同志社女子大学「ジェームズ館」
同志社女子大学の中心となる栄光館の並びに、外観はシンプルではあるけれど何故だかとても気になる建物がありました。
建物側面の扉が大きく開け放されていたので中をのぞかせていただくと、清潔感ある白漆喰の壁や良く磨かれツヤツヤと光る木製の扉や階段、柔らかな光が窓から差し込む廊下の何と優しく暖かで美しいこと! しばらく、ぼおっと見とれてしまいました。
その建物は、同志社女子大学ジェームズ館。栄光館と同じ武田五一(1872~1938)の設計による建築です。
武田五一は関西建築界の父と言われるほど著名な建築家だったそうで(知らなかった(^^;;;)生涯に150もの建物を設計しましたが、今ではそのほとんどが取り壊されてしまい、完全な形で残っている最も古い煉瓦造りの建築が、このジェームズ館なのだそうです。
武田五一は、同志社に負けない「同女コンパウンド」として、栄光館を真ん中に、両隣りにほぼ同じデザインの旧静和館とジェームズ館を配するという、統一感ある全体計画をしました。
そして、その効果は現在でも抜群に発揮されているなと感じました。
また、今出川通りを挟んで、すぐ南側に京都御所、すぐ北側に相国寺という立地にも配慮し、装飾は控えめにし、京都の街並みとの調和も考えて、屋根は和瓦で葺いたのだそうです。
そうは言っても、当時、こんなに立派な煉瓦造りの講堂や教室を持つ女学校は他にはなく、女子教育の最先端プロジェクトだったことに間違いはなさそうです。
同志社女子大学のHPには「ジェームズ館探訪」という立派なページもあり、この建物が長く大切に使われてきた同女の誇りであることが、うかがえます。
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同志社女子大学ジェームズ館
登録有形文化財
1914年(大正3年)
設計:武田五一
京都市上京区今出川寺町西入玄武町