« December 2005 | Main | February 2006 »

31 January 2006

「一度は見たい名画」ランキング

piero毎週土曜日、日経の朝刊と共に配られるNIKKEI プラス・ワン トップページの「何でもランキング」。

1月28日のテーマは「一度は見たい名画」でした。

その結果はというと。

1.レオナルド 《モナリザ》
  ルーヴル美術館(パリ)
2.ゴッホ 《ひまわり》
  損保ジャパン東郷青児美術館(東京)ほか
3.ムンク 《叫び》
  オスロ国立美術館(オスロ)ほか
4.レオナルド 《最後の晩餐》
  サンタ・マリア・デッレ・グラッツェ教会修道院(ミラノ)
5.ピカソ 《ゲルニカ》
  国立ソフィア王妃芸術センター(マドリード)
6.ミレー《落穂ひろい》
  オルセー美術館(パリ)
7.ミケランジェロ 《最後の審判》
  システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)
8.モネ 《睡蓮》
  オランジュリー美術館(パリ)ほか
9.ドラクロワ 《民衆を導く自由の女神》
  ルーヴル美術館(パリ)
9.フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》
  マウリッツハイス美術館(デン・ハーグ)

なのだそうです。
みなさんは、いくつ、ご覧になられましたか?

う~ん、確かに名品揃いですね。
どれもそれぞれ魅力的!
私は一応10作品全部観ているのですが、チャンスがあれば一度と言わず何度だって観たいです。(^^)

特にレオナルドの《最後の晩餐》やミケランジェロの《最後の審判》、オランジュリー美術館地下にある《睡蓮》の部屋など、建物と一体になった作品は、その作品の置かれた空間や周囲の環境あってこそ、そこに感じるものが沢山あるように思うので、また会いに行きたいなぁと思います。

そういう意味もあって、会いに行きたいと思っている作品は数限りなくあるわけですが、なかでも今一番観たいのが、ピエロ・デッラ・フランチェスカの作品です。
ピエロの生誕地イタリア・サンセポルクロにある《キリストの復活》は、死ぬまでに一度は観ておきたいです。
町に災害や事件など騒動が起こると、人々がまず最初に「大丈夫だろうか?」と心配するのが市立美術館にあるピエロの《キリストの復活》のことなのだそうです。
ピエロは今も町の誇りであり、《キリストの復活》は心の拠りどころなのですね。
そんなサンセポルクロの人々の宝物を、是非、拝見させていただきたいなと思うのです。

それと、同じくピエロの作品、アレッツォのサン・フランチェスコ聖堂にある壁画《聖十字架伝》も見たいなぁ。
イタリア行きたい!

【画像】
ピエロ・デッラ・フランチェスカ《キリストの復活》1457年頃
フレスコ、テンペラ  225×200cm
サンセポルクロ市立美術館

| | Comments (4)

21 January 2006

安野光雅 絵本『即興詩人』

anno私が画家 安野光雅さんを知ったのは随分昔のこと。クラスメイトが見せてくれた『旅の絵本』でした。
それは童話の世界とも違う、どこかに存在している街のようでいてそうでない不思議な世界で、当時、夢見る少女だった私はすっかり魅せられてしまったのでした。

この絵本『即興詩人』は、その安野光雅さんが、比較的最近2002年に出版された絵本です。

原作は、ご存じアンデルセン。1835年に書かれました。
それを森鴎外が翻訳したのが1902年でした。

安野さんは、その鴎外訳の『即興詩人』を20代半ばごろに初めて読んだのだそうです。
鴎外の雅文体と呼ばれる文章の心地よさ美しさを知ったのもこの時だったそうです。
そして、いつかこの『即興詩人』に出てくるイタリアの地を踏破しようと決めたのだそうです。

この絵本は、そんな夢を実現させ『即興詩人』の主人公アントニオの足跡を安野さんが実際に辿りスケッチしたイタリアの風景画をちりばめた、とても美しい絵本です。
優しく品のある色彩の水彩画は、私のイタリアへの憧れをますます募らせます。

安野さんは、あとがきに、夢は叶ったはずなのに「あ、即興詩人の道をいかなければ」とまた思ったのだそうです。
カプリ島を去る時、もうこの島に来ることもないと思いながらも、何年か先すっかり年をとって、杖をついて、おろおろと歩いているのじゃないかという予感もしたそうです。

私も、アンデルセンが旅をし安野さんも訪ねた土地をスケッチブックを携えて歩いてみたい。
そして、鴎外の使っている美しい文体や言葉を使って、短歌を詠んでみたいなと思ったりしています。
羅馬(ローマ)、フイレンチエ、月桂(ラウレオ)、乾酪(チーズ)などなど、何だかイイ感じ。(^^)

