03 May 2008

イタリア映画祭2008『カラヴァッジョ』

Cinema_italiano20082008年5月2日(金)
有楽町朝日ホール

大型連休恒例のイタリア映画祭で日本初公開の新作『カラヴァッジョ』を観てきました。
とても見応えがあり、面白かった!(^^)

ミケランジェロ最期の地ポルト・エルコレに向かう小さな漁船の上で意識朦朧としながら波乱の生涯を回想するという作りは映画としては平凡かなぁ?とも思ったけれど、デレク・ジャーマン監督の作品のように偏ることなく、ミケランジェロを多くの人々から愛された人間味あふれる魅力的な人物として、それも比較的淡々と描いていて、私としては大満足の作品でした。(^^)

ま、確かに、ミケランジェロの作品を観れば、頭に血ののぼりやすい熱い人間だったろうことは解るのだけど、彼の起こした傷害事件や殺人事件がミケランジェロの類い希な才能や魅力に嫉妬した者たちの挑発によって起こったことがキチンと描かれていたし、それ以上に彼の人間的魅力や才能を認め擁護する人々が周囲に大勢いたことが、とても良く解る映画でした。

そして何より感心したのは、ミケランジェロの絵のモデルとなった映画の登場人物が、どこで探してきたの〜?と驚くほどソックリだったこと。(^^)
マルタ騎士団長のヴィニャクールを演じた役者さんも絵の中から出てきたのかと思う程でした。(^^)
そうそう、忘れてはいけない! ミケランジェロを演じた俳優さんも良く似ていたし、なかなかのハンサムでした〜♪

映画の中には沢山のカラヴァッジョ作品が出てくるのは勿論、素描や下絵を使わずモデルを使って制作する様子や、当時おこった社会的事件によってインスピレーションを得たことなどカラヴァッジョ研究や史実に則って描かれていた点も良かったです。
当時の街の様子や衣裳なども見応えがありました。
マルタ島のハチミツ色の建物も忠実に表現されていたのにも感心感心。(^^) 現地でロケしたのかなぁ?

この映画、当初、この秋にも一般公開されると発表されていましたが、没後400年に当たる2010年に延期になったそうです。
イタリア美術や西洋美術史好きだったら見逃すと絶対に後悔する映画だと思います♪
私も、もう一度みるつもりです。(^^)

  ◇  ◇  ◇

『カラヴァッジョ』(原題)

制作年:2006年
監督:アンジェロ・ロンゴーニ
脚本:ジャイムズ・H・カリントン、アンドレア・プルガトーリ
美術:ジャンティート・ブルキエッラーロ
衣裳:リア・フランチェスカ・モランディーニ
音楽:ルイス・バカロフ

カラヴァッジョ:アレッシオ・ボーニ
ミンニーティ:パオロ・ブリグリア
オノリオ・ロンギ:ベンヤミン・サドラー
コンスタンツァ・コロンナ:エレナ・ソフィア・リッチ
デル・モンテ枢機卿:ホルディ・モッラ
ベアトリーチェ・チェンチ:マリア・エレナ・ヴァンドーネ
ドゥ・ヴィニャクール:フランソワ・モンタギュ

【関連エントリー】
カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネの斬首》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
カラヴァッジョ《執筆する聖ヒエロニムス》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
宮下規久朗『カラヴァッジョへの旅』
ジョナサン・ハー『消えたカラヴァッジョ』

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20 February 2008

ゴッホとモネが見つかる

ゴッホとモネの作品が、盗難にあった時と同じ状態で見つかったそうです。やった!
無傷だったのね。良かった良かった。(^^)
もしかしたら、セザンヌとドガの2点も近くにあるかもしれない!


史上最高額の盗難絵画2点を発見 ゴッホとモネ
2008年02月20日01時01分 asahi.com

 スイス・チューリヒの美術館「ビュールレ・コレクション」で10日、ゴッホ、セザンヌ、ドガ、モネの大作計4点が盗まれた事件で、地元捜査当局は19日、ゴッホとモネの2点を発見した、と発表した。この事件は被害総額が1億8千万スイスフラン(約175億円)と推計され、世界の美術品盗難史上で最大規模の被害といわれていた。

 現地からの報道によると、見つかったのはモネ「ベトゥイユ近辺のひなげし」とゴッホ「花咲くマロニエの枝」。18日、チューリヒ市内の精神科病院の駐車場に放置されていた車の後部座席にあったという。残るドガ「ルピック伯爵と娘たち」、セザンヌ「赤いチョッキの少年」は不明。

 4点は、同館内に押し入った覆面の男3人に奪われていた。

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12 February 2008

スイスで絵画盗まれる!

