東京国立近代美術館「ゴーギャン展」
時間に追われることなく平日の美術館で一日の大半を過ごすことができるなんて、ホント幸せ♪ 久しぶりにアートライブラリにも立ち寄ることができ、以前から気になっていた調べものも片付いてスッキリ!
来る日も来る日も、こんな生活のおくれる身分に早くなりたいものだ~(^^;;;
それはさておき、国内外の秀作が数多く集められた「ゴーギャン展」は、とても見応えがありました。
特に、1897年に家族の中で一番の理解者だと思っていた最愛の娘アリーヌを亡くし落胆したゴーギャンが自殺を決意した上で制作した大作《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》(1897〜98年、139.1×374.6)は圧巻でした。
以前から、ゴーギャンの作品、特に油彩画には惹かれるものがあり造形的には好きな画家だったのですが、人としてのゴーギャンには共感できないところが多々ありました。
しかし、今回《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》を観たり、改めて『ゴーギャンの手紙』(東珠樹訳編、1988年、美術公論社)や『ゴーガン私記 ―AVANT ET APRES―』(前川堅市訳、1984年、美術出版社)を読んでみたところ、「ゴーギャンて、そんなに悪い人間ではなかったのかも?」と、これまで抱いていたイメージが少し変わりました。
それから、『ノア・ノア』の連作版画の展示も良かったです。
ゴーギャン本人による自摺り、ルイ・ロア版、ポーラ版と、同じ版木を使った三種類のバージョンを比較して観ることができ、とても興味深かったです。
自摺りのものは、ぼやけていたりダブっているように見える箇所もあるのですが、かえって、それが表現としての面白さを出しているように感じました。
30版刷られたルイ・ロア版は、ステンシルによる赤と黄の鮮やかな彩色が施されていて、これもまた魅力的でした。
100版刷られた息子ポーラによる機械刷りのものは、彫りの細部まで確認することができ、三種それぞれの異なる味わいを堪能できました。
【関連エントリ】
ポール・ゴーギャン(東珠樹 訳編)『ゴーギャンの手紙』