ちなみに、鴎外はイタリアを訪れたことはなかったそうです。

アンデルセン生誕200年展にも、時間があれば行ってみたい。

| | Comments (4)

16 January 2006

指揮者 大野和士さん

KazushiOno2006年1月15日(日)津田ホール

昭和音楽大学オペラ研究所主催の公開講座「オペラ・ハウスの芸術運営と創作過程」に行ってきました。
今回の講師は、指揮者の大野和士さんでした。

前半は、大野さんの子供の頃のオペラとの出会いや、ミュンヘンでの修行時代のお話に始まり、現在、就任されているベルギーのモネ劇場の芸術監督としてのお仕事にいたるまでの、ピアノ演奏と様々な楽しいエピソードを交えての講演でした。

大野さんが留学していた1980年代当時のバイエルン国立歌劇場は、ヴォルフガング・サバリッシュ、シュゼッペ・パタネばかりでなくカルロス・クライバーも指揮台に立っていたのだそう。
さらに、当時のミュンヘン・フィルの主席指揮者はセルジュ・チェリビダッケ!
毎日のように名指揮者達の演奏に接していたそうで、ミュンヘン時代が現在の大野さんの原点だとおっしゃってました。

ユーモア一杯のおしゃべりと、オペラのメロディーをサラリといとも簡単にピアノで弾いてくれるのを見ていて、今はなくなってしまった東フィル・オペラコンチェルタンテ・シリーズの開演前に、当時、東フィルの常任指揮者だった大野さんが毎回プレトークしてくれたのだったなぁと、ちょっと懐かしく思い出したのでした。

そして後半は、プロのソプラノ歌手とテノール歌手を交えてのワークショップ。
オペラを作り上げるために、指揮者は歌手と、どんな練習を重ねるのか、その一端を見せてくれました。
それにしても大野さんて、とってもピアノが上手なんですね~ 再認識。

今回は、ドニゼッティの《愛の妙薬》、プッチーニの《ラ・ボエーム》、ヴェルディの《椿姫》からのアリアや二重唱を取り上げて聞かせてくれたのですが、言葉ひとつひとつの持つ意味や音節までも指揮者は歌手に指示を与えるのです。オペラの指揮者って、すごいんだなぁと改めて思ったのでした。

久しぶりに大野さんのお話が聞け、とても楽しい一時でした。
そういえば、講演の中で、モネ劇場で初演されエクス・アン・プロヴァンス音楽祭でも上演された新作オペラ《ジュリー》のお話が出たのでした。
私、チケット持ってたのに、例の事件で聴けなかった公演だぁ・・・
く~ぅ(涙)

| | Comments (4)

11 January 2006

お江戸日本橋

nihonbashi1月6日付けの毎日新聞によると、なんと、小泉首相が「日本橋やろうよ。おれの任期中にまとめてくれ」と、日本橋の上に架かる首都高速道路を別のところに移す計画を進めるよう言ったのだそうです。

高速道路の撤去なんて、夢のまた夢、絶対無理だろうなと思っていたのに、もしかしてもしかしたら現実のものになるかもしれないのですね。

確かに私も、日本橋の上に覆いかぶさった頭のつっかえそうな高速道路を見るたびに「すさまじきもの」と、つぶやいている一人だし、高速道路建設当時は最善策だったのかもしれないけど、計画した人のセンスのなさには、ため息です。
ついでに言ってしまえば、最近、相次いで建った周辺のピカピカ高層ビルも、私は大嫌いです。

どうして、ここまでチグハグで、美しいという言葉に程遠い街並みが増殖してしまうのでしょうか?
私がイメージしている都市再生は、やっぱりイタリアのチェントロ・ストリコなのだけどなぁ・・・

祖母、母、私と東京下町生まれで、チャキチャキではないけど一応は江戸っ娘の私は、日本橋界隈に、かつての人と人との繋がりや活気が蘇えり、運搬や新たな人々の足として水辺を活用できるような再生プランだったら、ステキだなぁと思うわけです。

しかし、進められている日本橋再生プランの裏側というか真意をみると、前面にだしている景観や文化などという言葉は単なる隠れ蓑にすぎず、実態は、相変わらずの経済優先主義で、結局、高度経済成長時代やバブル期と考え方がちっとも変わってないことを知ってしまったのでした。あ~あ。

歴史研究者 小林信也さんのブログ江戸をよむ東京をあるくや、都市計画家 民岡順朗さんのブログパトスに、とても興味深い記事が沢山ありますので、興味のある方は、是非ご覧になってください。

それにしたって、小泉さんの記念碑!? そんな思い入れだったら、絶対反対です。

| | Comments (6)