175億円相当の絵画盗まれる=セザンヌ、ゴッホなど4点-スイス

Paul_cezannes_boy_in_a_red_waistcoa 【ジュネーブ11日時事】スイスのチューリヒ州警察は11日、チューリヒ市内の美術館「ビュールレ・コレクション」で10日午後に、セザンヌやゴッホなどの絵画が盗まれる事件が起きたと発表した。被害額は推定で約1億8000万スイスフラン(約175億円)に上るという。
 盗まれたのはセザンヌの「赤いベストを着た少年」とゴッホ、モネ、ドガの計4作品。
(2月12日0時0分配信 時事通信)

Vincent_van_goghs_blossoming_chestn今朝、目覚めて一番のラジオ・ニュースを聴いて驚きました。

これは大変だぁ!
ああん、でも、この記事じゃ詳しいことが全然わからない。
他の3点の作品は何だろう?
やっぱり海外のサイトじゃないとダメかな?

という訳で、ちょっと出張してきました。
盗まれたのは、この4点だそうです。

Claude_monets_poppy_field_at_vetheuPaul Cezanne
"Boy in a Red Waistcoat"
Vincent Van Gogh
"Blossoming Chestnut Branches"
Claude Monet
"Poppy Field at Vetheuil"
Edgar Degas
"Ludovic Lepic and His Daughter"

Edgar_degas_ludovic_lepic_and_his_dビュールレ・コレクションは、印象派、後期印象派の重要な作品を所蔵していることで知られていて、今回、盗まれた作品はコレクションの中で最も貴重なものだったそうです。

あ~本当に、さすが良い作品ばかりですね。
兎にも角にも、作品が無傷で戻ってきますように。

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10 February 2008

ジョナサン・ハー『消えたカラヴァッジョ』

Harrジョナサン・ハー(田中 靖/訳)『消えたカラヴァッジョ』(2007年、岩波書店)を読み終えました。
長いこと、その行方が解らなくなっていたカラヴァッジョの《キリストの捕縛》が、1990年アイルランドのダブリンにあるイエズス会の宿舎で発見されるまでが綴られた、とっても面白い一冊でした。

美術史を専攻している二人のイタリア人女学生フランチェスカとラウラが人脈を駆使して名門貴族マッテイ家の古文書庫に入り込みカラヴァッジョの作品に関する重要な記述を見つけだしたり、ダブリンのナショナル・ギャラリーのイタリア人絵画修復士ベネデッティが、ある日、偶然に見つけだしたカラヴァッジョらしき作品を間違いなく真筆だと確信するまでのいきさつなど、ミステリーを読んでいるかのようなワクワク・ドキドキ感に溢れていて、途中ノンフィクションであることを忘れてしまいそうでした。

Cattura_di_cristo本の登場人物は全て実名で『イタリア絵画史』など著書で有名なロベルト・ロンギをはじめ、2001年に東京都庭園美術館で開かれた「カラヴァッジョ展」のカタログに執筆している研究者の名前も複数出てきて、思わず私も興奮してしまいました。(^^;;;

そんなにボリュームのある本ではないのですが、美術史家の研究の進め方や、修復士による絵画修復の具体的な方法が解るばかりでなく、カラヴァッジョの生涯や人物像も簡潔に記述されていて、ベッドのシーツに絵を描いたり、描きかけのカンヴァスを裏返してその上で食事をとったなんて言うエピソードまでありました。

そうそう!私も実行したのですが、傍らにカラヴァッジョの画集、そしてローマの地図を用意して読めば、更に楽しさ倍増です♪(^^)

【画像】
カラヴァッジョ《キリストの捕縛》
1602年 油彩・カンヴァス 133.5×169.5cm
ナショナル・ギャラリー・オブ・アイルランド(ダブリン)

