19 January 2009

「イタリアへ 須賀敦子 静かなる魂の旅 最終話"ローマからナポリの果てに"」 

今日1月19日は、須賀さんの80回目のお誕生日。

なかなか纏まった時間がとれずHDDに入れっぱなしになっていた「イタリアへ 須賀敦子 静かなる魂の旅 最終話"ローマからナポリの果てに"」(BS朝日)をやっと見ることができました。

第1話"トリエステの坂道"や、第2話"アッシジのほとりに"に比べると、総括的で、掘り下げが浅く、物足りなさを感じてしまったのは、私が、つい最近まで『考える人』の特集を読んでいたせいもあるのかなぁ・・・

須賀さんの作品の朗読と、それに重ねられた美しい映像は、ちょうど人の歩く速さに合わせたようなゆったりとしたテンポで進み、慌しい日常から、しばし離れることはできたけれど、「やっぱり、須賀さんの作品を読まずして、須賀さんの本当の魅力は解らないよな・・・」と、逆に、改めて強く感じさせられました。

一昨日、従姉妹が須賀さんと同じ病気で他界しました。
病気がみつかって、手術もしたのに、わずか7カ月で天に召されてしまいました・・・
儚い命・・・

丁寧に生きよう。
今この瞬間瞬間を大切にしよう。

関連エントリ「イタリアへ 須賀敦子 静かなる魂の旅 第2話"アッシジのほとりに"」

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16 November 2007

「イタリアへ 須賀敦子 静かなる魂の旅 第2話"アッシジのほとりに"」 

11月18日(日)20:00~21:55、BS朝日で「イタリアへ 須賀敦子 静かなる魂の旅」 第2話"アッシジのほとりに"が放送されるそうです。

昨年、放送された第1話"トリエステの坂道"は、須賀さんにゆかりのある場所や美しい街並みの映像がふんだんに使われ、ふんわりと静かな時間が流れてゆくような作りで、NHKなどでよくあるドキュメンタリー番組や海外からの中継番組とは全く違った趣があり、「へぇ~民放でもこういう番組をつくるんだぁ」と新鮮に感じた覚えがあります。

私が、ジョットのフレスコ壁画《聖フランチェスコ伝》を見たくてアッシジを訪ねたのは、イタリア中部を襲ったウンブリア・マルケ地震よりも前のことだから、もうかれこれ10年以上も前のことになるのだけれど、その壁画や聖フランチェスコ大聖堂の佇まいにも、すごく感動したのは勿論、丘の上に築かれた小さなアッシジの街の細い坂道を登ったり下ったりしながら「こんな場所に生まれ育ったら、同じ人間でも、随分と違った人生を歩むことになるのじゃないかなぁ・・・ 住んでみたいなぁ・・・」と思うほど惹きつけられる美しい街でした。
第2話では、そのアッシジの街が主な舞台になるのかな?

アッシジは、須賀さんが8回も訪れた特別な場所。
明後日、放映される番組の前に、ペッピーノへの書簡も含め、須賀さんがアッシジについて書いた文章のいくつかを、もう一度、読み返してみようと思う。

関連エントリ「イタリアへ 須賀敦子 静かなる魂の旅 最終話"ローマからナポリの果てに"」 

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20 November 2006

文庫版『須賀敦子全集』

Atsuko_suga_kawade先日、本屋さんをブラブラしていて、偶然イイモノ見つけてしまいました。(^^)

文庫版『須賀敦子全集』(2006年10月、河出文庫)です!

