タルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』
アンドレイ・タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』を観ました。
またもやタルコフスキー監督にやられちゃいました。
う~ん、もう参りました。
素晴らしいです。
映画の最後の最後、大聖堂の鐘造りの責任者という大役を悪戦苦闘しながら果たし、緊張が途切れて泣き崩れた少年を抱きかかえたアンドレイ・ルブリョフは、
「もう泣くな、私と一緒に行こう。
私もまた絵を描く。 お前は鐘を造れ。」
と言葉をかけます。
実は、10年にも及ぶ長い間、イコン画家アンドレイ・ルブリョフは筆を折り、無言の行を自らに課していたのです。
「ああ良かった。とうとうアンドレイが再び絵を描く気持ちになれた。本当に良かった。」とホッとしたと同時に、じわっと静かな感動がこみ上げて来たのでした。
すると、それまでずっと白黒の陰鬱だった画面が、突如、目も眩むような美しいカラー画面に変わり、アンドレイ・ルブリョフがトロイツェ・セルギエヴァ大修道院(ザゴルスク 現セルギーエフ・パサート)の中のトロツキー聖堂に残した《聖三位一体》(現在はトレチャコフ美術館所蔵)が、ゆっくりと語りかけるように映し出されるのです。
一見細切れで、何の脈絡もないように思えた数々のエピソードが、最後に私の中で繋がったのでした。
15世紀のロシア。
異教徒タタール人の侵略、飢饉、内乱、圧政といった様々な苦難の中、生きる人々。そして、イコン画家アンドレイ・ルブリョフ。
もしかしてタルコフスキー監督は、自身をアンドレイ・ルブリョフの姿に重ね合わせていたのかもと、ちらっと思ったのでした。
◇ ◇ ◇
『アンドレイ・ルブリョフ』 ANDREI RUBLYOV
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:アナトーリー・ソロニーツィン、イワン・ラピコフ、ニコライ・グリニコ
1967年(ソ連)
【画像】
アンドレイ・ルブリョフ(1360/1370~1430)
《聖三位一体》1420年代
板、テンペラ 142×114cm
トレチャコフ美術館(モスクワ、ロシア)
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Comments
酒人善人さん、こんばんは。
そうですね。確かに、そういうことってあるのかもしれませんね。
でも、う〜む、どうなんだろう? 少なくとも私の場合は、それはあくまで美的体験を越えるものではないようです。(^^;
だから、逆に、信者さんだったら、同じものを見ても感じ方が違うのではないか? どんな風に向き合っているのか? そんなことが気になったりします。
それから、実は、私、まだイコンを見たことがありません。(^^;
東京ならお茶の水のニコライ堂へゆけば、東方正教会のイコンを拝見することができるそうなのですが、それこそ信仰してない私が足を運んで良いものかどうか、ちょっと悩むところです。
Posted by: snow_drop | 28 January 2007 at 23:19
教会へ行くとその雰囲気に息を呑んでしまうことがありませんか?
美術的な美しさよりも、宗教的な神秘さに魅了されてしまうのです。
イコンもその中の一つですよね。
Posted by: 酒徒善人 | 26 January 2007 at 20:31
アシュラさん、こんばんは。
そうですね。あの最後の場面は、本当に心が清められますね。(^^)
イコンを描くということが、画家であり修道士であるアンドレイにとって、どういう意味を持つのか理解が深められた気がしました。勿論、私などには人間的にも絵の技術的にも到底及ばないということが解ったのですけど。(^^;
はい、後は『ノスタルジア』です。
あ、『鏡』も、まだでした。(^^;
タルコフスキー監督は寡作な芸術家だけれど、これまで観た作品それぞれから深い感銘を受けたので、残りの作品もとても楽しみです。じっくりと噛みしめるように観たいなと思ってます。
Posted by: snow_drop | 25 January 2007 at 00:08
おー、「ルブリョフ」も見た!?これであとは「ノスタルジア」ぐらいかな?それにしても最後カラーになって延々とイコンのディテールを追っかけてたのには驚かされましたね。自分が洗い清められていくような…。そんな簡単に洗い清められるようなシロモノじゃないですがね!(^^)
Posted by: asyuranote | 24 January 2007 at 13:30