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13 November 2007

宮下規久朗『カラヴァッジョへの旅』

Miyasita01カラヴァッジョ研究の第一人者宮下規久朗さんの新刊『カラヴァッジョへの旅 ― 天才画家の光と闇』(2007, 角川学芸出版)を読みました。

昨年、マルタ島へ行く前後に、宮下さんの著書『カラヴァッジョ ― 聖性とヴィジョン』 (2004,名古屋大学出版会)や『西洋絵画の巨匠 カラヴァッジョ』(2006,小学館)は、じっくり読ませていただいたのですが、この3冊目も、とても読みやすく、大きさも手ごろで、ラッシュアワーも何の其の!通勤電車の中でも楽に読めてしまう面白い本でした。

文中に配された数多い図版(白黒だけれど1,785円という価格では仕方ないと思う)が理解の助けになること、逆に文章の流れを途切れさせる「注」が無いことが、スラスラ読めてしまう理由かもしれません。
しかし、巻末には、しっかりと参考文献がまとめられている親切さ。
カラヴァッジョ・ファンだけでなく、カラヴァッジョって殺人まで犯した嫌なヤツ!あんまり好きじゃないな~という人にも読んで欲しいと思う一冊でした。

それにしても、宮下さんて、その容貌が、ちょっとカラヴァッジョに似てない?!って以前から思っていたのだけど・・・
最近、ますますソックリになってきたような~(^^;;;;; 気のせい?

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22 January 2007

タルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』

Andrei_rublevアンドレイ・タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』を観ました。

またもやタルコフスキー監督にやられちゃいました。
う~ん、もう参りました。
素晴らしいです。

映画の最後の最後、大聖堂の鐘造りの責任者という大役を悪戦苦闘しながら果たし、緊張が途切れて泣き崩れた少年を抱きかかえたアンドレイ・ルブリョフは、

「もう泣くな、私と一緒に行こう。
私もまた絵を描く。 お前は鐘を造れ。」 

と言葉をかけます。

実は、10年にも及ぶ長い間、イコン画家アンドレイ・ルブリョフは筆を折り、無言の行を自らに課していたのです。

「ああ良かった。とうとうアンドレイが再び絵を描く気持ちになれた。本当に良かった。」とホッとしたと同時に、じわっと静かな感動がこみ上げて来たのでした。

すると、それまでずっと白黒の陰鬱だった画面が、突如、目も眩むような美しいカラー画面に変わり、アンドレイ・ルブリョフがトロイツェ・セルギエヴァ大修道院(ザゴルスク 現セルギーエフ・パサート)の中のトロツキー聖堂に残した《聖三位一体》(現在はトレチャコフ美術館所蔵)が、ゆっくりと語りかけるように映し出されるのです。
一見細切れで、何の脈絡もないように思えた数々のエピソードが、最後に私の中で繋がったのでした。


15世紀のロシア。
異教徒タタール人の侵略、飢饉、内乱、圧政といった様々な苦難の中、生きる人々。そして、イコン画家アンドレイ・ルブリョフ。
もしかしてタルコフスキー監督は、自身をアンドレイ・ルブリョフの姿に重ね合わせていたのかもと、ちらっと思ったのでした。


  ◇  ◇  ◇

『アンドレイ・ルブリョフ』 ANDREI RUBLYOV
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:アナトーリー・ソロニーツィン、イワン・ラピコフ、ニコライ・グリニコ
1967年(ソ連)

【画像】
アンドレイ・ルブリョフ(1360/1370~1430)
《聖三位一体》1420年代
板、テンペラ 142×114cm
トレチャコフ美術館(モスクワ、ロシア)

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25 November 2006

カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネの斬首》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)

あら! レ・パラダン、のだめ、須賀さん全集、モランディなどなど、次から次へ私の好奇心を刺激するものが現れるものだから、すっかり脱線してしまったけれど、そろそろマルタ旅行記に戻らなくちゃ。
このペースでは完全に年が明けてしまいそう・・・(^^;
せめて、マルタの至宝カラヴァッジョの《洗礼者聖ヨハネの斬首》だけでも片付けちゃおっと。

実は私、1996年夏、たまたま訪れたフィレンツェのヴェッキオ宮殿で門外不出のはずのこの作品を一度観ています。
本来あるはずのない場所での思いがけないカラヴァッジョの最高傑作との出会いに、すご〜く興奮したこともハッキリ覚えています。
今回のマルタ旅行の目的の一つは、10年ぶりに、この作品に今度は私から会いに行くことでした。

