心落ちつく「駒井家住宅」
東寺を出る頃には、朝から降り続いていた雨もあがり空も明るくなってきました♪
天気予報では確か今日は一日中雨で、午後には、かなり激しくなると言ってたけど・・・
うふふ(^^)私の晴れ女パワーが効いてきたかな?と(いい気なもんだ(^^;;;)足取りも軽く、次の目的地、北白川へ向かうことにしました。
北大路で地下鉄からバスに乗り換え着いたのは、円熟期のヴォーリズさんが手がけた駒井家住宅。
それは白川疎水周辺に広がる緑豊かで閑静な住宅街にありました。
半分開いていた小さな門から、そっと中へ入ると、すぐにスパニッシュ風アーチで飾られた玄関が見えます。
そして、そこに立った瞬間、横浜や神戸などに残る西洋式住宅とは何となく雰囲気の違うことに気がつきました。
その理由は、ゆっくり建物の中を拝見させていただくうちに解ってきました。
まず、その一つが使われているスケールです。
実際に測ってみた訳でも図面を見た訳でもないので、あくまで私の勘ですが(^^; この住宅は西洋風な意匠だけれど使われた寸法は従来の日本のものだったのではないかと感じました。
もう一つは、過度の贅沢品や華美なものが一つもないこと。
ヴォーリズ住宅に欠くことのできない暖炉すらありません。(暖炉と洋瓦は、周囲の景観に配慮した施主の希望により取り入れなかったのだそうです。)
だからでしょうか? あふあふと慌てて到着したにも関らず、その空間に身を置いた途端、我が家に帰ったような、すっと心落ちつくものを感じました。
この住宅の施主である駒井卓さん(1886~1972)は、ダーウィンの研究でも知られている理学博士。京都大学で教鞭もとられていたそうです。
「日常生活の使用に対して、住み心地のよい、健康を守るに良い能率的建物を要求する熱心なる建築依頼者の需に応じて、吾々はその意をよく汲む奉仕者となるべきである。」というヴォーリズさんの建築理念に共感したことや、夫人の静江さんとヴォーリズ夫人の満喜子さんが神戸女学院の同窓生だった縁もあり、設計をお願いしたそうです。
教え子など大勢の来客にも対応できる居間、庭に面したサンルーム、博士の書斎、窓から比叡山をはじめ周囲の山々が一望できる寝室など、どの部屋も、とても居心地が良さそうでした。
また、作り付けの家具、腰掛の下の引き出し、機械仕掛けの梯子で登れる屋根裏収納、階段下のスペースを利用したトイレ等、細やかな工夫が随所にみられ、機能的にも優れた住宅だったことが解りました。
庭には、ヴォーリズさんの設計ではありませんが書生さんの為の離れや小さな温室も残っていて、決して広いとは言えないスペースですが、博士が住まわれていた当時の雰囲気そのままを伝えているのではないかと思われました。
カメラ片手に住宅や温室を出たり入ったりしているうちに、あっ、また雨が・・・(^^;;;
復路は茶山駅から叡山電車に乗って出町柳まで戻りました。
◇ ◇ ◇
駒井家住宅(駒井卓・静江記念館)
1927年(昭和2年)
設計:ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
京都市左京区北白川伊織町64番地