
シュトルツィウス:クラウディオ・オテッリ
シュトルツィウスの母:村松 桂子
デポルト:ピーター・ホーレ
ド・ラ・ロッシュ伯爵夫人:森山 京子
若い伯爵・伯爵夫人の息子:高橋 淳

指揮:若杉 弘
演出:ウィリー・デッカー
美術・衣裳:ヴォルフガング・グスマン
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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21 April 2008

ウェーバー《魔弾の射手》@新国立劇場

2008年4月20日(日)
新国立劇場 オペラ劇場

ダン・エッティンガーが聴きたくて、新国立劇場へ行ってきました♪

この作品、ドイツでは、とても人気のある演目なのだそうですが、私は、この日、生まれて初めて聴きました。(^^; (予習の為に一応CDは聴いたけど)
そんな訳で、どうしてドイツ人は、このオペラが大好きなのか?と、ずっと考えながら鑑賞することになってしまい、結局、理由は何となく解ったような?解らなかったような?だったのですが(^^;;; ま、日本人の私も、それなりに楽しめる公演でした。

ゆっくり目で始まった序曲は次第にテンポがあがり、エッティンガーさんの緩急メリハリのある指揮は、途中、歌が取り残されそうになる箇所もなくはありませんでしたが、まずまず楽しめました。(^^)
そうそう、エッティンガーの振るオペラを聴くのは2006年の《イドメネオ》以来かと思っていたら、2007年の《ファルスタッフ》も、そうだったみたいです。(^^;
あの時は、フェルメール風の舞台美術にばかり目がいってしまって、やっぱり耳が疎かになっていたのだなぁ、反省。

歌手は、アガーテを歌ったエディット・ハッラーの暖かな声が清らかな乙女にピッタリで、その丁寧な歌いぶりにも好感が持てました。
エンヒェンのユリア・バウアーは、声量がなく時々オケの音に歌が負けてしまいそうでしたが、ボーイソプラノ思わせるピュアな声には独特の魅力がありました。
おまけに演技も上手いし容姿もホッソリ可愛いので、ズボン役なんて良さそうと思ったら、既にオスカルを歌ったことがあるようですね。(^^) ケルビーノも似合いそうだな♪

演出や舞台美術は、まるで、どこかのテーマパークのアトラクションのようでした。(^^;
そう感じさせる要因の一つにもなっていたポップな衣裳は、NHKの幼児番組「にほんごであそぼ」の美術や衣裳でもお馴染みのアーティスト ひびのこづえさんが担当されていて、私的には全然OK!でした。(^^)
村の娘たちのボヘミアン・テイストの衣裳も、とても可愛く、この春ちょうどストリート・ファッションにもなってるので、そのまま街に出ていっても大丈夫そうって思いながら見てました。

それから、狼谷の場面ではPAが使われ、合唱やザミエルの声が劇場の客席までグルグルまわるようにエコーさせたのには驚きました。けれど、今後こういう手法が増えるのかなぁ? こういうのもありなのかも?って、それなりに楽しみました。


   ◇  ◇  ◇


ウェーバー《魔弾の射手》

アガーテ:エディット・ハッラー
エンヒェン:ユリア・バウアー
カスパール:ビャーニ・トール・クリスティンソン
マックス:アルフォンス・エーベルツ
隠者:妻屋 秀和
ザミエル:池田 直樹
オットカール侯爵:大島 幾雄
クーノー:平野 忠彦
キリアン:山下 浩司
花嫁に付き添う四人の乙女:鈴木 愛美、田島 千愛、高橋 絵理、中村 真紀

指揮:ダン・エッティンガー
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
衣裳:ひびの こづえ
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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25 January 2008

プッチーニ《ラ・ボエーム》@新国立劇場

La_boheme2008年1月24日(木)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、新国立劇場で、マリア・バーヨを聴いてきました♪
あ〜 この日が来るのをどれだけ待ったことか。思えばドレースデン・ゼンパーオパーでのキャンセル以来だもの。


艶やかで張りのある透明な声。
独特の歌いまわし。
それは、もう紛れもなくマリア・バーヨでした。(^^)


兎に角、今回の上演で強く感じたのは、明らかにバーヨが良くも悪くも他の歌手のみなさんから頭一つ抜きん出ていたことでした。
もちろん、ロドルフォ役の佐野さんをはじめ、歌手のみなさんそれぞれが高水準の歌と演技を披露してくださいました。
けれど、一番小柄でほっそりしているはずのバーヨの歌声だけが、特別な音のかたまりになって4階席の私のところまで届いて来るのです。
それは、単に声量があるというのでもなく力に任せて歌っているという訳でもないのにです。
むしろ発声はとても自然で、低音から高音まで常に安定していてムラがなく、言葉の発音も明瞭でした。

逆に言えば、そのせいでバーヨ独特の歌いまわしのようなものが感じられ、もしかすると聴き手によっては好き嫌いがはっきり別れたかもしれません。でも、その個性こそがバーヨの最大の魅力であり強みなのかもしれないと思いました。

それから、オーケストラの東京交響楽団も良かったです。特にピアニッシモになっても鮮明に音を響かせているのが印象的でした。
そして、個性的な歌手、合唱、オケを、手堅くまとめあげた指揮者バルバチーニさんに拍手です。
派手さはないけれど職人技を持ったオペラ指揮者という感じでした。

ところで、このプロダクションでの《ラ・ボエーム》上演は3回目。
今回は、バーヨを聴くのが主目的で、《ラ・ボエーム》を観ようと思って出かけていった訳ではなかったので、別にいいのだけど・・・
何度見ても私には全く響いてくるもののない演出や舞台美術でした。(^^;;;


  ◇  ◇  ◇


プッチーニ《ラ・ボエーム》

ミミ:マリア・バーヨ
ロドルフォ:佐野 成宏
マルチェッロ:ドメニコ・バルザーニ
ムゼッタ:塩田 美奈子
ショナール:宮本益光
コッリーネ:妻屋 秀和
べノア:鹿野 由之
アルチンドロ:初鹿野 剛
パルピニョール:倉石 真

指揮:マウリツィオ・バルバチーニ
演出:粟國 淳
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM少年合唱団
管弦楽:東京交響楽団

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22 June 2007

ヴェルディ《ファルスタッフ》@新国立劇場

Falstaff2007年6月13日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

《ばらの騎士》を楽しんだ翌日、またもや新国立劇場で、今度は《ファルスタッフ》を観ました。

ほんとうは違う演目のオペラを二日連続で観るなんてしたくなかったのだけど、チケット発売日に新国のwebボックスオフィスにアクセスして「最安席」「平日」という条件で絞っていったら結果的にこうなっちゃいました。(^^;
という訳で、前夜の《ばらの騎士》の余韻も冷めぬまま《ファルスタッフ》に臨むという、無謀というか、勿体ないというか、何とも贅沢な鑑賞となってしまったのでした。

The_loveletterさて、その《ファルスタッフ》、難しいことは一切ぬきに、ユーモア溢れるヴェルディの音楽とストーリーを堪能することができました。
そして、何よりも楽しめたのが舞台美術でした。

そうなんです!
もう既にチラシでお解りのとおり、衣裳にはじまり、リュートやヴァージナルなど楽器、光の射し込む窓や白黒の大理石の床など室内装飾に至るまで、舞台の上すべてが「フェルメールの世界」だったんです。

The_concert特に、フェルメール自身も作品制作に取り入れていた「二点透視描法」を使って表現された床の模様は、舞台袖に深い奥行きを作り出し、とても強いインパクトのある舞台になっていました。