それでは、まいりま~す。

            ◇  ◇  ◇
 
St_john08しばらく豪華絢爛な本堂や礼拝堂で上を見たり下を見たりと忙しくしていた為かクラクラと軽い眩暈のような感覚を抱いたまま次の間へ進むと、そこが聖ヨハネの祈祷室 The oratory of St.Johnでした。

奥に細長く伸びた堂内には、いかにも特別な空間といった厳かな雰囲気が漂っており、入室者の殆どが他のものには目もくれず、一番奥の主祭壇で圧倒的な存在感を放っている巨大な祭壇画カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネの斬首》の前に吸い寄せられてゆくのでした。かく言う私も同じでした。(^^;

Saint_john_the_baptis《洗礼者聖ヨハネの斬首》(1608年、油彩・カンヴァス 361×520cm)は一段高くなった主祭壇の奥に架けられているため美術館で絵画を鑑賞するように接近することは出来ませんが、画面全体に散りばめられたハイライトが薄暗い室内に浮かび上がり、こちらに迫ってくるようです。

また、死刑執行人の背中、洗礼者聖ヨハネを押さえつける真っ直ぐに伸びた腕、洗礼者聖ヨハネの顔、銀の皿、サロメ、召使いの老女、看守、牢の格子窓から覗き見する2人の囚人へと、見るものの視線を順に導いてゆく画面構成の何と巧みなこと。

そして、恐ろしい死の場面が描かれているにも関わらず、その抑制された画面が静謐さをも感じさせるのです。
とても不思議な感覚です。
「うううむ、さすがカラヴァッジョ! 上手いなぁ!」と、シンと静まった部屋の中で、私は危うく声をあげてしまいそうになったのでした。

今さら言うまでもないことですが、洗礼者聖ヨハネは聖ヨハネ騎士団の守護聖人です。
もしかして、カラヴァッジョの描いた洗礼者は、騎士団そのものを象徴しているのではないでしょうか。
イスラム軍との激しい戦いを強いられ死を常に覚悟していた騎士達は、洗礼者聖ヨハネに自らの姿を重ね見たのかもしれません。
洗礼者聖ヨハネの首から流れる血は、二度目の洗礼と言われている「血の洗礼」を意味し、更に騎士達の「殉教」を現していたのかも?

St_john09蛇足ですが、主祭壇の前面についていた金色のレリーフも気になったので良く見てみると、こちらは洗礼者聖ヨハネの生首をサロメの持つ銀の皿に死刑執行人がのせている場面でした。う〜む、斬首づくし。(^^;


St_john10さて、この絵の作者ミケランジェロ・メリージ・カラヴァッジョ Michelangelo Merisi Caravaggio (1573-1610)は、聖ヨハネ騎士団長アロフ・ドゥ・ヴィニャクールの計らいで、1608年7月14日に「従順の騎士 Cavalieri di obbedienza」のうちの「恩寵の騎士 Cavaliere di grazia」の称号と、ご褒美に金鎖と二人の奴隷を与えられました。

ところが、またやっちゃったんです、血の気の多いミケくん・・・(^^;
僅か1ヶ月後の1608年8月18日、高位の騎士ベッツァ伯ロドモンテ・ロエロを襲撃し、8月27日には囚われの身となってしまったのです。

しかし、騎士の称号を得たことに大変な名誉を感じていたカラヴァッジョは、恐らく高い使命感や誇りを持って、この作品を描きつづけたのでしょう。
f.miche.Ang..lo(フラ・ミケランジェロ)すなわち「ミケランジェロ、ここ(ヨハネ騎士団)に属す」とサインした唯一の作品であることからも、それをうかがい知ることができます。
しかも、そのサイン、洗礼者聖ヨハネの首から流れ出した血だよん・・・ お〜っ

さぁ、捕らえられたカラヴァッジョ、この後の運命はいかに!

つづく〜(^^;

【関連エントリー】
聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
カラヴァッジョ《執筆する聖ヒエロニムス》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)

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20 November 2006

文庫版『須賀敦子全集』

Atsuko_suga_kawade先日、本屋さんをブラブラしていて、偶然イイモノ見つけてしまいました。(^^)

文庫版『須賀敦子全集』(2006年10月、河出文庫)です!

