2009年4月12日(日)
新国立劇場 オペラ劇場
《ワルキューレ》観てきました♪
2回の休憩を含めると5時間半にも及ぶ長い上演時間に、生ワルキューレ初体験の私が果たして耐えられるのか?と多少の不安もあったのですが、それは全くの杞憂だったどころか、運良く終演後のバックステージツアーにも参加することができ、結局、この日は新国立劇場で8時間もすごしてしまいました。(^^;
音楽的には心が震えるような感動こそ得られなかったけれど、歌手もオケも、まずまず安定した演奏だったし、何より、こんな長時間、聴衆を飽きることなく繋ぎとめられる作品って凄いなぁと思いました。
それはキース・ウォーナーの演出によるところも大きかったと思うのだけど、特に私は舞台美術が気に入りました。美術館でコンテンポラリーアートやモダンアートを見ているような楽しさが劇場で味わえてしまうのですから。(^^)
赤い大きな矢印と緑の小さな矢印の使い方は造形的にもキレイだったし、特大級の木馬と小さな木馬を登場させたり、力の関係を視覚的に表現しようとしているようにも思え、とても面白かったです。
以上、上演だけでも満足だった《ワルキューレ》だったのに、バックステージツアーで興奮冷め遣らぬ終演後の舞台裏まで見学できたことは、とてもラッキーでした♪
まず、配線コードや段差があり危険なのでとパンプスをスニーカーに履き替え(舞台に上る時は更にシューズカバーも着用)舞台裏にまわると、既に舞台装置は両袖と背後に納められた後で、ある程度の落ち着きを取り戻しているようでしたが、お仕事を終えたばかりの舞台監督さんや照明さんなど十数名のスタッフが、私たち見学者のために残ってくださっていて、実際に装置を動かして見せてくれたり、舞台裏の面白いエピソードを聞かせてくれたり、様々な質問にも答えてくれました。
それにしても、あのグラーネ木馬! 本当に巨大だった~
しかも、ただの板っぴら。
客席から見た時の、あの量感や立体感は照明のマジックなの? 騙されたぁ~(^^)
それから、いつも私は4階席や3階席から鑑賞しているので解らなかったのだけど、舞台装置や大道具って遠近をかなり強調して造られているのですね。
新国立劇場は、深さ15メートルもある主舞台の奈落をはじめ天井から釣り下がった数え切れないほどの照明やバトンなどの装置がハイテクによって制御できる最新鋭の舞台機構を備えているのだそうですが、意外にも第一幕で出てくる緑の矢印は長さや上げるスピードが一定ではないため、床下に潜ったスタッフが手動で上げていたのだそうです。
ヴォータンが回す8ミリ映写機のリールも、実は手動で操作していたそう。(^^)
また、天井から降りてくる大きな赤い矢印も音楽にあわせてピタッと定位置に止めるため、バックステージでは「今日のエッティンガーの棒は速め!」とか「今日はゆっくり目にね~」と連絡を取り合うのだそうです。
大道具で特に印象的だったのがブリュンヒルデが眠りにつく大きなベッドでした。
ベッドの後ろ側から前面にまわると、おっ!ブリュンヒルデがまだ寝てる~と思ったら、そうです!良く出来た人物大のお人形でした。(^^)
燃え盛る炎の中に横たわらなくちゃならないなんて歌手も大変だなぁと思ってたのに・・・
そうかそうか、そうだったのかぁ、また騙されちゃったぁ~(^^;;;
それにしても、ステンレスのベッドに横たわったブリュンヒルデ人形は、何だかまるでロン・ミュエックの作品みたいでした♪
私、バックステージツアーなるものに参加したのは今回が初めてだったのですが、20名の見学者を先導し説明してくれた営業スタッフやテクニカルスタッフのほか、終演後の座席を忘れ物や落し物がないか懐中電灯を使って一つ一つ丁寧にチェックしている客席案内スタッフの姿も目にすることができ、劇場って表舞台に立っている出演者ばかりでなく、影で支える多くのスタッフによって成り立っているのだということが改めて良く解りました。
(う~ん、これではまるで小学生の社会科見学の感想文だなぁ(^^;;;)
最後に、上の写真は舞台側から見たオケピットと客席です。
ほんの30分くらい前までエッティンガーが座っていたイスも写ってます。(^^)
歌手や奏者から指揮者が良く見えるように、指揮台の背後だけ白くなっているのだそうです。
他にも、なるほどね~と感心することが、まだまだ一杯あったのですが、キリがないので、おしまいにします。
◇ ◇ ◇
ワーグナー《ワルキューレ》
(楽劇《ニーベルングの指環》第1日)
指揮:ダン・エッティンガー
【初演スタッフ】
演出:キース・ウォーナー
装置・衣裳:デヴィッド・フィールディング
照明:ヴォルフガング・ゲッベル
ジークムント:エンドリック・ヴォトリッヒ
フンディング:クルト・リドル
ジークリンデ:マルティーナ・セラフィン
ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
ブリュンヒルデ:ユディット・ネーメット
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
ゲルヒルデ:高橋知子
オルトリンデ:増田のり子
ワルトラウテ:大林智子
シュヴェルトライテ:三輪陽子
ヘルムヴィーゲ:平井香織
ジークルーネ:増田弥生
グリムゲルデ:清水華澄
ロスヴァイセ:山下牧子
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
【関連エントリ】
ワーグナー《ラインの黄金》@新国立劇場
ワーグナー《ジークフリート》@新国立劇場
ワーグナー《神々の黄昏》@新国立劇場