それにしても、ジョナサン・ミラーさんて「遠近法」好きなのかしらん?(^^;
《ばらの騎士》では「一点透視描法」を使っていたものね。


Lperspektive01【左】《ばらの騎士》の舞台で使われた
一点透視描法
【下】《ファルスタッフ》の舞台で使われた
二点透視描法

Perspektive02







   ◇  ◇  ◇


ヴェルディ《ファルスタッフ》

指揮:ダン・エッティンガー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:ペーター・ペッチニック
再演演出:田尾下 哲
舞台監督:大仁田 雅彦

ファルスタッフ:アラン・タイタス
フォード:ヴォルフガング・ブレンデル
フェントン:樋口 達哉
医師カイウス:大野 光彦
バルドルフォ:大槻 孝志
ピストーラ:妻屋 秀和
フォード夫人アリーチェ:セレーナ・ファルノッキア
ナンネッタ:中村 恵理
クイックリー夫人:カラン・アームストロング
ページ夫人メグ:大林 智子

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


   ◇  ◇  ◇


【画像】
ヨハネス・フェルメール《恋文》1670年
44×38.5cm 油彩・カンヴァス
アムステルダム国立美術館(アムステルダム)

ヨハネス・フェルメール《合奏》1665~1666年頃
72.5×64.7cm 油彩・カンヴァス
イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館(ボストン)
※1990年盗難にあい現在行方不明

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13 June 2007

R.シュトラウス《ばらの騎士》@新国立劇場

Der_rosenkavalier2007年6月12日(火)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、新国立劇場の《ばらの騎士》を観てきました。

とても良かったです!(^^)

名演とされているカルロス・クライバー&ヴィーン国立歌劇場の映像ですら、第1幕の途中でイヤになっちゃうくらい苦手なオペラだったのに、今回の上演で長らく抱いていた、その悪い(?)イメージが払拭されました。
もう一度観てもいいかなと思うほどです。(^^)

とにかく良かったのが、オクタヴィアンのエレナ・ツィトコーワ
《フィガロの結婚》のケルビーノを聴いた時から「イイ! カワイイ!」ってチェックしていたのだけど、やっぱり彼女のズボン役って私の好みだったんだなぁ。(^^;
今となっては、もう遅いけど、昨年、多忙で見逃してしまった《こうもり》のオルロフスキー役も、無理してでも聴いておけばよかったぁ。

さらに良かったのが、元帥夫人のカミッラ・ニールント
気品のある美貌の持ち主で、大人の女性の雰囲気にピッタリでした。
第3幕で、若い二人を残し、「これで、よかったんだわ」と部屋から立ち去る後ろ姿の潔ぎよいこと。
なんてステキなんだろうとジ~ンときました。

オックス男爵のペーター・ローゼも、田舎貴族を好演してました。
節操のない、女の敵みたいな、どうしようもない役柄で、私が《ばらの騎士》が好きになれない理由のひとつが、このオジサンの存在だったのだけど、ローゼさん演じるオックス男爵は、ちょっと憎めない感じもあって、ま、許せる範囲かな。(^^;

ゾフィーのオフェリア・サラも、か弱い面とシッカリとした面とを併せもつ、若い娘をうまく演じていました。
オクタビアンとの二重唱も美しかったです。(^^)

そのほかの歌手のみなさんも、役がらにピタッとあった歌と演技を披露してくれて、大満足でした。


それから、舞台美術も、とても良かったです。
第1幕と第3幕は、淡いトーンでまとめられ、全体の調和がとれた品のあるものでした。
第2幕のファーニナル邸も、深紅を基調に美しくまとめられていました。
遠近感を強調し、長い廊下を縦長に配した舞台は、最初一見、奇抜にも思えたのだけど、それが舞台に視覚的な奥行きと時間的厚みを感じさせる良い効果を出していました。

それから、女性たちの美しい衣裳も堪能しました。(^^)
今回の演出は、時代設定が本来の18世紀中ごろから、20世紀初めに舞台が移されていたので、コルセットでウエストをしぼりあげ曲線を強調したアール・ヌーボー(ヴィーンだからユーゲント・シュティール?)風のドレスから、ポール・ポワレっぽいハイ・ウエストのドレスやキモノ・スリーブのドレスまで登場し、「ああ、ちょうどアルマ・マーラーなんかが着てた感じね」なんて思いながら、楽しく見てました。(^^)

そうそう、忘れてはいけない。
東フィルの演奏も良かったです。
劇場内に響き渡る、R.シュトラウスの華やかでクラッとくるような音楽を、たっぷり堪能しました。
これって、ペーター・シュナイダーさんの指揮によるところも大きいのだろうな。(^^)

そんな訳で、ジョナサン・ミラー演出の《ばらの騎士》は、舞台全体に品の良さが漂う厭味の無いサラッと口当たりの良いステキな舞台でした。
そして、最後になっちゃいましたが、もしかしてこの作品、20世紀初めという設定が、意外にもピッタリ合ってるのではないかしらと思ったのでありました。
あ、それって単に、私がフリフリ、キラキラのバロック・ロココ様式が嫌いなだけだったりして?(^^;


   ◇  ◇  ◇


R.シュトラウス《ばらの騎士》

指揮:ペーター・シュナイダー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:磯野 睦
舞台監督:大澤 裕

元帥夫人:カミッラ・ニールント
オックス男爵:ペーター・ローゼ
オクタヴィアン:エレナ・ツィトコーワ
ファーニナル:ゲオルグ・ティッヒ
ゾフィー:オフェリア・サラ

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

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19 April 2007

プッチーニ《西部の娘》@新国立劇場

La_fanciulla_del_west2007年4月18日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、以前から、とても楽しみにしていた《西部の娘》を観てきました。

目的はただ一つ!
2003年、あの衝撃の《フィガロの結婚》を観せてくれたアンドレアス・ホモキの新作が見たかったからです。

そして今回も、その期待に違わぬ、とてもシンプルで、どこか上品ささえ感じてしまう、なんてったって美しい舞台でした。(^^)
現代に読み替えしたものだったけれど、よくありがちな意味不明で過剰な演出に陥ることもなく、奇を衒ったところもなく、安心して音楽に身を任せていられました。
やっぱり好きです、こういう舞台!(^^)


幕が上がると、そこにはキチンと積み上げられた大量の段ボール箱でつくられた壁。
様々ないでたちの男達が押す、たくさんの荷物の詰まったカート。
酒瓶や煙草や食料などの積まれたワゴン。
そして、第3幕には、天井から降りてきた太いロープ。

そう、たったこれだけ。

でも、この段ボール箱が徐々に崩され、大きな亀裂ができたり、隠れ場所ができたりと、その変化が面白いのです。人の動かし方も上手く、造形的にも計算されつくされていて、ほんと感心させられるばかりでした。

それにしても、ホモキさんて、大きな箱を使って、かくれんぼするのが好きなのかなぁ?(^^)
いずれにしても、箱を積み上げたり崩したりすることで立体的な舞台を作り上げる腕は素晴らしいと思います。
1階2階席には縁の無い私なので比較はできませんが、この立体感をより面白く感じられるのって3階4階席からの角度かもしれないって思ったりもしました。

ちなみに、段ボール箱の制作協力をしたレンゴー株式会社によれば、その数1500個あまりとか!
消防法により難燃性も確保されていたそうです。

それから、実は《西部の娘》って、今まで一度も聴いたことありませんでした。(^^;
昨夜も、第一幕のミニーとジョンソンの歌を聴きながら「あ~ なんてつまんない話なんだろ~ たいくつ~ ねむぃ~」って、途中かなり白けた気分になってました。
なのに、いつの間にかひきつけられ、最後はイイ気分になっていたから不思議です。(^^)

