23 March 2010

ワーグナー《神々の黄昏》@新国立劇場

2010年3月21日(日)
新国立劇場 オペラ劇場

春の嵐の吹き荒れた休日の午後、《神々の黄昏》を観てきました♪

東フィルの演奏もエッティンガーさんの曲づくりも意欲的で面白かったし、前作《ジークフリート》に引き続いて出演したジークフリート役のクリスティアン・フランツさんと、ブリュンヒルデを歌ったイレーネ・テオリンさんは、特に素晴らしかったです。

ジークフリートが余りにあっけなく殺されてしまったのには納得できなかったけど、舞台真中の一筋の光の道を這い上がってゆく場面で思わず涙がこぼれてしまったのは、やっぱり音楽と演出の相乗効果かな?

舞台装置には、前三作品のような大仕掛けや目新しさはなかったものの、造形的にはとても美しかったし、衣装もシンプルだけれど、それぞれのキャラクターを上手く現していて、視覚的には、とても楽しかったです。
それにしても、《ワルキューレ》では、あんなに巨大だったグラーネ木馬も最後はあんなに小さくなっちゃって・・・
そんなところにも、ちゃんと意味が込められていたのだなと、最後の最後まで演出の巧みさに感心させられました。

あ~あ、これで、とうとうトーキョーリングも終わってしまうのですね。今は、2年越しで長大な作品を聴き終えた達成感と満足感で一杯です。
ワーグナーに対して長いこと苦手意識を抱いていた私が《ニーベルングの指環》を全部観ることになるなんて、数年前には想像もできないことでしたから。

   ◇  ◇  ◇

ワーグナー《神々の黄昏》
(楽劇《ニーベルングの指環》第3日)

指揮:ダン・エッティンガー

【初演スタッフ】
演出:キース・ウォーナー
装置・衣裳:デヴィッド・フィールディング
照明:ヴォルフガング・ゲッベル

ジークフリート:クリスティアン・フランツ
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
アルベリヒ:島村武男
グンター:アレクサンダー・マルコ=ブルメスター
ハーゲン:ダニエル・スメギ
グートルーネ:横山恵子
ヴァルトラウテ:カティア・リッティング
ヴォークリンデ:平井香織
ヴェルグンデ:池田香織
フロスヒルデ:大林智子
第一のノルン:竹本節子
第二のノルン:清水華澄
第三のノルン:緑川まり

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【関連エントリ】
ワーグナー《ラインの黄金》@新国立劇場
ワーグナー《ワルキューレ》&バックステージツアー@新国立劇場
ワーグナー《ジークフリート》@新国立劇場

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15 February 2010

ワーグナー《ジークフリート》@新国立劇場

2010年2月14日(日)
新国立劇場 オペラ劇場

エッティンガー&東フィルの《ジークフリート》を聴いてきました♪

トーキョーリング初演時の2003年4月にも、なぜか気まぐれで《ジークフリート》だけは観ていたので、このプロダクションに接するのは今回が2回目。

初めて単独で観た時も、その斬新でポップな演出や舞台美術には惹かれるものがあり、すごくワクワクしたのだけど、物語や音楽の面白さを心から楽しめたかといえば、う〜む、まずまずだったかなと言うのが正直なところでした。

ところが今回は・・・
やっぱりリングって、続けて観ると楽しさが倍増するのですね♪
(あたり前でしょ!今頃わかったの?なんて言わないで〜)

もしかすると、昨年の夏休み、姪っ子と一緒にこどものためのオペラ劇場《ジークフリートの冒険》を観たせいもあるのかもしれないけど、今回は物語の流れや登場人物のキャラクターの理解も深まったし、ライトモチーフもバッチリ聴こえたし、演出的にも前二作と繋がる仕掛けが幾つもちりばめられていたことも解ったし、とても面白かったです。

前回は、電子レンジやミキサーを使って鍛え直したノートゥングや、ふわふわ空中遊泳する小鳥さんばかりが強く印象に残り、ほとんど記憶になかった第三幕の良さに気づいたのも、昨年の《ラインの黄金》や《ワルキューレ》と、つづけて鑑賞することが出来たからかもしれないなと感じました。
それにしたって、目覚めたブリュンヒルデとジークフリートの織りなすシルエットの美しかったこと〜

そうそう、エッティンガー&東フィルの演奏も良かったし(コンサートマスターは三浦章広さん)、歌手もみなさん熱演されていて、私は満足できました。
来月の《神々の黄昏》も楽しみ♪

