《天鼓》@国立能楽堂
今月もまた能を観に行ってきました♪
ほんの数年前までは敷居が高くて近寄り難かったのに、変われば変わるものです。近頃は、あの能楽堂の空間に居心地のよさを感じています。
さて、狂言《昆布売》は、とっても面白かった♪
ただ可笑しいだけでなく、そこには武士と昆布売の立場が逆転するという、室町時代に広まった下克上の風潮が現されているのだとか。
昆布売に脅された武士が、謡節、浄瑠璃節、踊節など、いろいろな節まわしで売り声を真似する場面は、三味線の音を言葉に置き換えてみたり踊ってみたり。それぞれの雰囲気が良く出ていて、とても楽しめました。
ちなみに謡節は
「昆布召せ 昆布召せ お昆布召せ 若狭の小浜の召しの昆布 若狭の浦の召しの昆布♪」
それが浄瑠璃節になると
「つれてん つれてん てれてれてん♪ まづこれが三味線の心持ちじゃ 昆布召せ 昆布召せ お昆布召せ 若狭の小浜の召しの昆布 つれてん つれてん てれてれてん♪」
さらに踊節は
「昆布召せ 昆布召せ お昆布召せ 若狭の小浜の召しの昆布 召しの昆布 この しゃっきしゃ しゃっきしゃ しゃっきしゃっき しゃっきしゃ♪」
といった具合。
当時、世間で流行っていた節を取り入れているのだそうですが、今、聴いても楽しめてしまうところがすごい!
それから、武士のタツノオトシゴ模様の装束は可愛いし、昆布売の背中には二尾の大海老の模様が大胆にあしらわれていて、なかなか粋でした。
さて、休憩をはさんで後半は能《天鼓》。
この曲を見るのは二度目。今回も感動しました。
老いた父の王伯と若き天鼓の対比が見所のひとつだそうですが、その演じわけも素晴らしかったし、装束も見事だったし、面も美しくうっとり〜♪
登場人物は3人と少なく、シンプルな舞台なのに、こんなに魅せられてしまうとは!
ところで、天鼓が鼓を打つ場面では、お囃子の小鼓のタイミングと合う瞬間もあったり、鳴らなかったり。また、前回はお囃子に太鼓があったのに今回はなかったし、地謡は前回は4人だったのに今回は8人でした。
流派によって違うのかな?
◇ ◇ ◇
解説:村瀬和子
狂言《昆布売》(和泉流)
シテ(昆布売):高澤祐介
アド(何某):前田晃一
能《天鼓》(宝生流)
前シテ(王伯)後シテ(天鼓):武田孝史
ワキ(勅使):高井松男
アイ(勅使の使者):三宅右近
笛:一噌幸弘
小鼓:鵜澤洋太郎
大鼓:佃良勝
後見:高橋章、渡邊茂人
地謡:内藤飛能、朝倉俊樹、亀井雄二、三川淳雄、小倉伸二郎、亀井保雄、高橋亘、金森秀祥
【関連エントリ】《天鼓》@矢来能楽堂(2010/06/28)