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20 November 2006

文庫版『須賀敦子全集』

Atsuko_suga_kawade先日、本屋さんをブラブラしていて、偶然イイモノ見つけてしまいました。(^^)

文庫版『須賀敦子全集』(2006年10月、河出文庫)です!

2000年に河出書房新社から全集が出た時も、いいなぁ~欲しいなぁ~とは思ったものの、一冊5,000円以上する本を全9冊揃えるのは、私には財政的にちょっと厳しく、諦めたままでした。(^^;

Morandi_1939_1その全集の文庫版が、この秋から順次、河出文庫から出版されるようなのです。
手にとってページをめくると、紙面が小さいので余白はギチギチ、文字もぎっしりで、決してレイアウト的に美しい本とは言えないのでありますが、やっぱり、お手軽価格が嬉しいです♪

Morandi_1948でもね・・・
これを揃えると、今まで集めてきた須賀さんの単行本や文庫本とダブってしまうのですよね・・・
本棚に並べておくには、文庫版全集は合理的なんだけど、古い本を処分するのも、ちょっと寂しいし・・・
どうしたものかぁ・・・

Morandi_1948_49ところで、平積みになっていたこの本を見つけた瞬間、一番最初に私の目に飛び込んで来たのは、実は表紙の絵柄でした。
「あ、モランディだ!」
「あれ? 須賀さんの全集だぁ!」
ってな具合に・・・(^^;

Morandi_1949でも、よくよく見ると、
「モランディの絵じゃない! 写真だよこれ~?」

ジョルジョ・モランディ Giorgio Morandi (1890-1964)は、イタリアのボローニャで生まれ没した画家。
若い頃描いた風景画も残っているけれど、やっぱりモランディと言えば瓶やカップの静物画ですよね。(^^)

未来派との交流もあり、キュビスムっぽい静物を描いていた時期もあるけれど、私は1940年位から晩年にかけて描かれた、単調なようでいて絶妙なバランスを保っている構図と、柔らかな色調の静物画が大好きです。

それにしても、表紙のモチーフ、モランディの絵画と驚くほどそっくり!
もしかして、現在、ボローニャに再現されているというモランディのアトリエで撮影したものだったりして?

表紙の写真は、イタリアの写真家ルイジ・ギリの『アトリエ・モランディ』からのものだということが解りました。
Luigi Ghirri "Atelier MORANDI "
(16Jan2007追記)

アトリエにも、いつか行ってみたいな。
モランディの静物画のような、静寂な世界が感じられるのだろうか?

【画像】上から

《静物》 1939年
油彩、カンヴァス 41,5×47,3cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)

《静物》1948年
油彩、カンヴァス 35,9×50cm
モランディ美術館(ボローニャ、イタリア)

《静物》1948~49年
油彩、カンヴァス 26×35cm
Thyssen-Bornemisza Museum(マドリッド、スペイン)

《静物》1949年
油彩、カンヴァス 32.5×42.0cm
ニューサウス・ウェールズ・アート・ギャラリー(シドニー、オーストラリア)

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09 November 2006

パリ・シャトレ座 ラモー《レ・パラダン》

Les_paladins052006年11月8日(水)
オーチャードホール

《レ・パラダン》観てきました~♪
私が今年観たオペラの中で、間違いなくナンバー1です!(^^)
とにかく楽しかった~♪
耳も目も心もホッカホカ~♪
幸せ~♪
ホールから渋谷の駅へ向かう帰り道、気がついたら、私、スキップしてました。

だってだって、ラモーの音楽が「さぁ!あなたも一緒に踊りましょう!」って誘ってくる、そんな素晴しさだったんです。

Les_paladins01しかも舞台で繰り広げられたダンスは、私の大好きなコンテンポラリー・ダンスが中心。
頭でクルクルまわるダンス(ヒップホップって言うのかな?)や、お尻をフリフリするアフリカン・テイストな振り付けまで加わって、とても見応えがありました。

噂どおり男女2人づつのヌードダンサーも登場!
鍛えられた美しい肉体は、他のダンサーや歌手達の中で良いアクセントになっていました。
ま、プレルジョカージュのダンスを幾つか観てる私としては、あのくらいはどってことないかなぁ。(^^;うそ!