2000年に河出書房新社から全集が出た時も、いいなぁ~欲しいなぁ~とは思ったものの、一冊5,000円以上する本を全9冊揃えるのは、私には財政的にちょっと厳しく、諦めたままでした。(^^;

Morandi_1939_1その全集の文庫版が、この秋から順次、河出文庫から出版されるようなのです。
手にとってページをめくると、紙面が小さいので余白はギチギチ、文字もぎっしりで、決してレイアウト的に美しい本とは言えないのでありますが、やっぱり、お手軽価格が嬉しいです♪

Morandi_1948でもね・・・
これを揃えると、今まで集めてきた須賀さんの単行本や文庫本とダブってしまうのですよね・・・
本棚に並べておくには、文庫版全集は合理的なんだけど、古い本を処分するのも、ちょっと寂しいし・・・
どうしたものかぁ・・・

Morandi_1948_49ところで、平積みになっていたこの本を見つけた瞬間、一番最初に私の目に飛び込んで来たのは、実は表紙の絵柄でした。
「あ、モランディだ!」
「あれ? 須賀さんの全集だぁ!」
ってな具合に・・・(^^;

Morandi_1949でも、よくよく見ると、
「モランディの絵じゃない! 写真だよこれ~?」

ジョルジョ・モランディ Giorgio Morandi (1890-1964)は、イタリアのボローニャで生まれ没した画家。
若い頃描いた風景画も残っているけれど、やっぱりモランディと言えば瓶やカップの静物画ですよね。(^^)

Morandi_1955未来派との交流もあり、キュビスムっぽい静物を描いていた時期もあるけれど、私は1940年位から晩年にかけて描かれた、単調なようでいて絶妙なバランスを保っている構図と、柔らかな色調の静物画が大好きです。

Morandi_1957それにしても、表紙のモチーフ、モランディの絵画と驚くほどそっくり!
もしかして、現在、ボローニャに再現されているというモランディのアトリエで撮影したものだったりして?

表紙の写真は、イタリアの写真家ルイジ・ギリの『アトリエ・モランディ』からのものだということが解りました。
Luigi Ghirri "Atelier MORANDI "
(16Jan2007追記)

アトリエにも、いつか行ってみたいな。
モランディの静物画のような、静寂な世界が感じられるのだろうか?

Morandi_1960【画像 上から】

《静物》 1939年
油彩、カンヴァス 41,5×47,3cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)


《静物》1948年
油彩、カンヴァス 35,9×50cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)

《静物》1948~49年
油彩、カンヴァス 26×35cm
Thyssen-Bornemisza Museum(マドリッド、スペイン)

《静物》1949年
油彩、カンヴァス 32.5×42.0cm
ニューサウス・ウェールズ・アート・ギャラリー(シドニー、オーストラリア)

《静物》1955年
油彩、カンヴァス  35.56×45.72cm
ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C、アメリカ)

《静物》1957年
油彩、カンヴァス 35.4×40.9cm
ニューサウス・ウェールズ・アート・ギャラリー(シドニー、オーストラリア)

《静物》1960年
油彩、カンヴァス 35.5×40.5cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)

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04 November 2006

カラヴァッジョ《執筆する聖ヒエロニムス》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)

St_john10jpg1606年5月29日、既に画家として高い名声をあげていたミケランジェロ・メリージ・カラヴァッジョ Michelangelo Merisi Caravaggio (1573-1610)は、その激しい性格から、とうとうローマで殺人事件をおこしてしまい逃亡生活を余儀なくされます。そして、ナポリを経て、1607年7月2日、辿り着いたのがマルタ島でした。

マルタ島滞在中、カラヴァッジョは少なくとも5枚の油彩画を制作しており、そのうちの2枚1枚が当時の聖ヨハネ騎士団長アロフ・ドゥ・ヴィニャクール Alof de Wignacourtの肖像画です。(現在、パリのルーヴル美術館とフィレンツェのピッティ美術館がそれぞれ所蔵)
【注】近年、ピッティ美術館の肖像画は、聖ヨハネ騎士団メッシーナ支部長アントニオ・マルテッリの肖像画だということが判明しました。(11Dec2006追記)


そして、聖ヨハネ大聖堂のイタリア騎士の礼拝堂のために依頼された《執筆する聖ヒエロニムス》(1607年 油彩・カンヴァス 117×157cm)も、あら?よ〜く見ると聖ヒエロニムスの顔が騎士団長さんではありませんかぁ!
も〜!こんなところでもモデルさんになっちゃって〜(^^)

