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31 July 2008

奈良国立博物館「国宝 法隆寺金堂展」

Nara_national_museum早いですね〜 気がつけば7月も今日でおしまい。
あれっ? もしかして奈良旅行の記事が、まだ、たったの1日半しか書けてないのでは?
・・・って私のことですね。

この分で行くと、旅程の半分以上を放置してしまった一昨年のマルタ旅行記の二の舞になりそうな予感も?
だめだめ! 何とか8月の夏休み第二弾の前に終わらせなくちゃ!

という訳で、奈良国立博物館の特別展「国宝 法隆寺金堂展」です♪

今、改めて思うのは、奈良国立博物館に法隆寺金堂の「木造四天王立像」や「外陣壁画(再現)」が特別展示されていた期間に、奈良を初めて訪問できたことは、私にとって、とても幸運なことだったのかもしれないということ。
それくらい、素晴らしい展覧会でした。

Horyujitamonten展示室に入ると、まず目に飛び込んで来たのが、四体勢揃いした「木造四天王立像」(国宝)です。

邪鬼を懲らしめるために踏みつけてるというよりは、お父さんの背中の上にヒョイと涼しい顔して乗った子供のようにスッと真っ直ぐに立った四天王は、それぞれの持物を持って静かにこちらを見つめています。

飛鳥時代(7世紀)の木造ということは・・・ そうです! あの百済観音像と同じです。
絶妙な曲線で前側に跳ね上がった天衣、足を少し開いた立ち姿、無駄のない衣紋や単純化されたフォルム、百済観音像と多くの共通点があります。

何だろう? この不思議な魅力は?
静的なのだけど存在感があって、シンプルなのだけど見れば見るほど目の離せない美しい線。
惹かれる〜

これで決定的になりました!
飛鳥時代の仏像、イイです! もう大好きです。
こんなにステキなものが身近(日本)にあったにもかかわらず、知らずに今まで過ごしてしまったことが悔やまれるくらいでした。

彩色と切金の施されたこれらの像が造られたばかりの頃は、さぞかし華やかだったのだろうなと今は想像するばかりですが、広目天立像の背中に、ほんのちょっぴり(2センチ位)切金の輝きが残っていて、にわかに仏像本で知った切金という技法を実際に確かめることができた事も、私には大収穫でした。

Horyujitengaiまた、通常、法隆寺の金堂では高い所につるされている木造天蓋が目の高さで見られたのも博物館の展示方法ならでは。時間を忘れて楽しめました。

特に天蓋の最上部を飾っていた「奏楽飛天」が可愛らしくて、一つ欲しくなりました。

Sogaku_hiten琵琶を奏でる飛天、笛を吹く飛天、シンバル(?)を鳴らしてる飛天、どれもみんなチャーミング♪

そもそも私、これまで天蓋なんて知らなかったので、おかげ様で、その後、他のお寺を訪ねた時も、気にして天井を見上げるようになりました。

それから、1949年(昭和24年)に火災で焼損し、現在は収蔵庫に焼け焦げたまま保管されているという外陣壁画の再現壁画も12面全てが展示されていて見応えがありました。

Horyujihekigaこの再現壁画は、以前、東京藝術大学大学美術館で観て印象に残っていた、和田英作《法隆寺金堂壁画第五号壁(半跏形菩薩像)模写》1943(紙・油彩)が行われたのとは全く別もので、美術出版社の便利堂が1935年(昭和10年)に撮影した壁画の原寸大の写真を和紙にコロタイプ印刷した上に彩色したものだそうです。

彩色をしたのは前田青邨、守屋多々志、平山郁夫など、多くの日本画家たちで、

・焼失前の壁画に無いものを描き加えない。
・但し赤外線写真を参考にするのは差し支えない。
・壁画の汚れ、亀裂、剥落などは状況によっては色を薄くするなどの方法によって、壁画の美しさを出すことにする。
・壁の部分はその感じを出すように努める。

等、配慮して行われたそうです。

オリジナルの壁画は、土壁に白土下地を施し描かれていたそうなので、本来の質感や筆跡などを確かめることは今はもう残念ながら出来ませんが、上記のように新しい技術や画家の力を駆使し再現された壁画を鑑賞できるだけでも、ありがたいことだと思いました。

写真は上から

奈良国立博物館本館
法隆寺金堂 木造四天王立像の中の「多聞天立像」
法隆寺金堂 木造天蓋
法隆寺金堂 木造天蓋の「奏楽飛天」
法隆寺金堂 外陣再現壁画 第6壁「観音菩薩像」

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