ヴェルディ《運命の力》@新国立劇場
先日、ヴェルディ《運命の力》を観てきました。
《運命の力》を観るのは、2000年に相次いで来日したムーティ&ミラノ・スカラとゲルギエフ&マリインスキーで盛り上がって以来とても久しぶり。ということで、結構、楽しみに出かけたのですが・・・
あれれ?《運命の力》って、こんな薄っぺらな音楽だったっけ?
これがヴェルディ?は?ふ?
という訳で、私的には不完全燃焼に終わったのでありました。
さて、音楽面は置いておくことにして、今回の演出家は、物語の舞台と同じスペイン出身のエミリオ・サージさん。
18世紀のスペイン・セビリアを舞台に起こったお話を、1930年代終りのスペイン市民戦争時に移した演出となっていました。
第一幕が始まると、舞台の奥に物語の進行を眺める人々が配されていたり、シンプルでモダンなデザインの装置をセリで上下させたりと、なかなか斬新で「むむむ、これはイケルかも!」と、かなり期待は高まったのですが・・・ 幕が進むにつれだんだんと平凡で小粒な感じになってゆき、その後は特になにも起こらなかったのが、ちょっと残念なところでした。
でも、視覚的には総じて美しい舞台でした。
私は、聖堂を現す紗幕に描かれた絵を見ながら 「これってマニエリズモ? バロック?」
「この人、聖母マリアかな? じゃ、幼子イエスはどこどこ?」
「エマオの晩餐? いや、最後の晩餐? う~ん、こんな晩餐、初めて見たぞ。」
「そういえば、スペイン絵画ってしばらく見てないなぁ。あ、そうそうプラド美術館展がもうすぐ始まるなぁ。」
と言った具合に、オペラに関係ない勝手なことばかり考えて楽しんでいました。
要するに音楽を真面目に聴いてなかったってことか?!
◇ ◇ ◇
ヴェルディ《運命の力》
指揮:井上道義
演出:エミリオ・サージ
レオノーラ:アンナ・シャファジンスカヤ
ドン・アルヴァーロ:ロバート・ディーン・スミス
ドン・カルロ:クリストファー・ロバートソン
プレツィオジッラ:坂本 朱
グァルディアーノ神父:ユルキ・コルホーネン
フラ・メリトーネ:晴 雅彦
カラトラーヴァ侯爵:妻屋秀和
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団