阿修羅像と興福寺
奈良に到着し、真っ先に向かったのは、もちろん興福寺!
思えば去年11月、私の《阿修羅像》なんて記事を書いてた時は、まさか1年も経たないうちに奈良行きが実現し、阿修羅像に、こんなに早く会える機会がやってくるとは思いもしませんでした。
はやる気持ちを抑えながら南大門跡から境内に入ると、その広さと開放的な雰囲気に、まずビックリ! 堂々とそびえ立つ五重塔や東金堂(とうこんどう)は、後ほど、ゆっくり拝見させていただくことにして、阿修羅さまのいる「国宝館」へ直行しました。
昭和34年に建てられた国宝館は、一番古いものになると鎌倉時代という興福寺の他の建造物群の中に入ると、何となく違和感のある中途半端な新しさ。
かと言って、空調設備はないし、展示方法もいまいちだし、貴重な仏像を保管する場所として大丈夫なのかなぁ?と、ちょっと心配になったりもしましたが、館内には、その名の通り興福寺に伝わる国宝や重要文化財に指定された大小様々な仏像や美術品が、ずらりと収蔵されていました。
八部衆の他のメンバーと仲良くガラスケースの中に並んでいた阿修羅さまはホッソリとした華奢な身体つきなのに、ひときわ目立つ存在でした。
そして、それはもう!想像していた以上に凛々しく美しかったです。
知性を感じさせるキリッとした正面の顔ばかりでなく、ちょっと憂いのある右側の顔、そして下唇をきゅっとかみ締めた左側のお顔にも惹かれました。
また、繊細かつ豊かな表情をつくりだしている指先には数箇所の損傷がありましたが、この像が脱活乾漆造りであることがよく解り、出発前に、山本勉さんの『仏像のひみつ』や『続 仏像のひみつ』で、にわか勉強していった甲斐がありました。
たっぷり時間をかけて心置きなく国宝館をみた後、東金堂に安置されている仏像も拝見させていただきました。
そして運の良いことに、7月7日、三重塔で弁才天供が行われていて、年に一度、開扉される三重塔に安置されている学問、智慧、音楽を司どる女神の弁才天像を拝見することもできました。
ところで、この後、毎日のように興福寺の境内を散歩することになりました。
実は、ホテルから近鉄奈良駅との間に位置する興福寺は、駅につづくアーケード街への、ちょうどいい抜け道だったのです。
おかげで、興福寺が薪能の発祥地であることも知ったし(そう言えば、以前、母が奈良旅行中に興福寺の薪能を観たと話していたことを今頃になって思い出しました)初日、見逃してしまった美しい北円堂も、その後、何回も見ることができました。
写真は上から
東金堂
北円堂
五重塔
●フォト・アルバム 興福寺(奈良市)
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Comments
L'Albaさん、こんにちは。
そうでしたか!「八部衆」勢揃いの時に、国宝館でご覧になられたのですね。(^^)
わ、それは羨ましい!
晩秋の奈良って、どんな雰囲気なのだろう?
私、すっかり奈良にはまってしまい(^^;
できたら四季折々の表情を楽しんでみたいなぁなんて思い始めた今日この頃です。
Posted by: snow_drop | 25 July 2008 13:25
去年の11月に八部衆を見に行きましたので、ちょっと懐かしいような気分で読ませていただきました。その時は、一日と少々しか奈良に滞在出来ませんでしたので、折りをみてまたゆっくりと訪れたいと考えています。
Posted by: L'Alba | 24 July 2008 19:00
nakaさん、こんばんは。
わぁ、nakaさんも、そうでしたか〜(^^)
ほんと、興福寺は回廊がないせいか?奈良公園の続きのようで、通勤通学らしき地元の方も通り抜けされてましたね。お寺の存在が、当たり前のように生活に溶けこんでいるのでしょうね。
私も、毎日通ったせいか? 興福寺は、ある意味一番親しみの持てるお寺になりました。(^^)
薪能は新宿御苑など東京でも開催されているそうですが、私も、いつか興福寺で体験してみたいです! その前に能のこと、もう少し勉強しないとダメかな?(^^;;;
Posted by: snow_drop | 21 July 2008 19:16
興福寺、通り抜けや散歩に良い立地なのでみなさん、よく通られていますよね。私も滞在中はホテルと駅との移動、散歩では興福寺を何度も何度も通りました。
ほかのお寺は1回の訪問でしたが、興福寺は泊まった日数だけ行ったことになり、大きな五重塔がそのうち馴染んできて、東京に帰るときには残念な気持ちになりました。
興福寺が薪能の発祥地なんですね。初めて聞きました。勉強になります(^^
奈良で見る薪能もまた格別かなと創造を巡らせています。
また、奈良のインプレッション、楽しみにしています。
Posted by: naka | 20 July 2008 11:22
酒徒善人さん、こんばんは。
お母さま、それは大変でしたね。
今は、もう退院され、お元気になられたのでしょうか?
遅ればせながらお見舞い申しあげます。
興福寺の五重塔はホテルのレストランからも見え、毎朝、私も食事しながら眺めていました。
もしかして、お近くだったのかも?
そうでしたか、酒徒善人さんのご先祖と興福寺とは、そんな関係があったのですね。
恥かしながら、今まで日本の歴史や美術に、ほとんど感心がなかったのですが、今回、奈良を訪ね、変わりました!(^^)
これから、ちゃんと勉強してゆこうと思います。
Posted by: snow_drop | 19 July 2008 23:45
久々に覗いたら、奈良に来ておられたのですか・・・
先日まで母が入院していた病院の窓から、興福寺五重塔が見えていたのです。
我が家のご先祖は、談山神社に勤務していたようです。
同じ藤原氏に関係する社寺ではあったのですが、敵対関係にあり、何度も戦ったようです。
Posted by: 酒徒善人 | 19 July 2008 13:38