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28 April 2008

《隅田川》@矢来能楽堂

Sumidagawa2008年4月25日(金)
矢来能楽堂

先日、神楽坂にある矢来能楽堂で能《隅田川》を観てきました。

《隅田川》は世阿弥の長男 観世十郎元雅(1394?~1432)の作品で、ベンジャミン・ブリテンが1956年に来日した時に鑑賞し、とても強く感動して、後にオペラ《カーリュー・リヴァー》(1964年)を創ったことでも良く知られている能です。

数年前、その《カーリュー・リヴァー》の公演を観る機会があり、元となった能《隅田川》も、是非、観てみたいなと思っていたので、今回やっと、その願いが叶いました。

Yaraigate《隅田川》の物語は、人買いにさらわれた幼き我が子(梅若丸)を探しに京から旅をしてきた母親が、隅田川を渡る舟の上で耳にした話から既に梅若丸は死んで隅田川のほとりの塚に葬られていることを知り、その塚を掘り起こそうとする母の前に梅若丸の霊が現れるという、とてもとても悲しいものです。
その筋書きばかりでなく、母親の狂わんばかりの悲しみが舞いと最小限の所作で表現される能の美しさに、私も深く感動しました。

Yaraientranceところで私、お能は10年くらい前に千駄ヶ谷の国立能楽堂(とても立派)に通って何度か観ているのですが、ちょっと、いえ、かなり敷居が高くて、すっかり足が遠のいていたのでした。(^^;
しかし、今回、縁あって出かけた矢来能楽堂の「のうのう能」は、上演前に物語や見所の解説をしてくださり、お客さんも一緒に謡の一節を歌ったり、普段はみられない能装束の着付けまで舞台上で見せてくれたりと、とても解りやすく興味深い趣向が凝らされていました。

Yaraistageそして、矢来能楽堂は観世喜之さんが所有されている昭和27年に再建された木造の建物で(敷地内に観世喜之さんのお宅もありました。)、普段は閉ざされている門が公演のある日には開かれ、しばらく続く小道の先の灯りのともった能楽堂の入り口で舞台関係者が丁寧に温かく迎え入れてくれる雰囲気が、これまた素晴らしく、舞台が始まる前から気分が高揚しました。
客席が300席と小ぢんまりとしているところも良かったです。

これをきっかけに、ぜひまた気軽に、お能にも足を運んでみたいと思いました。

  ◇  ◇  ◇

観世十郎元雅:能《隅田川》

シテ(梅若丸の母):観世貴正
子方(梅若丸の霊):遠藤瑤実
ワキ(隅田川の渡し守):館田善博
ワキツレ(旅の者):森常太郎

笛:小野寺竜一
小鼓:後藤嘉津幸  
大鼓: 安福光雄

後見:長沼範夫、遠藤和久
地謡:味方玄、古川充、佐久間二郎、坂真太郎

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21 April 2008

ウェーバー《魔弾の射手》@新国立劇場

2008年4月20日(日)
新国立劇場 オペラ劇場

ダン・エッティンガーが聴きたくて、新国立劇場へ行ってきました♪

この作品、ドイツでは、とても人気のある演目なのだそうですが、私は、この日、生まれて初めて聴きました。(^^; (予習の為に一応CDは聴いたけど)
そんな訳で、どうしてドイツ人は、このオペラが大好きなのか?と、ずっと考えながら鑑賞することになってしまい、結局、理由は何となく解ったような?解らなかったような?だったのですが(^^;;; ま、日本人の私も、それなりに楽しめる公演でした。

ゆっくり目で始まった序曲は次第にテンポがあがり、エッティンガーさんの緩急メリハリのある指揮は、途中、歌が取り残されそうになる箇所もなくはありませんでしたが、まずまず楽しめました。(^^)
そうそう、エッティンガーの振るオペラを聴くのは2006年の《イドメネオ》以来かと思っていたら、2007年の《ファルスタッフ》も、そうだったみたいです。(^^;
あの時は、フェルメール風の舞台美術にばかり目がいってしまって、やっぱり耳が疎かになっていたのだなぁ、反省。

歌手は、アガーテを歌ったエディット・ハッラーの暖かな声が清らかな乙女にピッタリで、その丁寧な歌いぶりにも好感が持てました。
エンヒェンのユリア・バウアーは、声量がなく時々オケの音に歌が負けてしまいそうでしたが、ボーイソプラノ思わせるピュアな声には独特の魅力がありました。
おまけに演技も上手いし容姿もホッソリ可愛いので、ズボン役なんて良さそうと思ったら、既にオスカルを歌ったことがあるようですね。(^^) ケルビーノも似合いそうだな♪

演出や舞台美術は、まるで、どこかのテーマパークのアトラクションのようでした。(^^;
そう感じさせる要因の一つにもなっていたポップな衣裳は、NHKの幼児番組「にほんごであそぼ」の美術や衣裳でもお馴染みのアーティスト ひびのこづえさんが担当されていて、私的には全然OK!でした。(^^)
村の娘たちのボヘミアン・テイストの衣裳も、とても可愛く、この春ちょうどストリート・ファッションにもなってるので、そのまま街に出ていっても大丈夫そうって思いながら見てました。

それから、狼谷の場面ではPAが使われ、合唱やザミエルの声が劇場の客席までグルグルまわるようにエコーさせたのには驚きました。けれど、今後こういう手法が増えるのかなぁ? こういうのもありなのかも?って、それなりに楽しみました。

   ◇  ◇  ◇

ウェーバー《魔弾の射手》

指揮:ダン・エッティンガー
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
衣裳:ひびの こづえ

アガーテ:エディット・ハッラー
エンヒェン:ユリア・バウアー
カスパール:ビャーニ・トール・クリスティンソン
マックス:アルフォンス・エーベルツ
隠者:妻屋 秀和
ザミエル:池田 直樹
オットカール侯爵:大島 幾雄
クーノー:平野 忠彦
キリアン:山下 浩司
花嫁に付き添う四人の乙女:鈴木 愛美、田島 千愛、高橋 絵理、中村 真紀

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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