Saint_jeromeこの作品、1983年に一度盗難にあったため、現在、イタリア騎士の礼拝堂にはコピーが飾られ、1987年に取り戻され修復も済ませたオリジナルは付属美術館に展示されているのですが、コピーとは言え、本来の場所である礼拝堂の壁面にかけられた作品の傍らに立つと、カラヴァッジョが左上の高窓から差し込む光の効果まで計算にいれて制作したことが良く解ります。

また、聖ヒエロニムスのアトリビュートとされている枢機卿の帽子、幻覚を消すため胸を叩いた石、書物、ペン、髑髏、磔刑像も描かれ、メメント・モリを感じずにはいられませんでした。

あっ! 右下にマルタ十字をアレンジした紋章がある!
誰の紋章だろう?
ヴィニャクール騎士団長のものではなさそうですね。
気になるなぁ。
【注】紋章は、絵を注文した聖ヨハネ騎士団ナポリ支部長イッポーリト・マラスピーナのものだと解りました。(11Dec2006追記)

ところで、聖書をラテン語に訳した学者でもあった聖ヒエロニムスは、高い知性の持ち主であった一方で、とても激しやすい火のような性格だったそう。
なんだかカラヴァッジョと重なるところがありますね・・・

生涯に複数枚の聖ヒエロニムスを描き残したカラヴァッジョですが、短い間だったけれどマルタ島で静かな休息と反省の時をすごしながら描いた、この最後の聖ヒエロニムス。
彼は、一体どんな思いで、この絵と向き合っていたのだろう?

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聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)
カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネの斬首》聖ヨハネ大聖堂(ヴァレッタ)

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31 January 2006

「一度は見たい名画」ランキング

piero毎週土曜日、日経の朝刊と共に配られるNIKKEI プラス・ワン トップページの「何でもランキング」。

1月28日のテーマは「一度は見たい名画」でした。

その結果はというと。

1.レオナルド 《モナリザ》
  ルーヴル美術館(パリ)
2.ゴッホ 《ひまわり》
  損保ジャパン東郷青児美術館(東京)ほか
3.ムンク 《叫び》
  オスロ国立美術館(オスロ)ほか
4.レオナルド 《最後の晩餐》
  サンタ・マリア・デッレ・グラッツェ教会修道院(ミラノ)
5.ピカソ 《ゲルニカ》
  国立ソフィア王妃芸術センター(マドリード)
6.ミレー《落穂ひろい》
  オルセー美術館(パリ)
7.ミケランジェロ 《最後の審判》
  システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)
8.モネ 《睡蓮》
  オランジュリー美術館(パリ)ほか
9.ドラクロワ 《民衆を導く自由の女神》
  ルーヴル美術館(パリ)
9.フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》
  マウリッツハイス美術館(デン・ハーグ)

なのだそうです。
みなさんは、いくつ、ご覧になられましたか?

う~ん、確かに名品揃いですね。
どれもそれぞれ魅力的!
私は一応10作品全部観ているのですが、チャンスがあれば一度と言わず何度だって観たいです。(^^)

特にレオナルドの《最後の晩餐》やミケランジェロの《最後の審判》、オランジュリー美術館地下にある《睡蓮》の部屋など、建物と一体になった作品は、その作品の置かれた空間や周囲の環境あってこそ、そこに感じるものが沢山あるように思うので、また会いに行きたいなぁと思います。

そういう意味もあって、会いに行きたいと思っている作品は数限りなくあるわけですが、なかでも今一番観たいのが、ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品です。
ピエロの生誕地イタリア・サンセポルクロにある《キリストの復活》は、死ぬまでに一度は観ておきたいです。
町に災害や事件など騒動が起こると、人々がまず最初に「大丈夫だろうか?」と心配するのが市立美術館にあるピエロの《キリストの復活》のことなのだそうです。
ピエロは今も町の誇りであり、《キリストの復活》は心の拠りどころなのですね。
そんなサンセポルクロの人々の宝物を、是非、拝見させていただきたいなと思うのです。

それと、同じくピエロの作品、アレッツォのサン・フランチェスコ聖堂にある壁画《聖十字架伝》も見たいなぁ。
イタリア行きたい!

