« April 2007 | Main | September 2007 »

22 June 2007

ヴェルディ《ファルスタッフ》@新国立劇場

Falstaff2007年6月13日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

《ばらの騎士》を楽しんだ翌日、またもや新国立劇場で、今度は《ファルスタッフ》を観ました。

ほんとうは違う演目のオペラを二日連続で観るなんてしたくなかったのだけど、チケット発売日に新国のwebボックスオフィスにアクセスして「最安席」「平日」という条件で絞っていったら結果的にこうなってしまいました。(^^;
という訳で、前夜の《ばらの騎士》の余韻も冷めぬまま《ファルスタッフ》に臨むという、無謀というか、勿体ないというか、何とも贅沢な鑑賞となってしまったのでした。

The_loveletterさて、その《ファルスタッフ》、難しいことは一切ぬきに、ユーモア溢れるヴェルディの音楽とストーリーを堪能することができました。
そして、何よりも楽しめたのが舞台美術でした。

そうなんです!
もう既にチラシでお解りのとおり、衣裳にはじまり、リュートやヴァージナルなど楽器、光の射し込む窓や白黒の大理石の床など室内装飾に至るまで、舞台の上すべてが「フェルメールの世界」だったんです。

The_concert特に、フェルメール自身も作品制作に取り入れていた「二点透視描法」を使って表現された床の模様は、舞台袖に深い奥行きを作り出し、とても強いインパクトのある舞台になっていました。

それにしても、ジョナサン・ミラーさんて「遠近法」好きなのかしらん?(^^;
《ばらの騎士》では「一点透視描法」を使っていたものね。

Lperspektive01【上】《ばらの騎士》の舞台で使われた一点透視描法
【下】《ファルスタッフ》の舞台で使われた二点透視描法

Perspektive02

   ◇  ◇  ◇

ヴェルディ《ファルスタッフ》

指揮:ダン・エッティンガー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:ペーター・ペッチニック
再演演出:田尾下 哲
舞台監督:大仁田 雅彦

ファルスタッフ:アラン・タイタス
フォード:ヴォルフガング・ブレンデル
フェントン:樋口 達哉
医師カイウス:大野 光彦
バルドルフォ:大槻 孝志
ピストーラ:妻屋 秀和
フォード夫人アリーチェ:セレーナ・ファルノッキア
ナンネッタ:中村 恵理
クイックリー夫人:カラン・アームストロング
ページ夫人メグ:大林 智子

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【画像】
ヨハネス・フェルメール《恋文》1670年
44×38.5cm 油彩・カンヴァス
アムステルダム国立美術館(アムステルダム)

ヨハネス・フェルメール《合奏》1665~1666年頃
72.5×64.7cm 油彩・カンヴァス
イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館(ボストン)
※1990年盗難にあい現在行方不明

| | Comments (2)

13 June 2007

R.シュトラウス《ばらの騎士》@新国立劇場

Der_rosenkavalier2007年6月12日(火)
新国立劇場 オペラ劇場

昨夜、新国立劇場の《ばらの騎士》を観てきました。

とても良かったです!(^^)

名演とされているカルロス・クライバー&ヴィーン国立歌劇場の映像ですら、第1幕の途中でイヤになっちゃうくらい苦手なオペラだったのに、今回の上演で長らく抱いていた、その悪い(?)イメージが払拭されました。
もう一度観てもいいかなと思うほどです。(^^)

とにかく良かったのが、オクタヴィアンのエレナ・ツィトコーワ
《フィガロの結婚》のケルビーノを聴いた時から「イイ! カワイイ!」ってチェックしていたのだけど、やっぱり彼女のズボン役って私の好みだったんだなぁ。
今となっては、もう遅いけど、昨年、多忙で見逃してしまった《こうもり》のオルロフスキー役も、無理してでも聴いておけばよかったぁ。

さらに良かったのが、元帥夫人のカミッラ・ニールント
気品のある美貌の持ち主で、大人の女性の雰囲気にピッタリでした。
第3幕で、若い二人を残し「これで、よかったんだわ」と部屋から立ち去る後ろ姿の潔ぎよいこと。
なんてステキなんだろうとジ~ンときました。

オックス男爵のペーター・ローゼも、田舎貴族を好演してました。
節操のない、女の敵みたいな、どうしようもない役柄で、私が《ばらの騎士》が好きになれない理由のひとつが、このオジサンの存在だったのだけど、ローゼさん演じるオックス男爵は、ちょっと憎めない感じもあって、ま、許せる範囲かな。(^^;

ゾフィーのオフェリア・サラも、か弱い面とシッカリとした面とを併せもつ、若い娘をうまく演じていました。
オクタビアンとの二重唱も美しかったです。(^^)

そのほかの歌手のみなさんも、役がらにピタッとあった歌と演技を披露してくれて、大満足でした。

それから、舞台美術も、とても良かったです。
第1幕と第3幕は、淡いトーンでまとめられ、全体の調和がとれた品のあるものでした。
第2幕のファーニナル邸も、深紅を基調に美しくまとめられていました。
遠近感を強調し、長い廊下を縦長に配した舞台は、最初一見、奇抜にも思えたのだけど、それが舞台に視覚的な奥行きと時間的厚みを感じさせる良い効果を出していました。

それから、女性たちの美しい衣裳も堪能しました。(^^)
今回の演出は、時代設定が本来の18世紀中ごろから、20世紀初めに舞台が移されていたので、コルセットでウエストをしぼりあげ曲線を強調したアール・ヌーボー(ヴィーンだからユーゲント・シュティール?)風のドレスから、ポール・ポワレっぽいハイ・ウエストのドレスやキモノ・スリーブのドレスまで登場し、「ああ、ちょうどアルマ・マーラーなんかが着てた感じね」なんて思いながら、楽しく見てました。(^^)

そうそう、忘れてはいけない。
東フィルの演奏も良かったです。
劇場内に響き渡る、R.シュトラウスの華やかでクラッとくるような音楽を、たっぷり堪能しました。
これって、ペーター・シュナイダーさんの指揮によるところも大きいのだろうな。(^^)

そんな訳で、ジョナサン・ミラー演出の《ばらの騎士》は、舞台全体に品の良さが漂う厭味の無いサラッと口当たりの良いステキな舞台でした。
そして、最後になっちゃいましたが、もしかしてこの作品、20世紀初めという設定が、意外にもピッタリ合ってるのではないかしらと思ったのでありました。
あ、それって単に、私がフリフリ、キラキラのバロック・ロココ様式が嫌いなだけだったりして?(^^;

   ◇  ◇  ◇

R.シュトラウス《ばらの騎士》

指揮:ペーター・シュナイダー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:磯野 睦
舞台監督:大澤 裕

元帥夫人:カミッラ・ニールント
オックス男爵:ペーター・ローゼ
オクタヴィアン:エレナ・ツィトコーワ
ファーニナル:ゲオルグ・ティッヒ
ゾフィー:オフェリア・サラ

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

| | Comments (6)

« April 2007 | Main | September 2007 »