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14 August 2008

奈良雑感

Piano今回の奈良旅行で滞在したホテルのダイニングルームの片隅に、一台のピアノがありました。

随分と古めかしいこのピアノ、1922年にドイツ ハンブルクで製造され、1926年(大正15年)に、このホテルが購入した日本に現存する最も古いスタインウェイの一つなのだそうです。

奈良って、そこらじゅう古いものでいっぱいだけど、そうか〜日本で一番古いスタインウェイも、ここ奈良に残っていたのね、と妙に納得してしまいました。
でも、ほんの90年位前のものなんて、奈良では古いうちに入らないのだろうなぁ〜と思ったりも。

Nara_hotel04話は飛びますが、作曲家セルゲイ・プロコフィエフが27歳の時、ロシア革命によって内乱状態になった祖国を離れアメリカに渡る途中、奈良にも立ち寄り、興味深い日記を残していることを知りました。

【リンク】プロコフィエフの日本滞在日記

少し長いですが、1918年6月19日(旧暦6月6日)の日記を引用してみます。

バイオリン・ソナタのためのアンダンテのアイデアが生まれる。四時に奈良へ移動した。広大な聖なる公園のなかにある湖のほとりに、無数の寺や記念碑とともに素晴らしいホテルが建っている。公園には聖なる鹿が歩きまわっている。よくなついていて、パンをやり始めるとまわりを取り囲まれてしまう。池には体長70センチほどの金色の魚がいて、太っていていやらしいが、やはり聖なるものだ。ここは静かでのびのびとしている。見事な鐘は、形はミトラ〔主教などの典礼用冠〕を思わせ、音は大きく上等なドラを思わせる。

Nara_hotel03外国人のプロコフィエフが初めて訪れた奈良の印象と、今回、私が奈良から得た印象との間に大した違いがないことは、日本人の私としてはちょっと情けないのでありますが、逆に、経済成長と共に急速に変化して行った日本の中において奈良が大きな変化なしに現在まで存在し続けたことが良く解かる一文でもありました。

ざわざわしたところがなく、訪問者に対して大袈裟な歓迎はしないけれど、さりげなく暖かく受け入れてくれる奈良。
今ごろ気がついたの?って笑われそうだけど、奥深い歴史や幅広い文化・芸術の横たわっている奈良。
すごく面白いところなんだなぁと、私は、もう、すっかり魅せられてしまいました。

Nara_hotel01ところで、プロコフィエフは、同6月23日(旧暦6月10日)の日記に、こんなことも書いてます。

奈良はいいところだが、少し退屈だ。一人でいることに退屈するとは自分でも驚きだが、その原因は、今は何も書く気がしないし、作曲もする気にならないからだ(ちょっとした休憩といったところか)。それに手元にある本はショーペンハウエル一冊だけ。『意志と表象としての世界』をまた読み始め、大いに満足を得たが、この本は少しずつしか読めない。せいぜい一日に一、二時間。だから何もしないでいる時間が多いのだ。

Nara_hotel02残念ながら、プロコフィエフが滞在した時、ホテルに、まだ、このピアノはなかったのですね。
あれば、退屈するどころか、毎夜、音楽会になっていたかも?!

ちなみに、私はちっとも退屈だとは思いませんでしたよ~
逆に、たくさんの刺激をもらった素晴らしい旅になりました。

だらだらと中だるみしながらも何とか最後まで辿り着いた「奈良旅行記」。
実は帰り道に京都にも立ち寄ったのですが、一旦これで終わりにしようと思います。
長らくお付きあいいただき、どうもありがとうございました。

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Comments

むちゅさん、こんにちは。

あは、確かにそうですよね!(^^)
ちょうど私が横浜や鎌倉辺りに出かけるのと同じですものね。
うんうん! 宿泊なんて思いもつかないです。(^^;

奈良を舞台にした、むちゅさんの作品を心待ちにしてますよ〜♪
私も、また関西旅行できるように貯金しなくちゃ。(^^)

Posted by: snow_drop | 16 August 2008 at 07:34

guns_k2さん、はじめまして。
コメントいただき、ありがとうございます。

奈良にお住まいでらっしゃるのですね。(^^)
逆に近すぎて、いつでも行けると思ってしまい、行きそびれてしまうことってありますよね。(^^;
地元の方ならではの奈良の紹介を楽しませていただきますね。

Posted by: snow_drop | 16 August 2008 at 07:27

nakaさん、こんにちは。

私は両手の指で充分足りる位のメーカーしか知らないのだけど、そうでしたか、かつて日本にも沢山のメーカーがあったのですね。
そんなピアノを見つけ出す旅も楽しそうですね。(^^)

ホテルは駅から少し遠いですが、ゆったりと快適な滞在ができました。次回はぜひ!(^^)

Posted by: snow_drop | 16 August 2008 at 07:17

一度は奈良で宿泊してみたいとも思うのですが、早起きすれば問題なく朝から晩まで奈良を満喫することのできる私にとっては、この素敵なホテルに泊まる経験はなかなかできそうにありません。

そういう意味ではとっても羨ましい(笑)


また、今回訪問されなかった場所へ出向き、写真を撮って参りますので、次回の参考にしていただきたいと思います♪

Posted by: むちゅ | 15 August 2008 at 12:50

ヤフーブログから来ました。ご訪問ありがとうございます。 ワタクシ生まれも育ちも奈良ですが、燈台元暗しで知らないことばっかり・・・勉強になります!!
最近、芸術と文化に関心が高まってきているんですが、旅に出られていらっしゃる所がワタクシの行きたい(もしくは、既に行った)場所ばかりで、コチラも参考にさせていただきたいと思います。

Posted by: guns_k2 | 15 August 2008 at 10:09

日本最古のスタンウェイですか! 文化財を訪れると、昔の多様な製造業者のピアノを見かけることがあり、興味を持ってます。今でこそ少なくなりましたが、日本も昔はいろんな製造業者がピアノを作っていたんですよね。

奈良の有名な古いホテルですね。以前に私が滞在したのはもう少し駅に近い方の、こちらも有名な和風旅館でした。ここのホテルも実は前から気になっています。次は行ってみようかな。

Posted by: naka | 15 August 2008 at 00:16

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