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27 October 2008

渋谷区立松濤美術館「池口史子展 −静寂の次−」

Chikako_ikeguchi_shotoしばらく前から開催を楽しみに待っていた、池口史子(いけぐちちかこ)さんの回顧展を観てきました。
期待通りの、とても素晴らしい展覧会でした。

私が池口さんの作品と初めて出会ったのは、3年前のちょうど今くらいの季節に損保ジャパン東郷青児美術館で開催された「池口史子展」でのこと。以来、ずっと注目し、尊敬している画家のお一人です。

今回も、学生時代の作品から最新作までが出品されていて、その変遷を楽しむと共に、常に新しいものへと挑戦されている精力的な活動に目を見張りました。

私自身、ここ2、3年の間に現代作家や作品に対する見方が急激に変化しているのですが、池口さんの作品からは前回同様パワーをいただき、単なる具象画に納まらないセンスの良さを、今回もまざまざと感じました。

ところで、私が美術館を訪ねた土曜日の午後、多摩美術大学教授で府中市美術館館長の本江邦夫さんによる講演会が開かれるとのことだったので、地下2階のホールへ向かってみると、何と!池口さんご本人も会場にいらっしゃるではありませんか!
思わず感激~♪

とても小柄でホッソリとした美しい方で、数々のダイナミックな風景画の大作やシャープでモダンな人物画が、あの細腕から生まれてくるなんてと、ちょっと驚き!
そして、本江さんから求められ少しお話もしてくださったのですが、とても謙虚でらっしゃるのにも好感を覚えました。

時間を搾り出してでも、会期中もう一度足を運びたい展覧会です。

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22 October 2008

「横浜トリエンナーレ2008」その1

Yokohama_triennle2008先週末、開催3回目を迎えたコンテンポラリーアートの祭典「横浜トリエンナーレ2008」に行ってきました。

今回のテーマは「TIME CREASSE(ときの裂け目)」。
世界中から72人のアーティストが参加してます。インスタレーション、ビデオ作品、写真、絵画、彫刻などの他、今回はダンサーの勅使川原三郎さんや田中泯さんなどによるパフォーマンスが加わったのも見どころのようです。

作品は「横浜赤レンガ倉庫1号館」「日本郵船海岸通倉庫」「新港ピア」の3つのメイン会場に加え、「ランドマークプラザ」や「大桟橋国際旅客ターミナル」「三渓園」などにも展示されているので、半日では、とてもとても周りきれませんでした。
なかには作品を観たり体験するのに長い行列の出来ているものもあって、その盛況ぶりには、ちょっとビックリでした。

Seventeen_less_one先日、私が観た中で一番印象に残ったのは「新港ピア」会場に展示されていたイタリア人アーティスト、ミケランジェロ・ピストレット(Michelangelo Pistoletto)さんの《17マイナス1》です。
鏡を使った作品は、他の出品者のものに比べると比較的シンプルな表現なのですが、そこに、色々なメッセージが込められているように感じました。

展覧会の作品を見るだけでも充分楽しいのだけれど、港町ヨコハマの街をフラリフラリ散策しながら会場を巡る楽しさもある魅力的なイベントです♪

入場券は2日間有効なので、11月になったら、もう一度足を運ぼうと思っています。

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06 October 2008

国立西洋美術館「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」

Hammershoiデンマークの画家ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864〜1916)の展覧会を観ました。

名前を聞くのも作品を観るのも初めての画家だったという新鮮さも手伝ったのかもしれませんが、久しぶりに満足感の得られた良い展覧会でした。

余分なものを極力そぎ落とした構成、対象を大胆に切り取った構図、グレイッシュトーンの抑えられた色彩の作品には、洗練された上品さがあって、独特の静けさと美しさを醸し出していました。

風景を描いたもの、室内を描いたもの、人物を描いたもの、どれも単に対象を写し取った具象ではなく、これらは画家の心象風景だなと感じました。

そう言えば、どことなくタルコフスキー監督の「サクリファイス」を髣髴させる作品群だったなぁ・・・

また、当時としては、かなり斬新と思える大胆な構図やS型が多いなぁと思ったら、最初、大きなカンバスを用意し、描き進めながら画面のサイズを決めトリミングする制作方法をとっていたそうで、ああ、やっぱりな~と思いました。

大人のための展覧会かなぁ。
お薦め!

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