2000年に河出書房新社から全集が出た時も、いいなぁ~欲しいなぁ~とは思ったものの、一冊5,000円以上する本を全9冊揃えるのは、私には財政的にちょっと厳しく、諦めたままでした。(^^;

Morandi_1939_1その全集の文庫版が、この秋から順次、河出文庫から出版されるようなのです。
手にとってページをめくると、紙面が小さいので余白はギチギチ、文字もぎっしりで、決してレイアウト的に美しい本とは言えないのでありますが、やっぱり、お手軽価格が嬉しいです♪

Morandi_1948でもね・・・
これを揃えると、今まで集めてきた須賀さんの単行本や文庫本とダブってしまうのですよね・・・
本棚に並べておくには、文庫版全集は合理的なんだけど、古い本を処分するのも、ちょっと寂しいし・・・
どうしたものかぁ・・・

Morandi_1948_49ところで、平積みになっていたこの本を見つけた瞬間、一番最初に私の目に飛び込んで来たのは、実は表紙の絵柄でした。
「あ、モランディだ!」
「あれ? 須賀さんの全集だぁ!」
ってな具合に・・・(^^;

Morandi_1949でも、よくよく見ると、
「モランディの絵じゃない! 写真だよこれ~?」

ジョルジョ・モランディ Giorgio Morandi (1890-1964)は、イタリアのボローニャで生まれ没した画家。
若い頃描いた風景画も残っているけれど、やっぱりモランディと言えば瓶やカップの静物画ですよね。(^^)

未来派との交流もあり、キュビスムっぽい静物を描いていた時期もあるけれど、私は1940年位から晩年にかけて描かれた、単調なようでいて絶妙なバランスを保っている構図と、柔らかな色調の静物画が大好きです。

それにしても、表紙のモチーフ、モランディの絵画と驚くほどそっくり!
もしかして、現在、ボローニャに再現されているというモランディのアトリエで撮影したものだったりして?

表紙の写真は、イタリアの写真家ルイジ・ギリの『アトリエ・モランディ』からのものだということが解りました。
Luigi Ghirri "Atelier MORANDI "
(16Jan2007追記)

アトリエにも、いつか行ってみたいな。
モランディの静物画のような、静寂な世界が感じられるのだろうか?

【画像】上から

《静物》 1939年
油彩、カンヴァス 41,5×47,3cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)

《静物》1948年
油彩、カンヴァス 35,9×50cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)

《静物》1948~49年
油彩、カンヴァス 26×35cm
Thyssen-Bornemisza Museum(マドリッド、スペイン)

《静物》1949年
油彩、カンヴァス 32.5×42.0cm
ニューサウス・ウェールズ・アート・ギャラリー(シドニー、オーストラリア)

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19 October 2005

対談「歴史的都心を豊かに育むイタリア」

atsuko_sugaイタリア文学者でエッセイストの須賀敦子さんの著書は、言葉一つ一つに優しいリズム感と品のよさが漂っていて、大好きなのだけど、ご自身の生き方も、ピンと一本筋がとおっていて、私の憧れの人です。

なんと、その須賀さんと、あの陣内さんの対談記事を発見してしまいました。

「歴史的都心(チェントロ・ストリコ)を豊かに育むイタリア」

初出は、日本ホームズというハウスメーカーが出しているらしい1993年4月15日の「Mr.&Mrs」という宣伝情報誌のようですが、『須賀敦子全集 別巻』 2001年、河出書房新社にも入っているので、今でも読むことができます。

ここでもイタリアの小さな地方都市が持っている底知れない魅力や、古いものを残し新しいものと融合させてゆくために辛抱強く取り組んでゆくイタリア人の価値観などが、お二人によって語られています。

規制が甘いゆえ大企業的なスクラップ&ビルドな建設産業化してしまった日本の建築と、形式の規制をなくし、韻もふまず、シブラルも定型も捨ててしまった結果、貧しくなってしまった日本の詩が並べて語られているのも、建築史家と文学者の対談らしいなぁと、妙に感心してしまいました。

ちなみに、イタリアは建築物に対しての規制が厳しいために、色々な次元から考えた結果、総合的空間デザインとなり、手作り的な温かみもあって、人々も生活しやすいものとなっていくのだそうです。

それにしても、須賀さんと陣内さんが、こんなところで繋がっていたなんて、ちょっと嬉しい!

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