それは、ホモキ演出によるばかりでなく、シルマー&東フィルが良かったせいもあるかな?
歌手のみなさんや合唱とのバランスもよく、安心して聴いていられました。特にジョンソン役のアティッラ・B.キッシュさんの迫真の演技にグッと来ました。

あ、忘れてはいけない!合唱団の衣裳が凄かった!
アフリカン、インディオ、刺青のおにいさん、日の丸のハチマキ・・・と挙げたらキリが無いくらい様々な国や民族を現すもので、全員一列に並んだところをジ~ックリ眺めながら、自己紹介でも聞いてみたいところでした。(^^)


  ◇  ◇  ◇

プッチーニ《西部の娘》

ミニー:ステファニー・フリーデ
ジャック・ランス:ルチオ・ガッロ
ディック・ジョンソン:アティッラ・B.キッシュ
ニック:大野 光彦
アシュビー:長谷川 顯

指揮:ウルフ・シルマー
演出:アンドレアス・ホモキ
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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27 March 2007

グルック《オルフェオとエウリディーチェ》@新国立劇場

Orfeo2007年3月23日(金)
新国立劇場 中劇場

先週末、グルックの《オルフェオとエウリディーチェ》を観てきました。
もともとはオペラとして作られた作品が、バレエ&オペラとして、どんな風に生まれ変わるのか、けっこう楽しみに出かけたのでありますが・・・

残念ながら、結果は、どっちつかずの中途半端なものになってしまったのではないかしら?というのが率直な感想です。

物語はメインの舞台でダンサーを中心に進められてゆくのですが、サイドで歌っていた歌手が、メイン舞台の上に入ってくる場面が数回あったり、一階客席後方からダンサーのオルフェオと歌手のオルフェオが登場したりと、二人のオルフェオ、二人のエウリディーチェが、見るものの前に同時に現れるのですが、そうすることで一体何を現わそうとしているのか? 私にはつかみきれませんでした。

ダンサーたちは主に白っぽいコスチューム、歌手たちは黒いコスチュームだったのも、しっくりきませんでした。
私の固定概念かもしれないけれど、どうしても「陽と陰」と見てしまうのですよね・・・
そのせいなのかな? 歌手の方々を含め、音楽面のほうが少し力不足だったような気がしました。

でもでも、第2幕のオルフェオがエウリディーチェを冥界から連れ戻す場面は、緊張感あふれるダンスが舞台床に光によって現された迷路の上で繰り広げられ、造形的にもシンプルで美しく、振付けもとても見応えがあり、イイなぁと思いましたよ。(^^)

振付けをしたウォルシュさんによると、今回の舞台は「モダンとコンテンポラリーをミックス」したダンスなのだそうですが、私には、そんなにコンテンポラリーしてるようには見えず、どちからといえば、かなりクラシックに近いものに見えました。
時々、キラリと光るイイ動きもあったので、それらがもう少し長く持続され「あ~目が離せな~い」って思えたならば、もっと楽しめたのかもしれません。
これは、振付けというよりも、ダンサーの魅力の問題なのかな?(^^;


  ◇  ◇  ◇

新国立劇場エメラルド・プロジェクトNo.2
《オルフェオとエウリディーチェ》

【ダンサー】
エウリディーチェ:湯川麻美子
オルフェオ:中村 誠
アムール:丸尾孝子・グリゴリー・バリノフ・冨川祐樹

【歌手】
エウリディーチェ:安藤赴美子
オルフェオ:吉川健一
アムール:田上知穂

演出振付:ドミニク・ウォルシュ
音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
編曲・指揮:デヴィッド・ガルフォース

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

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26 March 2007

ワーグナー《さまよえるオランダ人》@新国立劇場

Hollander_12007年3月7日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

タイトなスケジュールの合間を縫って出かけた《さまよえるオランダ人》。
だいぶ遅くなってしまったけれど、良い公演だったので記録します。

なんと言っても魅力一杯だったのが、ゼンタを歌ったアニヤ・カンペ。
癖のない声は好感がもてたし、芯のしっかりした若い女性らしさを上手く表現してました。不思議な国のアリスのようなスカイブルーのドレスと金髪も、とても似合ってました。

Hollander02次に惹かれたのが、エリック役のエンドリック・ヴォトリッヒ。
華やかさを備えた声で、声量もあり、久しぶりに、ちょっと気になるテノール歌手に出会えました。

そして、オランダ人のユハ・ウーシタロさんはボリュームある声、そして大きな体格が、かなりインパクトありました。(^^;

そしてそして、新国立劇場合唱団。
ぴったり揃ってるし、声量もあるし、相変わらずとても上手いのだけど、うぅ〜む。
なんと言うのかなぁ、水夫たちの力強さを現そうとしているのだろうけど、それが逆にツマンナイというかぁ、ガンバリすぎというのか、響きが単調というのか。
ソリストやオケとのバランスを考えると、どうなのだろう?と私は多少なりとも違和感を持ちました。

演出は普通かな?(^^;
でも、シンプルな舞台美術や衣裳は好きなタイプでした。

Hollander03それにしても、このお話し、真面目に考えだすと深みにはまりそうです。

ゼンタは自己犠牲をはらったのだろうか?
いえいえ、あれはむしろ自己実現だったのかも?
帰りの電車の中、プログラムに掲載されていた精神科医香山リカさんの鋭い分析を読んで苦笑いしている自分がいました。(^^;

ああ〜 私の前にもオランダ人、現れないかなぁ〜


   ◇  ◇  ◇

ワーグナー《さまよえるオランダ人》

オランダ人:ユハ・ウーシタロ
ゼンタ:アニヤ・カンペ
エリック:エンドリック・ヴォトリッヒ
ダーラント:松位 浩
マリー:竹本 節子
舵手:高橋 淳

指揮:ミヒャエル・ボーダー
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

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24 March 2007

マチェック《預言者リブザ》@オルセー美術館展

Libuse先日、東京都美術館で4月8日まで開催されている「オルセー美術館展」を観てきました。

祭日だったので、とっても混んでました。
だから、真面目に見ませんでした。あはは(^^;

とか何とか言いながらも、印象に残ったのは、やっぱり大好きなポール・セザンヌ。(^^)
《サント・ヴィクトワール山》と《ギュスターヴ・ジェフロワ》。
それから、ホイッスラーの《灰色と黒のアレンジメント第1番、画家の母の肖像》。
そして、今回の展覧会で一番の収穫だったのが、ヴィテスラフ・カレル・マチェックの《預言者リブザ》でした。

作者ヴィテスラフ・カレル・マチェック Vitezlav Karel Masek(1865-1927)は、チェコの象徴主義の画家。
点描がみごとで、色数が少なく単調になりがちな画面に良い感じの変化をつけてますね。
それに、難しいとされている正方形の画面なのに、左側に人物を寄せ右側に空間を大きく取った構図がなかなか面白いし、預言者リブザの水平に挙げられた左手に見るものの視線を誘導する良い効果を出してます。
そして何より、画面全体が神秘的で、この女性はいったい何を予言したんだろうって考えずにはいられない不思議な魅力に溢れてます。

リブザ、リブザ・・・

あ、そうか!? リブザって、スメタナのオペラ《リブシェ》のタイトルロール、ボヘミアの女王リブシェのことだったのか。

手元にある『オックスフォード・オペラ大事典』(平凡社)によれば、1881年6月11日、プラハ国民劇場の柿落しに、スメタナ自身の指揮で上演されたオペラ《リブシェ》は

「ボヘミアの女王リブシェは、父親の遺産分配を巡る二人の兄弟フルドシュとシュターフラフの間の争いを収める。フルドシュは不運で、リブシェを規則に合わないといって侮蔑する。このことで心を乱したリブシェは、分別のある農民プシェミスルに権力を渡し、彼と結婚する。二人の兄弟は和解し、プシェミスルはボヘミア最初の王朝プシェミスル朝を築く。」

っていう、う〜ん?いまいち良くわかんないストーリーなのだけど、この絵のリブシェ(リブザ)を見ていると、何だかオペラも観てみたくなりますよね〜♪

そういえば、以前、プラハを訪ねたとき、この国民劇場で、スメタナの《売られた花嫁》を観たのを思い出しました。
ヴルタヴァ(モルダウ)川のほとりに建つ、それはそれは美しい劇場でした。(^^)
ドイツに支配されチェコ語を思うように使えなかった時代、「チェコ語によるチェコ人のための舞台を」というスローガンのもと造られた、チェコ文化復興の象徴ともいえる劇場なのだそうです。
その柿落しなら《リブシェ》はピッタリなわけですね。

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20 February 2007

ワーグナー《さまよえるオランダ人》

Hollanderう~む、困りましたぁ。
ずっと苦手だと思ってたワーグナーに、とうとうはまったかも?!

