ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》@新国立劇場
年明け最初の音楽会は、大野さんが指揮するワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》で始まりました♪
おめでたいとは言い難いストーリーのオペラですが、歌手もオケも演出も、とても良かったので、久しぶりに足を運んだ新国立劇場で、至福の時をすごすことができました。
なんと言っても、大野さんの指揮が素晴らしかったです。
繊細なピアニッシモ♪ そして底から湧きあがるようなフォルティッシモ♪ 情感豊かな音楽を聴かせてくれました。
大野さん、中堅を脱して、もうすっかり巨匠の域に入ったようですね。
トリスタンを歌ったステファン・グールドさんの若々しい声にも聴き惚れました。伸びのある美しい歌声は主人公としての存在感抜群でした。
イゾルデのイレーネ・テオリンさんは先シーズンのリングでも聴かせてくれましたが、今回も安定した歌を披露してくださり、終始、安心して聴けました。
演出は奇を衒うことのない解りやすいもので、シンプルで洗練された舞台美術には好感が持てました。
色数を極力おさえたことで、かえって情感を際立たせることに成功していたし、第三幕終わりの赤い大きな月と赤いイゾルデのドレス、そして青い光の対比が、とても美しかったです。
また、水のはられた舞台は鏡面となり、あばら骨のような船の上のトリスタンとイゾルデの姿が映り込んで絵画的効果をあげたかと思えば、別の場面では兵士がパシャパシャと音を立てて駆け回ったりと、面白く使われていました。
客席は、ほぼ満員。
終演後の盛大な拍手とブラーヴォの嵐に応え、何度も何度もカーテンコールが繰り返されました。
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ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》
指揮:大野和士
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
トリスタン:ステファン・グールド
マルケ王:ギド・イェンティンス
イゾルデ:イレーネ・テオリン
クルヴェナール:ユッカ・ラジライネン
メロート:星野 淳
ブランゲーネ:エレナ・ツィトコーワ
牧童:望月哲也
舵取り:成田博之
若い船乗りの声:吉田浩之
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団