   ◇  ◇  ◇

ワーグナー《ジークフリート》
(楽劇《ニーベルングの指環》第2日)

指揮:ダン・エッティンガー

【初演スタッフ】
演出:キース・ウォーナー
装置・衣裳:デヴィッド・フィールディング
照明:ヴォルフガング・ゲッベル
振付:クレア・グラスキン

ジークフリート:クリスティアン・フランツ
ミーメ:ヴォルフガング・シュミット
さすらい人:ユッカ・ラジライネン
アルベリヒ:ユルゲン・リン
ファフナー:妻屋秀和
エルダ:シモーネ・シュレーダー
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
森の小鳥:安井陽子
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【関連エントリ】
ワーグナー《ラインの黄金》@新国立劇場
ワーグナー《ワルキューレ》&バックステージツアー@新国立劇場
ワーグナー《神々の黄昏》@新国立劇場

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14 April 2009

ワーグナー《ワルキューレ》&バックステージツアー@新国立劇場

2009年4月12日(日)
新国立劇場 オペラ劇場

《ワルキューレ》観てきました♪

2回の休憩を含めると5時間半にも及ぶ長い上演時間に、生ワルキューレ初体験の私が果たして耐えられるのか?と多少の不安もあったのですが、それは全くの杞憂だったどころか、運良く終演後のバックステージツアーにも参加することができ、結局、この日は新国立劇場で8時間もすごしてしまいました。(^^;

音楽的には心が震えるような感動こそ得られなかったけれど、歌手もオケも、まずまず安定した演奏だったし、何より、こんな長時間、聴衆を飽きることなく繋ぎとめられる作品って凄いなぁと思いました。

それはキース・ウォーナーの演出によるところも大きかったと思うのだけど、特に私は舞台美術が気に入りました。美術館でコンテンポラリーアートやモダンアートを見ているような楽しさが劇場で味わえてしまうのですから。(^^)

赤い大きな矢印と緑の小さな矢印の使い方は造形的にもキレイだったし、特大級の木馬と小さな木馬を登場させたり、力の関係を視覚的に表現しようとしているようにも思え、とても面白かったです。

P1070506以上、上演だけでも満足だった《ワルキューレ》だったのに、バックステージツアーで興奮冷め遣らぬ終演後の舞台裏まで見学できたことは、とてもラッキーでした♪

まず、配線コードや段差があり危険なのでとパンプスをスニーカーに履き替え(舞台に上る時は更にシューズカバーも着用)舞台裏にまわると、既に舞台装置は両袖と背後に納められた後で、ある程度の落ち着きを取り戻しているようでしたが、お仕事を終えたばかりの舞台監督さんや照明さんなど十数名のスタッフが、私たち見学者のために残ってくださっていて、実際に装置を動かして見せてくれたり、舞台裏の面白いエピソードを聞かせてくれたり、様々な質問にも答えてくれました。

それにしても、あのグラーネ木馬! 本当に巨大だった~
しかも、ただの板っぴら。
客席から見た時の、あの量感や立体感は照明のマジックなの? 騙されたぁ~(^^)

それから、いつも私は4階席や3階席から鑑賞しているので解らなかったのだけど、舞台装置や大道具って遠近をかなり強調して造られているのですね。

新国立劇場は、深さ15メートルもある主舞台の奈落をはじめ天井から釣り下がった数え切れないほどの照明やバトンなどの装置がハイテクによって制御できる最新鋭の舞台機構を備えているのだそうですが、意外にも第一幕で出てくる緑の矢印は長さや上げるスピードが一定ではないため、床下に潜ったスタッフが手動で上げていたのだそうです。
ヴォータンが回す8ミリ映写機のリールも、実は手動で操作していたそう。(^^)

また、天井から降りてくる大きな赤い矢印も音楽にあわせてピタッと定位置に止めるため、バックステージでは「今日のエッティンガーの棒は速め!」とか「今日はゆっくり目にね~」と連絡を取り合うのだそうです。

大道具で特に印象的だったのがブリュンヒルデが眠りにつく大きなベッドでした。
ベッドの後ろ側から前面にまわると、おっ!ブリュンヒルデがまだ寝てる~と思ったら、そうです!良く出来た人物大のお人形でした。(^^)
燃え盛る炎の中に横たわらなくちゃならないなんて歌手も大変だなぁと思ってたのに・・・
そうかそうか、そうだったのかぁ、また騙されちゃったぁ~(^^;;;