評判の高かった新国の「トーキョー・リング」も全部ではないけど観て、結構楽しんだし、他にも今までに幾つかワーグナーのオペラ(楽劇?)には接してきたものの・・・ 正直言って、積極的に聴きたいな~という作曲家ではありませんでした。

もしかして、ワーグナーという人が嫌いなのかも?
いえいえ、あの良くみかけるワーグナーの肖像写真の顔が気に入らなかったのかも?(^^;アハ

この際、そんなことはどうでもよくなりました。
兎に角はまってしまったんです。

実は、今年最初の生オペラの予定が《さまよえるオランダ人》なので、久しぶりに少し真面目になって(?)予習をしてみたのです。


ワーグナー《さまよえるオランダ人》

指揮:ダニエル・バレンボイム
ゼンタ: ジェーン・イーグレン(ソプラノ)
オランダ人: ファルク・シュトルックマン(バリトン)
エリック: ペーター・ザイフェルト(テノール)
ダーラント: ローベルト・ホル(バス)
マリー :フェリシティ・パーマー(メゾ・ソプラノ)
舵手 :ロヤンド・ビヤソン(テノール)
合唱:ベルリン国立歌劇場合唱団
管弦楽:ベルリン・シュターツカペレ
2001年5&6月 ベルリン
(2002年 TELDEC)


わぁ! 出だしからイイ~♪

シュトルックマンさんて、以前、神奈川県民ホールで《ヴォツェック》のタイトルロール歌ってたバリトン?
舵手役は、ネトレプコの《椿姫》でアルフレード歌ってたビヤソン?

ワーグナーがいいの?
バレンボイムがすごいの?
歌手達がいいの?

私には解らないけど、何だか新鮮なんです♪(^^)

ワグネリアンには「当たり前だ、そんなことも知らないのか!」と叱られそうだけど、調べてみたら《さまよえるオランダ人》て初期の作品なんですね。
《リエンツィ》はピンと来なかったけど、《さまよえるオランダ人》は、グッとよくなってますね。(^^;

現在、間を飛ばして《ニュルンベルクのマイスタージンガー》も聴き始めましたが、これもイイですね~♪
演奏時間が4時間を超えるとても長い作品だけど、全然厭きません。
休日一日中、耳が痛くなるほど聴きつづけてる私も私ですが、(^^;
ワーグナーに熱狂的なファンがいるのが、ちょっとだけど解ってきた気がします。

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14 January 2007

ヴェルディ《アイーダ》@ミラノ・スカラ座

今日、久しぶりにラジオでオペラを聴きました。
NHK-FMで、あのミラノ・スカラ座の《アイーダ》初日の録音が放送されたので。(^^)

「あの」って、あのアラーニャがラダメスを歌った《アイーダ》です。(^^;
でも、「そうだ!今日はアイーダ!」と気がついて慌ててスイッチいれた時には、肝心の「清きアイーダ」は終わってました。(^^;

結局、あの事件後、アラーニャはスカラ座から契約をキャンセルされてしまったそうなので、彼が歌うラダメスを最後まで聴ける、それなりに貴重な録音になってしまったと言えるかもしれませんね。

私的には、アラーニャのラダメス、決して悪くないなぁと思った演奏でした。
なにやらミラノ・スカラ座でのアイーダの上演は二十何年ぶりだったとか、天井桟敷のうるさ方も力が入りすぎていたのかしら?


  ◇ ◇ ◇


ミラノ・スカラ座2006/2007シーズン開幕公演 
ヴェルディ《アイーダ》

エジプト王:マルコ・スポッティ
アムネリス:イルディコ・コムローシ
アイーダ:ヴィオレタ・ウルマナ
ラダメス:ロベルト・アラーニャ
ランフィス:ジョルジョ・ジュゼッピーニ
アモナズロ:カルロ・グェルフィ
エジプト王の使者:アントネルロ・チェロン
巫女の長:イム・セギョン

指揮:リッカルド・シャイー
ミラノ・スカラ座合唱団
ミラノ・スカラ座管弦楽団

2006/12/7(2時間29分24秒)

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12 January 2007

エクサン・プロヴァンス音楽祭2007

Aix2007今年もエクサン・プロヴァンス音楽祭のカタログが届きました。(^^)

Festival d'Aix-en-Provence

去年よりお届けが遅かったし、その気があればインターネットで簡単に調べられることだし、営業活動ということも解っているのだけど、ちゃんと今月19日のチケット発売に間に合うように、はるばる日本まで送ってくれるなんて、やっぱり嬉しいな〜(^^)

早速、ぱらぱらとページをめくってみると、おおっ!ミンコフスキさま久しぶりの登場ではありませんか!
演目はモーツァルトの《後宮からの誘拐》。
もちろん、ルーヴル宮音楽隊を率いての公演ですよ~
いいなぁっ!(^^)

ラトル&ベルリン・フィルは、ヴァーグナー第2弾《ヴァルキューレ》。
ハーディング&マーラー・チェンバー・オーケストラは、モーツァルトの《フィガロの結婚》。
この二つは新しいプロダクションです。
フィガロの衣裳はクリスチャン・ラクロワ!

ルネ・ヤーコプス&コンチェルト・ヴォカーレのモンテヴェルディ《オルフェオ》も惹かれますね。

そして、ブーレーズは、ヤナーチェク《死の家》なんですね・・・
オラフ・ベーアも歌うんだぁ・・・

おぅ、もう少しで見逃すところでした。(^^;
クリスティ&レザール・フロリサンはハイドンのオラトリオ《天地創造》ですって。

行きたい行きたい! エクスに行きたい!