【画像】
ピエロ・デッラ・フランチェスカ《キリストの復活》1457年頃
フレスコ、テンペラ  225×200cm
サンセポルクロ市立美術館

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16 November 2005

森直義『修復からのメッセージ』

shuhuku森絵画保存修復工房の修復家、森直義さんの『修復からのメッセージ』ポーラ文化研究所(2003年)を読んでみました。

ヨーロッパの美術館や教会を訪ねると、お目当ての作品に会えなくて、ガッカリすることがよくありますよね。

その理由が他の美術館の企画展への貸し出しだったりすると悔しさが倍増しちゃうけど、修復中の時は「しょうがないかぁ」って、なぜか許せちゃうんですよね。(笑)

さて、その「絵画修復」が具体的にどんなことをするのか解りやすく紹介されているのがこの本で、入門書とも言えるとても読みやすいものでした。
作品の調査や修復方法だけでなく、材料についての解説もあり、絵を描く立場からも、とても勉強になりました。
これから自分が制作する時のヒントや注意としても参考になりそうです。

また、過去、数多く間違った修復がなされてきた事、画家による修復と修復家による修復との違いなど、とても興味深い記述もありました。

次は、ブランディの『修復の理論』に挑戦。手ごわそ〜

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17 August 2005

クリュティエの物語(2)

clytie

エウリュノメに変身したアポロンの「世界の眼である私が、おまえを好きになったのだ」という突然の言葉に、最初レウコトエは驚き怖がっていました。 しかし、間もなくアポロンが本来の姿にもどると、レウコトエは、その太陽神のまばゆいばかりの輝きに撃たれ、荒々しい振る舞いを受け入れたのでした。

それに深く苦しんだのが、アポロンに愛をよせていたクリュティエでした。
おさえられぬ嫉妬心と恋仇への怒りから、アポロンとレウコトエの認められぬ仲を父親にもらしてしまったのです。

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14 August 2005

クリュティエの物語(1)

apollo

ペルシャの国を支配するオルカモスと絶世の美女エウリュノメとの間には、レウコトエとクリュティエClytieという二人の娘がありました。
その娘たちが成人すると、その美しさで並みいる女たちに勝っていた母親も、とてもとてもかなわなくなったのだそうです。

目のはやい太陽神アポロン Apollonは、そんな美しい乙女レウコトエに心を奪われてしまったのでした。

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26 July 2005

イタリアのレスタウロ(修復再生)

先週7月17日から毎日つづけて8日間、NHKのハイヴィジョン生中継番組として「世界遺産 イタリア縦断1200キロ」が放送されました。

http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/bshilive/index.html

南イタリアの港町アマルフィに始まり、ローマ、シエナなどを経て、北イタリアのオルタまで、大都市や小さな街を訪ねる旅は、あまりにもステキで、毎夜、私をテレビにくぎ付けにしたのでした。

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23 July 2005

ナルキッソスの物語(4)

narcissus04 ナルキッソスは、こうつぶやきました。

「人を愛するということが、どんなに苦しいものか初めてわかった。水に映ったあの美しい姿をどうしてもつかまえられない。だからといって、ここを立ち去ることも出来ないなんて・・・
この苦しみを静めてくれるのは死だけだ。」
そして、そこに倒れて動かなくなりました。

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22 July 2005

ナルキッソスの物語(3)

narcissus03

森の奥深く、銀色に煌めく、澄みきった泉がありました。
ある日のこと、狩と暑さに疲れたナルキッソスが渇きを静めようと、泉の傍らに身を投げ出し、その泉の水で喉を潤しました。
すると、その時でした。

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21 July 2005

ナルキッソスの物語(2)

narcissus02ある日、森の中で仲間からはぐれてしまったナルキッソスが叫びました。
「誰かいないの? この近くに」
それにエコーは「この近くに」と答えました。

さらにナルキッソスは「こちらに来て」と呼びました。
エコーもまた同じように「こちらに来て」と彼を呼びました。

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20 July 2005

ナルキッソスの物語(1)

narcissus01

河神ケピソス Kephisosと青い水の中にすむ美しい妖精レイリオペとのあいだの子ナルキッソス Narcissusは、それはそれは美しい少年でした。
彼の姿を一目みただけで、どんな娘も心を動かされずにいられないほどの美しさでした。
ところが、ナルキッソスの中には、非情な思いあがりがあって、どんなに美しい娘も彼の心を動かすことは出来ませんでした。

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