それにしても、ステンレスのベッドに横たわったブリュンヒルデ人形は、何だかまるでロン・ミュエックの作品みたいでした♪

私、バックステージツアーなるものに参加したのは今回が初めてだったのですが、20名の見学者を先導し説明してくれた営業スタッフやテクニカルスタッフのほか、終演後の座席を忘れ物や落し物がないか懐中電灯を使って一つ一つ丁寧にチェックしている客席案内スタッフの姿も目にすることができ、劇場って表舞台に立っている出演者ばかりでなく、影で支える多くのスタッフによって成り立っているのだということが改めて良く解りました。
(う~ん、これではまるで小学生の社会科見学の感想文だなぁ(^^;;;)

最後に、上の写真は舞台側から見たオケピットと客席です。
ほんの30分くらい前までエッティンガーが座っていたイスも写ってます。(^^)
歌手や奏者から指揮者が良く見えるように、指揮台の背後だけ白くなっているのだそうです。
他にも、なるほどね~と感心することが、まだまだ一杯あったのですが、キリがないので、おしまいにします。

   ◇  ◇  ◇

ワーグナー《ワルキューレ》
(楽劇《ニーベルングの指環》第1日)

指揮:ダン・エッティンガー

【初演スタッフ】
演出:キース・ウォーナー
装置・衣裳:デヴィッド・フィールディング
照明:ヴォルフガング・ゲッベル

ジークムント:エンドリック・ヴォトリッヒ
フンディング:クルト・リドル
ジークリンデ:マルティーナ・セラフィン
ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
ブリュンヒルデ:ユディット・ネーメット
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
ゲルヒルデ:高橋知子
オルトリンデ:増田のり子
ワルトラウテ:大林智子
シュヴェルトライテ:三輪陽子
ヘルムヴィーゲ:平井香織
ジークルーネ:増田弥生
グリムゲルデ:清水華澄
ロスヴァイセ:山下牧子
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【関連エントリ】
ワーグナー《ラインの黄金》@新国立劇場
ワーグナー《ジークフリート》@新国立劇場
ワーグナー《神々の黄昏》@新国立劇場

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19 March 2009

ワーグナー《ラインの黄金》@新国立劇場

Dan_ettinger2009年3月18日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

ダン・エッティンガーの《ラインの黄金》を聴いてきました♪
私の席からはオケピットはおろかエッティンガーの指揮する姿も全く見えず、ちょっぴり残念でしたが、音楽はしっかり聴こえました♪
エッティンガー&東フィルは、もう何度も共演しているだけのことはあって、2時間半以上に及ぶ長い作品を上手くまとめてました。
ま、たまに金管楽器がホニョッとなって、コケそうに(私が)なりましたが(^^; 先月聴いた、シュナイダー&東フィルのヴリーガー編《リング》の時はバッチリだったので、それだけ金管楽器ってパシッと決めるのが難しいということなのでしょうね。

神々の世界の物語というよりは、今、私たちをとりまく現実の世界にもころがっていそうなお話だなと思わせる演出も面白かったです。
あちこちに、思わずククッと笑ってしまいそうになるオチャメな場面や、これには何か深い意味が込められていそうだなと注目させられる仕掛けがあって、とても楽しめました。

ヴォータンは、どこの会社にも居そうな、家に帰ると奥さんの存在が少々煙たい、だけど会社では空威張りしながら何か企んでいる役付きサラリーマン風だったし、フリッカはスタイリッシュなデザイナーものっぽいスーツで決めてたし、その他の役もキャラクターを際だたせた衣裳が良かったです。

それにしても、なぜ私は8年前の初演を観なかったのだろう?
ちょっぴり後悔・・・
ワーグナーの作品って、何だか重々しいし・・・ 小難しそうだし・・・ 長くて疲れそうだし・・・(小声で)ワグネリアンって近寄り難いし・・・(^^;;;; って思っていたのだったっけな?(^^;
そんな先入観も、あの時、観ていれば、いっぺんで吹き飛んだろうに。

何はともあれ、このプロダクションが、初演時、多くの観客から支持され絶賛された理由が、今回、よーく解りました。
でも、その再演も、これが最初で最後だとか・・・

   ◇  ◇  ◇

ワーグナー《ラインの黄金》
(楽劇《ニーベルングの指環》序夜)