休暇とれるかなぁ? 無理かなぁ?
ボス、お願いです。
7月に、また沢山お休みくださ~い。
ついでに夏のボーナスも奮発してくださ~い。(^^;

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02 December 2006

11月おぼえがき

◆本
ピーター・シャンクランド/アンソニー・ハンター(杉野茂/訳)『マルタ攻防戦』1986年、朝日ソノラマ
エイミー・B・グリーンフィールド(佐藤桂/訳)『完璧な赤』2006年、早川書房
宮下規久朗『カラヴァッジョ 聖性とヴィジョン』2004年、名古屋大学出版会

◆オペラ(映像)
ラモー《プラテー》ミンコフスキ&ルーブル宮音楽隊(2002年2月、パリ・オペラ座[パレ・ガルニエ])
ラモー《優雅なインドの国々》クリスティ&レザール・フロリサン(2003年9月、パリ・オペラ座[パレ・ガルニエ])

◆展覧会
日展

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09 November 2006

パリ・シャトレ座 ラモー《レ・パラダン》

Les_paladins052006年11月8日(水)
オーチャードホール

《レ・パラダン》観てきました~♪
私が今年観たオペラの中で、間違いなくナンバー1です!(^^)
とにかく楽しかった~♪
耳も目も心もホッカホカ~♪
幸せ~♪
ホールから渋谷の駅へ向かう帰り道、気がついたら、私、スキップしてました。(^^)ハズカシィ

だってだって、ラモーの音楽が「さぁ!あなたも一緒に踊りましょう!」って誘ってくる、そんな素晴しさだったんですもの。(^^)


Les_paladins01しかも舞台で繰り広げられたダンスは、私の大好きなコンテンポラリー・ダンスが中心。
頭でクルクルまわるダンス(ヒップホップって言うのかな?)や、お尻をフリフリするアフリカン・テイストな振り付けまで加わって、とても見応えがありました。

噂どおり男女2人づつのヌードダンサーも登場!
鍛えられた美しい肉体は、他のダンサーや歌手達の中で良いアクセントになっていました。
ま、プレルジョカージュのダンスを幾つか観てる私としては、あのくらいはどってことないかなぁ。(^^; うそ!うそ!アハハ

Les_paladins03衣裳は、とびっきりシンプルでカラフル。
まるでポップな絵本を開いたようでした。(決して悪い意味ではなくてです。)

雲の上で、裸ん坊さんからバロックの衣裳を身につけた人までが、ポーンポーンと楽しげに跳ねる映像や、ウサギやライオン、フラミンゴ、チンパンジーなど沢山の動物の映像も登場し、それが舞台のダンサーや歌手と巧に重なり合って、それはもうファンタジーの世界♪
選び抜かれた上質のおもちゃの箱をひっくり返したようでした。(^^)

Les_paladins04クリスティさんの指揮もステキでした。その手の動きの美しいこと。(^^)
そのクリスティさんに率いられたレザール・フロリサンの響きも、とても瀟洒で優雅。
心ゆくまで堪能しました。
それにしても、チロリロリン♪ポロポロリン♪と響いてくる音は何だったのかな?
とても心地よくてフワ~ンと天にも昇る気分でした。

Les_paladins02また、歌手も粒揃いで、歌ばかりでなく踊りも上手いのには驚きました。
アルジ役のドゥスラックさんなんて、ダンサーと見紛うほど手足が長くてスタイル抜群!
そうそう、ソリストばかりではありません、合唱のメンバーも楽しい踊りを披露してくれましたよ。

そして、昨夜は楽日だったからだと思うのですが、終演後のカーテンコールも華やかでした。
天井からトリコロール・カラーの沢山のリボンが垂れ下がり、全公演を終えた出演者やスタッフを労っていました。
ヒップホップ・ダンサーはノリノリの踊りを披露してくれ、客席からは手拍子も沸き起こりました。

が、しかし!
すご~く盛り上がっていたのは舞台の上だけで、客席は、ちょっと醒めた感じがしなくも無かったのも事実です。(^^;

その一つの理由に客席が半分くらいしか埋まってなかったことがあると思いました。

あ~どうしてなんでしょう?
こんなに素敵な舞台なのに、ああ勿体ない。

多分チケットの価格が高かったせいもあるのかなと思います。
実は、私も公演直前まで悩んで悩んで悩んだ末に、何とか安いほうから2番目のチケットを手に入れました。
(この冬、新調を予定していたセーターが一枚消えてなくなりました。(^^; もちろん後悔なんてしてませんよ。)

興行主さんは、こんなに楽しくて幸せな気持ちになれる素晴らしい公演を少しでも多くの人に見てもらいたいとは思わないのかな?
半分空席にしておいても採算がとれるのなら、お願いです、もっと一枚一枚のチケット安くして欲しいのですけどぅ。
もう少しお手軽な価格だったら観たかったという人を、私は何人も知ってますよ~

そういえば、以前から子供のためのクラシック・コンサートを支援している財団法人ソニー音楽芸術振興会から、何度も《レ・パラダン》のダンス・ワークショップや小学生から高校生なら35,000円のS席を5,000円で入手できるというダイレクト・メールが来ていたのを思い出しました。
こういった企画は大いに歓迎したいですよね。

そして、今回のような公演ならば、クラシック音楽やバレエ・ダンスは初めてという人にも、恐らく抵抗なく観てもらえるように思えたので、もっともっと広い範囲に情報が行き渡る手はないものかなぁと、つくづく思った夜だったのでした。


  ◇  ◇  ◇


《レ・パラダン Les Paladins (遍歴騎士)》
作曲:ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764)

演出/舞台美術/ビデオ:ジョゼ・モンタルヴォ
振付:ジョゼ・モンタルヴォ/ドミニク・エルヴュ

アティス:トピ・レティプ(テノール)
アルジ:ステファニ・ドゥスラック(メゾ・ソプラノ)
ネリーヌ: アンナ・バヨディ(ソプラノ)
妖精マント:フランソワ・ピオリーノ(テノール)
オルカン:ジョアオ・フェルナンデス(バリトン)
アンセルム:ルネ・シレール(バス)

指揮:ウィリアム・クリスティ
管弦楽/合唱:レザール・フロリサン
ダンサー: クレテイユ&ヴァル・ドク・マルヌ国立振付センター/モンタルヴォ・エルヴュ・カンパニー

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26 October 2006

モーツァルト《イドメネオ》@新国立劇場

Idomeneo2006年10月25日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、モーツァルトのオペラ・セリエ《イドメネオ》を聴いてきました。

この作品、実は観るのも聴くのも、正真正銘、今回が初めて。
簡単なあらすじを読んだだけで臨んでしまいました。(^^;


   ◇  ◇  ◇

指揮 : ダン・エッティンガー
演出 : グリシャ・アサガロフ
美術・衣裳: ルイジ・ペーレゴ

イドメネオ : ジョン・トレレーヴェン
イダマンテ : 藤村 実穂子
イーリア : 中村 恵理
エレットラ : エミリー・マギー
アルバーチェ : 経種 廉彦
大司祭 : 水口 聡
声 : 峰 茂樹

合唱 : 新国立劇場合唱団
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

   ◇  ◇  ◇


私、もともとモーツァルトのオペラは苦手なので、途中ちょっと、いえ、かなり(^^;退屈ではあったのですが、演奏面では、とても素晴らしい舞台でした。

指揮のエッティンガーさんと東フィルの相性がよいのか? オケも乗っていて良く鳴っていたし、なによりも歌唱が楽しめました。

一番印象に残ったのは、イーリアを歌った中村恵理さん。癖のない素直な歌に、とても好感が持てました。
イダマンテの藤村実穂子さんは、もう言うまでもなく素晴らしかった♪ 思っていたより軽く明るい声という印象をもちましたが、とにかく存在感のある歌いぶりでした。
エレットラのエミリー・マギーさんも、迫力があってエレットラのキャラにピッタリ! 上手いなぁって思いました。

タイトルロールのジョン・トレレーヴェンさんは、調子がわるかったのかな?高音になるとちょっと厳しい感じがしましたが、イドメネオのキャラには合っていたように感じました。
というか・・・ 女声3人の迫力に押されちゃったのかも。(^^;

演出は普通かなぁ(^^;
古代クレタの装飾文様をとりいれた舞台美術や衣裳は色彩的に悪くはなかったし、一つ一つをみるとキレイだなと思えるものもありました。
でも、板に描いただけの巨大な壺がバリッと割れたり、くっついたり。あらら~(^^; っていうところもありましたけどね。

それから、イダマンテの立ち居振る舞いがイマイチでした。
全然、王子さまに見えないんです。(^^;
藤村さんって、きっと大和撫子なのでしょうね。
颯爽としたズボン役ならではの魅力を全く感じることができず残念でした。

それから、改めて感じたのは、新国立劇場のオペラ劇場って音がいいってこと。
先日のオーチャードの後だから尚更そう感じたのかなぁ?

