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19 May 2009

汐留ミュージアム「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」

Vories私がウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories 1880~1964)を知ったのは、確か、一昨年、大阪・神戸・阪神間を旅した時だったと思う。

何冊ものガイドブックを傍らに旅のプランを練り始めて直ぐ、心斎橋の大丸さん、日本基督教団大阪教会、神戸女学院大学、六甲山荘、旧神戸ユニオン教会など、それらに漏れなく付いてくる「ヴォーリズ建築」という表記が、ページをめくれば他にも頻繁に出てくることに気がつきました。
そして、そこに添えられた小さな写真には「実物を見てみたい!」と思わずにはいられない魅力がありました。

結局、旅の限られた時間の中、訪ねることが出来たのは僅か2箇所でしたが、その後しばらく私のヴォーリズ熱は納まらず、関連本を探しては読み漁っていたころ思いがけず出会ったのが山形政昭(監修)『ヴォーリズ建築の100年―恵みの居場所をつくる』(2008年、創元社)でした。
そして先日、待ちに待った東京での巡回展へ行ってまいりました♪

汐留ミュージアム「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」

   ◇  ◇  ◇

結論から言ってしまえば、ヴォーリズ熱再燃!

「最小限の住宅設計」として実験を兼ねて建てられた今も軽井沢に現存している「九尺二間」とも呼ばれた《旧ヴォーリズ山荘》(現 浮田山荘、1922年)の実物大模型は、ホントにホントに小さくて「何て可愛らしい山荘なんだろう。確かに狭くて簡素ではあるけれど、その分、窓から見える森の景色や小鳥のさえずりを、たっぷり堪能できそう。」と楽しい想像をさせてくれました。

また、パネル展示された教会や学校、個人住宅などの代表作からも、ヴォーリズが建築の専門教育を受けたことのないアマチュア建築家だったからこその自由な遊び心や、あくまで人間優先の温かみある独特の魅力が伝わってきました。

最初は英語教師としてアメリカから滋賀県立八幡商業学校に赴任してきたヴォーリズが、やがて近江八幡に根をおろし、建築家として、実業家(メンタームで知られている近江兄弟社(旧 近江ミッション)を設立)として活躍したばかりでなく、キリスト教の伝道にも熱心に携わった志高く多彩な才能の持ち主だったことにも感心させられました。
そうそう! ヴォーリズは、同志社大学のカレッジソングの作詞まで手がけているんですよ。音楽も大好きで自らピアノを演奏したそうだし、展覧会場にはヴォーリズ筆の静謐な油彩風景画も展示されていました。本当に何でも出来ちゃう人だったのですね。

そんな訳で、とても見応えある展覧会だったのですが、やっぱり建築は実物を体感しなければなぁ・・・
という欲求不満が湧いてきたのも事実。
もう一度、大阪や神戸、そして西宮、京都、軽井沢にあるヴォーリズ建築を見てみたいし、何はさておき近江八幡を訪ねない訳にはいかないぞと思いました。
おっと、その前に東京や横浜にあるヴォーリズ建築も再訪しておかなければ♪

【関連エントリ】
山形政昭(監修)『ヴォーリズ建築の100年』
神戸大阪の旅2007

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09 May 2009

ショスタコーヴィチ《ムツェンスク郡のマクベス夫人》@新国立劇場

2009年5月7日(木)
新国立劇場 オペラ劇場

幕が下り、カーテンコールになっても、拍手することが出来ませんでした。
せめて一人ぐらい何とかならなかったの?と思うほど、登場人物がイヤな感じの人間ばかりで、一人として共感もできなければ、一瞬の同情すら寄せることが出来なかったからでしょうか?

それくらい、悲惨で荒んだお話でした。

ただ、3時間に及ぶ長い作品だったにもかかわらず、それを全く感じさせないほど充実した音楽と舞台だったことは確かです。

ショスタコーヴィチの音楽は、とても解り易く、時に明るく美しく響いていました。
演出も、そこまでしなくてもいいのにと思うほど説明的でした。

だからなのか? 登場人物らのやっていることが、とても単純かつ短絡的に思え、ストーリーにも捻りがなく、何となく物足りなさを感じてしまいました。

もう少し抽象的な表現のほうが、私は好きかも?(^^;;;

   ◇  ◇  ◇

ショスタコーヴィチ《ムツェンスク郡のマクベス夫人》
台本:アレクサンデル・プレイス

指揮:ミハイル・シンケヴィチ
演出:リチャード・ジョーンズ

ボリス:ワレリー・アレクセイエフ
ジノーヴィー:内山 信吾
カテリーナ:ステファニー・フリーデ
セルゲイ:ヴィクトール・ルトシュク
アクシーニャ:出来田 三智子

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

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