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13 December 2012

クリスティアン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル@すみだトリフォニーホール

Zimerman20122012年12月12日(水)
すみだトリフォニーホール

ドビュッシー:《版画》より
 1.パゴダ(塔)
 2.グラナダの夕べ
 3.雨の庭
ドビュッシー:前奏曲集第1巻より
 2.帆(ヴェール)
 12.ミンストレル
 6.雪の上の足あと
 8.亜麻色の髪の乙女
 10.沈める寺
 7.西風の見たもの
シマノフスキ:9つの前奏曲作品1より
 第1番、第2番、第8番
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調op.58

   ◇  ◇  ◇

一音一音を慈しむように鍵盤をはじく指、すうっと薫るように湧き上がる響き、やわらかに重なりあう和音。
このうえなく美しいドビュッシーでした♪

ツィメルマンの弾くドビュッシーが聴いてみたい。
チラシを見かけた時からとても気になり、発売と同時に迷うことなく入手したチケットでしたが、その期待に違わぬ素晴らしい演奏でした。
悪戯に抒情的になりすぎることなく、かといって叙事に偏っているわけでもない絶妙なバランスが心地よく、改めて言うまでもありませんが、安心して聴いていられる完璧なテクニックと作曲家や作品と真摯に向きあう姿は感動的でした。
わがままですが、もっとたくさんドビュッシーが聴きたかった。
チケット発売当初はオール・ドビュッシー・プログラムだったのに~ 残念!

休憩をはさみ後半はシマノフスキの前奏曲から始まりました。
親しみやすい旋律の小品3曲は、初めて聴く曲でした。静かに耳を傾けていると自然に身体にしみこんでくるようでした。

そして最後はショパンのソナタ3番。
そうだな~ 一言で言えば、いぶし銀のショパン♪
甘ったるいロマンティック一直線の演奏ではなく、ビターチョコレートのような、大人にならないと本当の美味しさはわからない、そんなショパンでした。

演奏終了後、久しぶりに感じたこの清々しさはなんだろう?
ドビュッシーだけでなく、シマノフスキやショパンも聴けて、やっぱり良かった~と思いを改めました。

会場は観客で埋め尽くされていたわけではありませんでしたが(60%くらいか?)盛大な拍手でいっぱいに。
スタンディングオベーションもみられました。
ツィメルマンのチケットは値段も高く、入手が困難というイメージがあって、実は、ここ暫く足を運ぶことをためらっていましたが、これを機に、また続けて聴いてゆきたいと思いました。

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09 December 2012

ダニエル・ハーディング&新日フィル@すみだトリフォニーホール

2012年12月8日(土)
すみだトリフォニーホール

指揮:ダニエル・ハーディング
ヴァイオリン:崔文洙(チェ・ムンス)
新日本フィルハーモニー交響楽団

ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調op.77
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調op.93

崔さんによるアンコール
パガニーニ:《うつろな心》の主題による序奏と変奏曲よりop.38

   ◇  ◇  ◇

先日の《春の祭典》の感動から醒めやらぬ休日の午後、再びハーディング&新日フィルのコンサートに行ってきました。
プログラムはショスタコーヴィチ2曲。

最初のヴァイオリン協奏曲ではソロ・コンサートマスターの崔さん奏でるヴァイオリンの美しく研ぎすまされた音がキュゥゥゥ〜と胸にせまってきて時に辛くなるほどでした。
でも、濁りのない精錬された響きで演奏されると沈痛な音楽も快感になるんだとも思いました。
指揮をするハーディングさんと崔さんの動きがバランスよくシンクロしていたのも面白かったな。
渾身の演奏に、お二人とも満足されたようで、演奏終了後は、まるで互いの健闘を讃えあうスポーツ選手みたいに肩を組みながら何度も舞台袖と舞台を行ったり来たりしていたのが微笑ましかったです♪

そして、熱烈な拍手に応えて演奏された崔さんのアンコール曲が、これまた凄い超絶技巧の曲♪
思わず息をのんで聴き入ってしまい、疲れた〜
この後メインの10番があるというのに〜

さてさて休憩後の交響曲第10番。
ヴァイオリン協奏曲に勝るとも劣らない沈痛なメロディーで始まりました。
都会的で洗練された曲づくりは、スマートでカッコイイ指揮者そのもので、私が今まで抱いていたショスタコーヴィチの印象がちょっと変わりました。
内省的なその音楽は心象風景のようで目を閉じて聴き入っていると頭の中にイメージがどんどん沸き上がって来ます。
色や形が次々に浮かんでは消え、また現れる。
ううん、絵が描けそう。
こんな経験は初めてだったので自分でも驚き!
決してわくわく楽しくなるような曲ではなかったけど、満足感で一杯になった心を携えて、師走の人混みもものともせず帰宅しました。

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