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01 October 2006

ローマ歌劇場来日公演 ヴェルディ《リゴレット》

Opera_di_roma2006年9月29日(金)
オーチャードホール


  ◇  ◇  ◇

指揮:アントニオ・ピロッリ
演出:ジョヴァンニ・アゴスティヌッチ

リゴレット:レナート・ブルゾン
ジ ル ダ:エヴァ・メイ
マントヴァ公爵:ステファノ・セッコ
スパラフチーレ:コンスタンティン・ゴルニー
マッダレーナ:レナータ・ラマンダ

合唱:ローマ歌劇場合唱団
管弦楽:ローマ歌劇場管弦楽団

  ◇  ◇  ◇


先日、ローマ歌劇場来日公演のヴェルディ《リゴレット》を聴いてきました。

なんと言っても良かったのはタイトルロールのレナート・ブルゾン
バリトン好きの私を大いに満足させてくれました。(^^)

そして、今回ジルダ初挑戦のエヴァ・メイも素晴らしかったです。(^^)
最初、大柄で華のありすぎる(?)美人ソプラノのメイちゃんのジルダっていかがなものかな?と思ったりもしたのですが、純で清楚なジルダにしっかりなりきっていましたよ。
さすがですね。

マントヴァ公のステファノ・セッコさんは、大ベテランのブルゾンや美女メイちゃんに、ちょっと押されてしまった感じもありましたが、時にハッとさせられる美しい声や上手い歌いまわしを聴かせてくれました。

また、スパラフチーレのコンスタンティン・ゴルニーさんもマッダレーナのレナータ・ラマンダさんも安定した歌いぶりで、とても安心して聴けました。

オケも合唱も、イタリア・ローマからの引越してきているだけのことはある全体がしっくりとまとまった、とても良い演奏でした。
ピロッリさんの曲作りも私は好きです。

舞台装置は真正面に大階段を配した(宝塚みたい?)奥行きと高さを感じさせるもので、ま、どちらかといえばオーソドックスなタイプの演出でした。
私的には、ちょっと物足りなさも感じたのですが、その分、音楽に集中できました。(^^;

それにしても、オーチャードホールでのオペラは久しぶりだったのですが。。。 あれ~? このホールここまで音悪かったっけ?って思ってしまいました。(^^)

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14 September 2006

ヴェルディ《ドン・カルロ》@新国立劇場

Don_carlo2006年9月13日(水)
新国立劇場オペラ劇場

ここ数日、東京もめっきり涼しくなり、今年もオペラの新シーズンが幕開けしました♪

私も、昨夜さっそく新国立劇場のニュープロダクションヴェルディ《ドン・カルロ》全4幕(1884年ミラノ・スカラ上演版)を観てまいりました。
ヴェルディの中でも《ドン・カルロ》は好きな作品だし、半年ぶりのオペラということもあり、楽しかった~♪(^^)


  ◇  ◇  ◇

指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ

フィリッポ二世:ヴィタリ・コワリョフ
ドン・カルロ:ミロスラフ・ドヴォルスキー
ロドリーゴ:マーティン・ガントナー
エリザベッタ:大村 博美
エボリ公女:マルゴルツァータ・ヴァレヴスカ
宗教裁判長:妻屋 秀和

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

  ◇  ◇  ◇

実は私、2001年にも新国立劇場の《ドン・カルロ》それも原演出・美術・衣裳がルキーノ・ヴィスコンティっていう聞いただけでも豪華そうっていう舞台を観たはずなのだけど・・・
記憶にない!
ああダメだなぁ~私(^^;
確か、この年はサントリー・ホールオペラでも豪華な衣裳の《ドン・カルロ》観たはず・・・
だから記憶が薄まってしまったのかなぁ?

あ、そんなことはどうでもいいですね。(^^;
はい、今回の《ドン・カルロ》に話を戻します。

今回の舞台は、スリッツで十字架を表現しているところがカッコイイ、巨大なキューブがドカンと配されたシンプルなものでした。
照明やキューブを構成している壁を動かすことで、聖堂になったり、フィリッポ2世の部屋になったり、牢獄になったり、宮殿の中庭になったりと、全幕の様々なシーンに対応させる手法でした。
はい!そうです。
私の好きなパターンです。(^^)

衣裳のほうも、ピカピカではないけれど、それぞれのキャラクターをちゃんと現した、当時のモードをスタイリッシュにしたもので、ひらひら、ふわふわ、リボンが苦手な私向きでした。

歌手は、タイトル・ロールのミロスラフ・ドヴォルスキーさんが、なかなかの美声でした。
体格も良くて合唱に囲まれても見失うことがなくて助かりました。(^^;
ロドリーゴ役のマーティン・ガントナーさんとのデュエットもステキでした。
私が《ドン・カルロ》が好きな理由の一つは、この男声のデュエットがあるからなんです~♪(^^)
もちろん、他のアリアやアンサンブルもちゃんと聴きましたよ。
エボリもフィリッポも宗教裁判長も、そしてエリザベッタも、好演してました。
特別に突出して目立つ歌手もいないかわりに、バランスのとれた安心して観ることの出来る舞台だったのではないかなと感じました。

こういう舞台を観ると、オペラも、もうハレのものではなく、日常生活の一部になりつつあるのかもと、ふと思ったのでした。
もちろん、ありがたいことです。

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23 March 2006

ヴェルディ《運命の力》@新国立劇場

la_forza2006年3月21日(火)
新国立劇場 オペラ劇場

先日、ヴェルディ《運命の力》を観てきました。

《運命の力》を観るのは、2000年に相次いで来日したムーティ&ミラノ・スカラゲルギエフ&マリインスキーで盛り上がって以来とても久しぶり。ということで、結構、楽しみに出かけたのですが・・・

あれれ? 《運命の力》って、こんな薄っぺらな音楽だったっけ?
これがヴェルディ? は? ふ?

という訳で、私的には不完全燃焼に終わったのでありました。(^^;
 

さて、音楽面は置いておくことにして、今回の演出家は、物語の舞台と同じスペイン出身のエミリオ・サージさん。
18世紀のスペイン・セビリアを舞台に起こったお話を、1930年代終りのスペイン市民戦争時に移した演出となっていました。

第一幕が始まると、舞台の奥に物語の進行を眺める人々が配されていたり、シンプルでモダンなデザインの装置をセリで上下させたりと、なかなか斬新で「むむむ、これはイケルかも!」と、かなり期待は高まったのですが・・・ 幕が進むにつれだんだんと平凡で小粒な感じになってゆき、その後は特になにも起こらなかったのが、ちょっと残念なところでした。

でも、視覚的には総じて美しい舞台でした。

私は、聖堂を現す紗幕に描かれた絵を見ながら 「これってマニエリズモ? バロック?」
「この人、聖母マリアかな? じゃ、幼子イエスはどこどこ?」
「エマオの晩餐? いや、最後の晩餐? う~ん、こんな晩餐、初めて見たぞ。」
「そういえば、スペイン絵画ってしばらく見てないなぁ。あ、そうそうプラド美術館展がもうすぐ始まるなぁ。」
などなど、オペラに関係ない勝手なことばかり考えて楽しんでいました。(^^;

要するに音楽を真面目に聴いてなかったってことか?!(^^;

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27 February 2006

プッチーニ《トゥーランドット》@北京紫禁城

turandot01とうとうトリノ・オリンピックも終わってしまいました。

閉会式では、天使に扮した子供達が、ヴェルディ《ナブッコ》の「行けわが思いよ、金色の翼に乗って」を合唱していましたね。(^^)

