ジョナサン・ハー『消えたカラヴァッジョ』
ジョナサン・ハー(田中 靖/訳)『消えたカラヴァッジョ』(2007年、岩波書店)を読み終えました。
長いこと、その行方が解らなくなっていたカラヴァッジョの《キリストの捕縛》が、1990年アイルランドのダブリンにあるイエズス会の宿舎で発見されるまでが綴られた、とっても面白い一冊でした。
美術史を専攻している二人のイタリア人女学生フランチェスカとラウラが人脈を駆使して名門貴族マッテイ家の古文書庫に入り込みカラヴァッジョの作品に関する重要な記述を見つけだしたり、ダブリンのナショナル・ギャラリーのイタリア人絵画修復士ベネデッティが、ある日、偶然に見つけだしたカラヴァッジョらしき作品を間違いなく真筆だと確信するまでのいきさつなど、ミステリーを読んでいるかのようなワクワク・ドキドキ感に溢れていて、途中ノンフィクションであることを忘れてしまいそうでした。
本の登場人物は全て実名で『イタリア絵画史』など著書で有名なロベルト・ロンギをはじめ、2001年に東京都庭園美術館で開かれた「カラヴァッジョ展」のカタログに執筆している研究者の名前も複数出てきて、思わず私も興奮してしまいました。(^^;;;
そんなにボリュームのある本ではないのですが、美術史家の研究の進め方や、修復士による絵画修復の具体的な方法が解るばかりでなく、カラヴァッジョの生涯や人物像も簡潔に記述されていて、ベッドのシーツに絵を描いたり、描きかけのカンヴァスを裏返してその上で食事をとったなんて言うエピソードまでありました。
そうそう!私も実行したのですが、傍らにカラヴァッジョの画集、そしてローマの地図を用意して読めば、更に楽しさ倍増です♪(^^)
【画像】
カラヴァッジョ《キリストの捕縛》
1602年 油彩・カンヴァス 133.5×169.5cm
ナショナル・ギャラリー・オブ・アイルランド(ダブリン)
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