Les_paladins03衣裳は、とびっきりシンプルでカラフル。
まるでポップな絵本を開いたようでした。(決して悪い意味ではなくてです)

雲の上で、裸ん坊さんからバロックの衣裳を身につけた人までが、ポーンポーンと楽しげに跳ねる映像や、ウサギやライオン、フラミンゴ、チンパンジーなど沢山の動物の映像も登場し、それが舞台のダンサーや歌手と巧に重なり合って、それはもうファンタジーの世界♪
選び抜かれた上質のおもちゃの箱をひっくり返したようでした。(^^)

Les_paladins04クリスティさんの指揮もステキでした。その手の動きの美しいこと。
そのクリスティさんに率いられたレザール・フロリサンの響きも、とても瀟洒で優雅。
心ゆくまで堪能しました。
それにしても、チロリロリン♪ポロポロリン♪と響いてくる音は何だったのかな?
とても心地よくてフワ~ンと天にも昇る気分でした。

Les_paladins02また、歌手も粒揃いで、歌ばかりでなく踊りも上手いのには驚きました。
アルジ役のドゥスラックさんなんて、ダンサーと見紛うほど手足が長くてスタイル抜群!
そうそう、ソリストばかりではありません、合唱のメンバーも楽しい踊りを披露してくれましたよ。

そして、昨夜は楽日だったからだと思うのですが、終演後のカーテンコールも華やかでした。
天井からトリコロール・カラーの沢山のリボンが垂れ下がり、全公演を終えた出演者やスタッフを労っていました。
ヒップホップ・ダンサーはノリノリの踊りを披露してくれ、客席からは手拍子も沸き起こりました。

が、しかし!
すご~く盛り上がっていたのは舞台の上だけで、客席は、ちょっと醒めた感じがしなくも無かったのも事実です。(^^;
その一つの理由に客席が半分くらいしか埋まってなかったことがあると思いました。
どうしてなのでしょう?
こんなに素敵な舞台なのに勿体ない。

多分チケットの価格が高かったせいもあるのかなと思います。
実は、私も公演直前まで悩んで悩んで悩んだ末に、何とか安いほうから2番目のチケットを手に入れました。
興行主は、こんなに楽しくて幸せな気持ちになれる素晴らしい公演を少しでも多くの人に見てもらいたいとは思わないのかな?半分空席にしておいても採算がとれるのなら、もう少し一枚一枚のチケットの価格を安くして欲しいな。もう少しお手軽な価格だったら観たかったという人を、私は何人も知ってます。

そういえば、以前から子供のためのクラシック・コンサートを支援している財団法人ソニー音楽芸術振興会から、何度も《レ・パラダン》のダンス・ワークショップや小学生から高校生なら35,000円のS席を5,000円で入手できるというダイレクト・メールが来ていたのを思い出しました。
こういった企画は大いに歓迎したいですね。

そして、今回のような公演ならば、クラシック音楽やバレエ・ダンスは初めてという人にも、恐らく抵抗なく観てもらえそうなので、もっともっと広い範囲に情報が行き渡る手はないものかなぁと、つくづく思った夜でした。

   ◇  ◇  ◇

《レ・パラダン Les Paladins (遍歴騎士)》
作曲:ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764)

指揮:ウィリアム・クリスティ
演出/舞台美術/ビデオ:ジョゼ・モンタルヴォ
振付:ジョゼ・モンタルヴォ/ドミニク・エルヴュ

アティス:トピ・レティプ(テノール)
アルジ:ステファニ・ドゥスラック(メゾ・ソプラノ)
ネリーヌ: アンナ・バヨディ(ソプラノ)
妖精マント:フランソワ・ピオリーノ(テノール)
オルカン:ジョアオ・フェルナンデス(バリトン)
アンセルム:ルネ・シレール(バス)

管弦楽/合唱:レザール・フロリサン
ダンサー: クレテイユ&ヴァル・ドク・マルヌ国立振付センター/モンタルヴォ・エルヴュ・カンパニー

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