やっぱりイタリアだなぁ〜
オペラに始まりオペラで終わったオリンピック。
う〜ん、さすがぁ〜

と思っているのは私だけかな?(^^;

そしてそしてオペラと言えば、もうなんてったって《トゥーランドット》の調べに乗って魅せてくれた、あの荒川静香選手の華麗な演技を忘れることができません。
未だ余韻から醒めやらず、暫くの間とっかえひっかえ《トゥーランドット》鑑賞がつづいてしまいそうな予感です。
最近、ちょっと元気が出なかったのだけど《トゥーランドット》を聴くとパワーが沸いてくるんですよね〜
元気づけのために聴きますよ〜(^^)

で、その第一弾は、やっぱりこれ。
1998年に、このオペラの原作の舞台である北京の紫禁城で上演された、ため息が出るほど豪華絢爛なライブ録画です。

紫禁城を、そのまま使っているのだから当たり前と言えば当たり前なのだけど、舞台装置といい、本物かと見まがうほどの大道具、小道具といい、手の込んだ華麗な衣装といい、とにかく目の保養になります。
中国人の可憐な少女たちの群舞も盛りだくさんで京劇を思わせる舞や所作もふんだんに見ることができ、中国を代表する映画監督チャン・イーモウ(張芸謀)が演出を手がけているだけのことはあります。

絶世の美女トゥーランドット役のカゾッラは、容姿的には、う〜んちょっと?!なのだけど、歌はまずまず。
カラフのラーリンも聴かせてくれているし、何と言ってもリュウのフリットーリは泣かせてくれます。

兎に角、4000年の歴史を持つ中国って、やっぱり凄いって思ってしまう《トゥーランドット》なのでした。(^^)

  ◇  ◇  ◇

歌劇《トゥーランドット》全3幕

作曲:ジャコモ・プッチーニ
原作:カルロ・ゴッツィ
指揮:ズビン・メータ
演出:チャン・イーモウ

トゥーランドット:ジョヴァンナ・カゾッラ
アルトゥム皇帝:アルド・ボッティオン
ティムール:カルロ・コロンバーラ
カラフ:セルゲイ・ラーリン
リュウ:バルバラ・フリットーリ

フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
フィレンツェ五月音楽祭合唱団&児童合唱団
北京舞踏学院

1998年9月 北京紫禁城でのライブ

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26 February 2006

一柳慧《愛の白夜》世界初演

white_nights2006年2月24日(金)
神奈川県民ホール 大ホール

神奈川県民ホール30周年を記念して委嘱されたオペラ《愛の白夜》を観てきました。

お話は、1940年 リトアニアの首都カウナスの日本領事館に勤務する領事杉原千畝が、ナチスの迫害から逃れて来たユダヤの人々から日本通過のビザ発給を求められ、悩み苦しんだ末に日本外務省に背いて発給を決意するまでを、杉原領事夫妻の愛や若い恋人たちの愛、そしてゲシュタポの暗躍する当時の混乱した状勢を背景に描いたものでした。

もちろん最初から、ワクワク楽しい作品ではないことは解っていたのですが、本当にずっしりと重たい作品でした。
でも、決して後味の悪いものではありませんでした。

その理由は、演出がとても良かったこと。音楽が解りやすかったこと。歌手が粒ぞろい。コンテンポラリーダンスが効果的に取り入れられていたことなど、複数の要因が重なったからだと思います。
きっと時間をかけて、作曲者、演出家、振付家、歌手、ダンサーなどスタッフが一丸となって創りあげてきたのだろうなぁと、制作過程がこちらにも伝わってくるような、とても丁寧な仕上がりの好感の持てる舞台でした。

舞台美術は、鉄条網に囲まれた半円の中に傾斜のついた台が全幕を通して常に置かれていたシンプルなものでしたが、その台を回転させることで場所を切り替える、なかなか優れたものでした。
それから、森の中や駅構内などを表現するための舞台真上からの照明が、とても斬新で効果的でした。
演出家の白井晃さんは、オペラの演出は今回が初めてとのことでしたが、これからも、どんどんやってほしいなと思いました。

コンテンポラリーダンスが登場したのも新鮮でインパクトがありました。
ダンサーの動きだけで、ユダヤ人の強制収容所のガス室におくられてゆく様子を描き出し、迫害されるユダヤ人の苦しみを象徴的に表現した場面など、先日観たプレルジョカージュの《N》とも共通するものがあり、私にとっては今回のオペラの中で一番強く印象に残る場面となりました。

それにしても、神奈川県民ホール大ホールは、ガラス張りのロビーから横浜港の美しい夜景を眺められるところがイイですね。
私も久しぶりに、幕間に港の眺めを楽しむことができました。

   ◇  ◇  ◇

オペラ《愛の白夜》3幕5場

作曲:一柳慧
台本:辻井喬
指揮:外山雄三
演出:白井晃

上原専治:井原秀人
上原雪子:天羽明惠
アギリア:塩田美奈子
ヨーニス:鈴木准
バルファティ:近藤政伸
オットー:平野忠彦
ダニエル少年:鵜木絵里
合唱:東京オペラシンガーズ
ダンス:北村明子 レニ・バッソ
管弦楽 :神奈川フィルハーモニー管弦楽団

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16 January 2006

指揮者 大野和士さん

KazushiOno2006年1月15日(日)津田ホール

昭和音楽大学オペラ研究所主催の公開講座「オペラ・ハウスの芸術運営と創作過程」に行ってきました。
今回の講師は、指揮者の大野和士さんでした。

前半は、大野さんの子供の頃のオペラとの出会いや、ミュンヘンでの修行時代のお話に始まり、現在、就任されているベルギーのモネ劇場の芸術監督としてのお仕事にいたるまでの、ピアノ演奏と様々な楽しいエピソードを交えての講演でした。

大野さんが留学していた1980年代当時のバイエルン国立歌劇場は、ヴォルフガング・サバリッシュ、シュゼッペ・パタネばかりでなくカルロス・クライバーも指揮台に立っていたのだそう。
さらに、当時のミュンヘン・フィルの主席指揮者はセルジュ・チェリビダッケ!
毎日のように名指揮者達の演奏に接していたそうで、ミュンヘン時代が現在の大野さんの原点だとおっしゃってました。

ユーモア一杯のおしゃべりと、オペラのメロディーをサラリといとも簡単にピアノで弾いてくれるのを見ていて、今はなくなってしまった東フィル・オペラコンチェルタンテ・シリーズの開演前に、当時、東フィルの常任指揮者だった大野さんが毎回プレトークしてくれたのだったなぁと、ちょっと懐かしく思い出したのでした。

そして後半は、プロのソプラノ歌手とテノール歌手を交えてのワークショップ。
オペラを作り上げるために、指揮者は歌手と、どんな練習を重ねるのか、その一端を見せてくれました。
それにしても大野さんて、とってもピアノが上手なんですね~ 再認識。

今回は、ドニゼッティの《愛の妙薬》、プッチーニの《ラ・ボエーム》、ヴェルディの《椿姫》からのアリアや二重唱を取り上げて聞かせてくれたのですが、言葉ひとつひとつの持つ意味や音節までも指揮者は歌手に指示を与えるのです。オペラの指揮者って、すごいんだなぁと改めて思ったのでした。

久しぶりに大野さんのお話が聞け、とても楽しい一時でした。
そういえば、講演の中で、モネ劇場で初演されエクス・アン・プロヴァンス音楽祭でも上演された新作オペラ《ジュリー》のお話が出たのでした。
私、チケット持ってたのに、例の事件で聴けなかった公演だぁ・・・
く~ぅ(涙)