指揮:ダン・エッティンガー

【初演スタッフ】
演出:キース・ウォーナー
装置・衣裳:デヴィッド・フィールディング
照明:ヴォルフガング・ゲッベル

ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
ドンナー:稲垣俊也
フロー:永田峰雄
ローゲ:トーマス・ズンネガルド
ファーゾルト:長谷川顯
ファフナー妻屋秀和
アルベリヒ:ユルゲン・リン
ミーメ:高橋 淳
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
フライア:蔵野蘭子
エルダ:シモーネ・シュレーダー
ヴォークリンデ:平井香織
ヴェルグンデ:池田香織
フロスヒルデ:大林智子
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【関連エントリ】
ワーグナー《ワルキューレ》&バックステージツアー@新国立劇場
ワーグナー《ジークフリート》@新国立劇場
ワーグナー《神々の黄昏》@新国立劇場

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21 April 2008

ウェーバー《魔弾の射手》@新国立劇場

2008年4月20日(日)
新国立劇場 オペラ劇場

ダン・エッティンガーが聴きたくて、新国立劇場へ行ってきました♪

この作品、ドイツでは、とても人気のある演目なのだそうですが、私は、この日、生まれて初めて聴きました。(^^; (予習の為に一応CDは聴いたけど)
そんな訳で、どうしてドイツ人は、このオペラが大好きなのか?と、ずっと考えながら鑑賞することになってしまい、結局、理由は何となく解ったような?解らなかったような?だったのですが(^^;;; ま、日本人の私も、それなりに楽しめる公演でした。

ゆっくり目で始まった序曲は次第にテンポがあがり、エッティンガーさんの緩急メリハリのある指揮は、途中、歌が取り残されそうになる箇所もなくはありませんでしたが、まずまず楽しめました。(^^)
そうそう、エッティンガーの振るオペラを聴くのは2006年の《イドメネオ》以来かと思っていたら、2007年の《ファルスタッフ》も、そうだったみたいです。(^^;
あの時は、フェルメール風の舞台美術にばかり目がいってしまって、やっぱり耳が疎かになっていたのだなぁ、反省。

歌手は、アガーテを歌ったエディット・ハッラーの暖かな声が清らかな乙女にピッタリで、その丁寧な歌いぶりにも好感が持てました。
エンヒェンのユリア・バウアーは、声量がなく時々オケの音に歌が負けてしまいそうでしたが、ボーイソプラノ思わせるピュアな声には独特の魅力がありました。
おまけに演技も上手いし容姿もホッソリ可愛いので、ズボン役なんて良さそうと思ったら、既にオスカルを歌ったことがあるようですね。(^^) ケルビーノも似合いそうだな♪

演出や舞台美術は、まるで、どこかのテーマパークのアトラクションのようでした。(^^;
そう感じさせる要因の一つにもなっていたポップな衣裳は、NHKの幼児番組「にほんごであそぼ」の美術や衣裳でもお馴染みのアーティスト ひびのこづえさんが担当されていて、私的には全然OK!でした。(^^)
村の娘たちのボヘミアン・テイストの衣裳も、とても可愛く、この春ちょうどストリート・ファッションにもなってるので、そのまま街に出ていっても大丈夫そうって思いながら見てました。

それから、狼谷の場面ではPAが使われ、合唱やザミエルの声が劇場の客席までグルグルまわるようにエコーさせたのには驚きました。けれど、今後こういう手法が増えるのかなぁ? こういうのもありなのかも?って、それなりに楽しみました。

   ◇  ◇  ◇

ウェーバー《魔弾の射手》

指揮:ダン・エッティンガー
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
衣裳:ひびの こづえ

アガーテ:エディット・ハッラー
エンヒェン:ユリア・バウアー
カスパール:ビャーニ・トール・クリスティンソン
マックス:アルフォンス・エーベルツ
隠者:妻屋 秀和
ザミエル:池田 直樹
オットカール侯爵:大島 幾雄
クーノー:平野 忠彦
キリアン:山下 浩司
花嫁に付き添う四人の乙女:鈴木 愛美、田島 千愛、高橋 絵理、中村 真紀

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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22 June 2007

ヴェルディ《ファルスタッフ》@新国立劇場

Falstaff2007年6月13日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

《ばらの騎士》を楽しんだ翌日、またもや新国立劇場で、今度は《ファルスタッフ》を観ました。

ほんとうは違う演目のオペラを二日連続で観るなんてしたくなかったのだけど、チケット発売日に新国のwebボックスオフィスにアクセスして「最安席」「平日」という条件で絞っていったら結果的にこうなってしまいました。(^^;
という訳で、前夜の《ばらの騎士》の余韻も冷めぬまま《ファルスタッフ》に臨むという、無謀というか、勿体ないというか、何とも贅沢な鑑賞となってしまったのでした。

