プッチーニ《西部の娘》@新国立劇場
昨夜、以前から、とても楽しみにしていた《西部の娘》を観てきました。
目的はただ一つ!
2003年、あの衝撃の《フィガロの結婚》を観せてくれたアンドレアス・ホモキの新作が見たかったからです。
そして今回も、その期待に違わぬ、とてもシンプルで、どこか上品ささえ感じてしまう、なんてったって美しい舞台でした。(^^)
現代に読み替えしたものだったけれど、よくありがちな意味不明で過剰な演出に陥ることもなく、奇を衒ったところもなく、安心して音楽に身を任せていられました。
やっぱり好きです、こういう舞台!(^^)
幕が上がると、そこにはキチンと積み上げられた大量の段ボール箱でつくられた壁。
様々ないでたちの男達が押す、たくさんの荷物の詰まったカート。
酒瓶や煙草や食料などの積まれたワゴン。
そして、第3幕には、天井から降りてきた太いロープ。
そう、たったこれだけ。
でも、この段ボール箱が徐々に崩され、大きな亀裂ができたり、隠れ場所ができたりと、その変化が面白いのです。人の動かし方も上手く、造形的にも計算されつくされていて、ほんと感心させられるばかりでした。
それにしても、ホモキさんて、大きな箱を使って、かくれんぼするのが好きなのかなぁ?(^^)
いずれにしても、箱を積み上げたり崩したりすることで立体的な舞台を作り上げる腕は素晴らしいと思います。
1階2階席には縁の無い私なので比較はできませんが、この立体感をより面白く感じられるのって3階4階席からの角度かもしれないって思ったりもしました。
ちなみに、段ボール箱の制作協力をしたレンゴー株式会社によれば、その数1500個あまりとか!
消防法により難燃性も確保されていたそうです。
それから、実は《西部の娘》って、今まで一度も聴いたことありませんでした。(^^;
昨夜も、第一幕のミニーとジョンソンの歌を聴きながら「あ~ なんてつまんない話なんだろ~ たいくつ~ ねむぃ~」って、途中かなり白けた気分になってました。
なのに、いつの間にかひきつけられ、最後はイイ気分になっていたから不思議です。(^^)
それは、ホモキ演出によるばかりでなく、シルマー&東フィルが良かったせいもあるかな?
歌手のみなさんや合唱とのバランスもよく、安心して聴いていられました。特にジョンソン役のアティッラ・B.キッシュさんの迫真の演技にグッと来ました。
あ、忘れてはいけない!合唱団の衣裳が凄かった!
アフリカン、インディオ、刺青のおにいさん、日の丸のハチマキ・・・と挙げたらキリが無いくらい様々な国や民族を現すもので、全員一列に並んだところをジ~ックリ眺めながら、自己紹介でも聞いてみたいところでした。(^^)
◇ ◇ ◇
プッチーニ《西部の娘》
指揮:ウルフ・シルマー
演出:アンドレアス・ホモキ
ミニー:ステファニー・フリーデ
ジャック・ランス:ルチオ・ガッロ
ディック・ジョンソン:アティッラ・B.キッシュ
ニック:大野 光彦
アシュビー:長谷川 顯
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団