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05 January 2006

ザルツブルク音楽祭2005 ヴェルディ《椿姫》

netrebko先日、2005年ザツルブルク音楽祭で上演されたヴェルディ《椿姫》を、NHKのBS-hiで観ました。

とにかく、すごくよかった~
とてもシンプルだけど美しい舞台に、もう釘付け!
それはきっと、歌手もオケも演出も、全て完璧と言って良いくらい高いレヴェルのプロダクションだったからなのでしょう。

大きな弧を描いた舞台は、無駄なものを一切省いた何もない空間。その壁に、ただ一つ立てかけられた巨大な丸い文字盤の時計に、否が応でも目がいきます。
そして、その時計の前には老人が一人座っていました。

私は、この老人は、若さと美しさを奪い、最後には死へと導く「時の翁」(Father Time,時の擬人化)なのではないか?
そして、ことあるごとにヴィオレッタの傍にいる彼は、もしかして、この舞台を支配するキーパーソンなのではないか?
と、舞台の進行と共に、とても気になる存在になっていました。

指揮者がオケ・ピットに入り前奏曲が始まると、真っ赤なミニドレスに身を包んだヴィオレッタが大きな扉をこじ開け老人の座る部屋に入ってきます。
そして、この老人から、一夜で色褪せてしまうという白い椿の花を一輪手渡されオペラは幕を開けるのです。

実は、このオペラ、始まるやいなや合唱が「招待の時刻は、もう過ぎてしまった・・・」と歌い、それに対してヴィオレッタが「残った夜の時間を、楽しみに費やしましょう。」と歌ったり、第2幕で、パパ・ジェルモンがヴィオレッタに向かって「男は移り気だから、時があなたの魅力を失わせ、すぐに飽きが来たら・・・」と歌ったりと、気をつけて聞いていると、幾つも時間に関する台詞が出てくるのです。

ぐるぐるとスピードを上げて回る時計の針を止めようとするヴィオレッタの姿もありました。
遠くから見つめる老人に向かって、シャンパンのグラスを投げつけるヴィオレッタもいました。

そして物語はすすみ、第3幕、ヴィオレッタの病室に、またあの老人が現れます。(というより、2幕の終わりからずっと居たのです。コワイ!)
そうなんです! ヴィオレッタの影にいつも寄り添っていた時の翁は、グランヴィル医師だったのです。
そして極めつけがグランヴィルがアンニーナに小声で「時間の問題です。」と、ヴィオレッタの病状を伝える言葉です。

私も、今まで数多くの椿姫を見てきたけれど、今回ほどメメント・モリを、強く感じずにはいられない演出は、他にありませんでした。

賛否両論あるでしょうが、私はこういう演出が好きです!(笑)


歌手で特筆すべきは、やっぱりヴィオレッタを歌ったアンナ・ネトレプコの活躍。
彼女なくして、この舞台の成功はなかっただろうし、彼女のために作られたプロダクションと言っても過言ではないと思いました。
特に、天真爛漫な彼女の素のキャラクターをそのまま活かしたような第2幕第1場の演出は「ちょっと元気よすぎやしない?」と思わなくもなかったけれど、これまでの高級娼婦ヴィオレッタのイメージをガラリと変えることができたのも、ネトレプコだったからこそでしょう。
美貌、声、歌唱力、演技力と、恐ろしいほど沢山の才能を持ち合わせた、とにかく凄いソプラノです。

それから、トマス・ハンプソンも、今までに見たことのないパパ・ジェルモンを熱演してました。
本気で息子と殴りあいしちゃいそうな若いパパって感じが新鮮で面白かったです。

そして、大抵、期待していて裏切られるのがアルフレード役なのですが、今回の ロランド・ビリャソンは違いました。
歌も声も安定しているのに、とても若々しく、久しぶりに良いアルフレードに出会えたなぁと嬉しくなりました。

何はともあれ、素晴らしい《椿姫》でした!
一度でも真剣に恋をしたことのある女性なら、涙なしには見られない舞台だと思います!(笑)


2005年8月7日 ザルツブルク祝祭大劇場
ヴェルディ《椿姫》
指揮: カルロ・リッツィ
美術 : ウォルフガング・グスマン
演出 : ウィリー・デッカー
ヴィオレッタ:アンナ・ネトレプコ
アルフレード: ロランド・ビリャソン
ジョルジョ・ジェルモン:トマス・ハンプソン
グランヴィル医師: ルイージ・ローニ
合唱: ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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05 December 2005

ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》

chenier032005年12月2日(金)
新国立劇場オペラ劇場

ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》を観てきました。

先日《ホフマン物語》でステキな舞台を見せてくれたフィリップ・アルローの新作です。
私、これで、もうすっかりアルロー・ファンになってしまいました。

chenier04実は、このオペラ、聴くのも観るのも今回が初めてでした。
何やらフランス革命の頃の話らしいということだけはチラッと耳にしたものの、あらすじも知らずに舞台に臨んでしまったのです。
でも、その先入観ゼロがかえって良かったようです。

白を基調とした洗練された舞台美術。
立体的な照明。
断頭台の刃をイメージさせる斜めの線や傾いた壁。
それらが上手く調和した舞台は、どの場面も造形的にとても美しく、絵画作品を鑑賞しているような気分になりました。
それもそのはず、アルローは、第一幕はフラゴナールなどのロココ絵画を、第二幕はドラクロワの《民衆を率いる自由の女神》を、第三幕はゴヤの暗い時代を象徴する絵画を、第四幕はカスパル・ダーヴィト・フリードリヒの世界を素材として使ったのだそうです。

う〜ん、なるほどねぇと、強く感心させられてしまいました。

chenier01兎に角、品位を保ちながらフランス革命や恐怖政治をダイナミックに表現している凄い演出だと思いました。
そんな訳で、音楽ファンのみならず、美術ファンの方にも是非見て欲しいプロダクションです。

chenier02それから、開演前に「ルカーチは風邪をひいていますが、ベストを尽くします。」とのアナウンスが入りましたが、全く心配ない歌いぶりでしたし、タイトルロールのカール・タナーも熱演でした。
特に、ジェラール役を歌ったレイフェルクスが野性味ある歌を聴かせてくれて、バリトン好きの私は大満足でした。
先日のモリスといい、やっぱりバリトンがイイと作品がしまりますね。

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02 December 2005

オッフェンバック《ホフマン物語》

hoffmann012005年11月30日(水)
新国立劇場オペラ劇場

一昨日、オッフェンバックの《ホフマン物語》を観てきました。

2003年に初演されたフィリップ・アルロー演出のプロダクション。
特にアントニアの幕は、舞台美術の完成度も高く、オッフェンバックの音楽も充実していて「いいなぁ、好きだなぁ」って、そういえば2年前に観た時も、同じこと言ってたなぁと思い出したのでした。

詩人ホフマンを歌ったクラウス・フロリアン・フォークトは、若々しく勢いある歌を聴かせてくれました。
特に高音の伸びがよくスカッとした声は魅力的でした。
その分、どちらかといえば体育会系ホフマンって感じではあったかも。

hoffmann02圧倒的な存在感で舞台を引き締めていたのが、ジェイムズ・モリス。
深みのある声、堂々とした舞台姿、ステキでした。
悪役がバシッと決まると物語にめりはりが出て舞台がとても盛りあがりますね。

hoffmann03それにしても残念だったのは、空席が多かったこと。
2階正面ブロックなんて1列目しか埋まっていませんでした。

人形オランピアのアリアは歌も振りも楽しいし、良く知られた「舟歌」も出てくるし、壮大なエピローグ、と聴きどころ見どころの多い楽しいオペラだと思うのだけど・・・

人気ないのかなぁ。

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21 November 2005