The_loveletterさて、その《ファルスタッフ》、難しいことは一切ぬきに、ユーモア溢れるヴェルディの音楽とストーリーを堪能することができました。
そして、何よりも楽しめたのが舞台美術でした。

そうなんです!
もう既にチラシでお解りのとおり、衣裳にはじまり、リュートやヴァージナルなど楽器、光の射し込む窓や白黒の大理石の床など室内装飾に至るまで、舞台の上すべてが「フェルメールの世界」だったんです。

The_concert特に、フェルメール自身も作品制作に取り入れていた「二点透視描法」を使って表現された床の模様は、舞台袖に深い奥行きを作り出し、とても強いインパクトのある舞台になっていました。

それにしても、ジョナサン・ミラーさんて「遠近法」好きなのかしらん?(^^;
《ばらの騎士》では「一点透視描法」を使っていたものね。

Lperspektive01【上】《ばらの騎士》の舞台で使われた一点透視描法
【下】《ファルスタッフ》の舞台で使われた二点透視描法

Perspektive02

   ◇  ◇  ◇

ヴェルディ《ファルスタッフ》

指揮:ダン・エッティンガー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:ペーター・ペッチニック
再演演出:田尾下 哲
舞台監督:大仁田 雅彦

ファルスタッフ:アラン・タイタス
フォード:ヴォルフガング・ブレンデル
フェントン:樋口 達哉
医師カイウス:大野 光彦
バルドルフォ:大槻 孝志
ピストーラ:妻屋 秀和
フォード夫人アリーチェ:セレーナ・ファルノッキア
ナンネッタ:中村 恵理
クイックリー夫人:カラン・アームストロング
ページ夫人メグ:大林 智子

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【画像】
ヨハネス・フェルメール《恋文》1670年
44×38.5cm 油彩・カンヴァス
アムステルダム国立美術館(アムステルダム)

ヨハネス・フェルメール《合奏》1665~1666年頃
72.5×64.7cm 油彩・カンヴァス
イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館(ボストン)
※1990年盗難にあい現在行方不明

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26 October 2006

モーツァルト《イドメネオ》@新国立劇場

Idomeneo2006年10月25日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、モーツァルトのオペラ・セリエ《イドメネオ》を聴いてきました。

この作品、実は観るのも聴くのも、正真正銘、今回が初めて。
簡単なあらすじを読んだだけで臨んでしまいました。(^^;

   ◇  ◇  ◇

指揮:ダン・エッティンガー
演出:グリシャ・アサガロフ
美術/衣裳:ルイジ・ペーレゴ

イドメネオ:ジョン・トレレーヴェン
イダマンテ:藤村 実穂子
イーリア:中村 恵理
エレットラ:エミリー・マギー
アルバーチェ:経種 廉彦
大司祭:水口 聡
声:峰 茂樹

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

   ◇  ◇  ◇

私、もともとモーツァルトのオペラは苦手なので、途中ちょっと、いえ、かなり(^^;退屈ではあったのですが、演奏面では、とても素晴らしい舞台でした。

指揮のエッティンガーさんと東フィルの相性がよいのか? オケも乗っていて良く鳴っていたし、なによりも歌唱が楽しめました。

一番印象に残ったのは、イーリアを歌った中村恵理さん。癖のない素直な歌に、とても好感が持てました。
イダマンテの藤村実穂子さんは、もう言うまでもなく素晴らしかった♪ 思っていたより軽く明るい声という印象をもちましたが、とにかく存在感のある歌いぶりでした。
エレットラのエミリー・マギーさんも、迫力があってエレットラのキャラにピッタリ! 上手いなぁって思いました。

タイトルロールのジョン・トレレーヴェンさんは、調子がわるかったのかな?高音になるとちょっと厳しい感じがしましたが、イドメネオのキャラには合っていたように感じました。
というか・・・ 女声3人の迫力に押されちゃったのかも。(^^;

演出は普通かなぁ(^^;
古代クレタの装飾文様をとりいれた舞台美術や衣裳は色彩的に悪くはなかったし、一つ一つをみるとキレイだなと思えるものもありました。
でも、板に描いただけの巨大な壺がバリッと割れたり、くっついたり。あらら~(^^; っていうところもありましたけどね。

それから、イダマンテの立ち居振る舞いがイマイチでした。
全然、王子さまに見えないんです。(^^;
藤村さんって、きっと大和撫子なのでしょうね。
颯爽としたズボン役ならではの魅力を全く感じることができず残念でした。

それから、改めて感じたのは、新国立劇場のオペラ劇場って音がいいってこと。
先日のオーチャードの後だから尚更そう感じたのかなぁ?

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