09 January 2006

佐藤洋子『パウラ・モーダーゾーン=ベッカー』

paula佐藤洋子著『パウラ・モーダーゾーン=ベッカー 表現主義先駆けの女性画家』を読みました。

1876年ドレスデンに生まれ1907年に31歳で亡くなった女性画家パウラ・モーダーゾーン=ベッカーの評伝です。

著者は、パウラにゆかりのある街や建物を実際に訪れての取材に加え、パウラと交友のあった詩人リルケをはじめとする芸術家たちとの書簡や、夫の日記などを織りまぜ、生前のパウラの姿をイキイキと著してゆきます。
しかも、彼女を悲劇の女性画家として必要以上に美化することもなく、淡々と書きつづっているところに、私は好感が持てました。

女性が自立して生きてゆくことが今のように容易ではなかった時代、一人の画家として自立しようと苦悩し成長してゆくパウラの短い人生には、考えさせらるものが沢山ありました。

私は、彼女の作品を実際にまだ見たことがないのですが、収録された図版は、どれもとても魅力的で、その内面の表出には、時代の数歩先をいっていた非凡な才能が感じられ、驚くばかりです。
そして、忍耐と寛容で彼女を支援した画家でもある夫、物心共に理解のあった実家、そして友達。それらの存在も忘れてはいけないものだと感じました。

彼女が夭折した後、ドイツは芸術の大きな革命を迎えます。
もし、パウラが生きていたら、どんな絵を描いていたのでしょうか・・・

そのパウラの展覧会が神奈川県立近代美術館 葉山館で、3月26日まで開催されているそうなので、海でも見ながら出かけてみようと思っています。


関連エントリ 神奈川県立近代美術館 葉山館「パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展」

| | Comments (4)

05 January 2006

ザルツブルク音楽祭2005 ヴェルディ《椿姫》

netrebko先日、2005年ザツルブルク音楽祭で上演されたヴェルディ《椿姫》を、NHKのBS-hiで観ました。

とにかく、すごくよかった~
とてもシンプルだけど美しい舞台に、もう釘付け!
それはきっと、歌手もオケも演出も、全て完璧と言って良いくらい高いレヴェルのプロダクションだったからなのでしょう。

大きな弧を描いた舞台は、無駄なものを一切省いた何もない空間。その壁に、ただ一つ立てかけられた巨大な丸い文字盤の時計に、否が応でも目がいきます。
そして、その時計の前には老人が一人座っていました。

私は、この老人は、若さと美しさを奪い、最後には死へと導く「時の翁」(Father Time,時の擬人化)なのではないか?
そして、ことあるごとにヴィオレッタの傍にいる彼は、もしかして、この舞台を支配するキーパーソンなのではないか?
と、舞台の進行と共に、とても気になる存在になっていました。

指揮者がオケ・ピットに入り前奏曲が始まると、真っ赤なミニドレスに身を包んだヴィオレッタが大きな扉をこじ開け老人の座る部屋に入ってきます。
そして、この老人から、一夜で色褪せてしまうという白い椿の花を一輪手渡されオペラは幕を開けるのです。

実は、このオペラ、始まるやいなや合唱が「招待の時刻は、もう過ぎてしまった・・・」と歌い、それに対してヴィオレッタが「残った夜の時間を、楽しみに費やしましょう。」と歌ったり、第2幕で、パパ・ジェルモンがヴィオレッタに向かって「男は移り気だから、時があなたの魅力を失わせ、すぐに飽きが来たら・・・」と歌ったりと、気をつけて聞いていると、幾つも時間に関する台詞が出てくるのです。

ぐるぐるとスピードを上げて回る時計の針を止めようとするヴィオレッタの姿もありました。
遠くから見つめる老人に向かって、シャンパンのグラスを投げつけるヴィオレッタもいました。

そして物語はすすみ、第3幕、ヴィオレッタの病室に、またあの老人が現れます。(というより、2幕の終わりからずっと居たのです。コワイ!)
そうなんです! ヴィオレッタの影にいつも寄り添っていた時の翁は、グランヴィル医師だったのです。
そして極めつけがグランヴィルがアンニーナに小声で「時間の問題です。」と、ヴィオレッタの病状を伝える言葉です。

私も、今まで数多くの椿姫を見てきたけれど、今回ほどメメント・モリを、強く感じずにはいられない演出は、他にありませんでした。

賛否両論あるでしょうが、私はこういう演出が好きです!(笑)


歌手で特筆すべきは、やっぱりヴィオレッタを歌ったアンナ・ネトレプコの活躍。
彼女なくして、この舞台の成功はなかっただろうし、彼女のために作られたプロダクションと言っても過言ではないと思いました。
特に、天真爛漫な彼女の素のキャラクターをそのまま活かしたような第2幕第1場の演出は「ちょっと元気よすぎやしない?」と思わなくもなかったけれど、これまでの高級娼婦ヴィオレッタのイメージをガラリと変えることができたのも、ネトレプコだったからこそでしょう。
美貌、声、歌唱力、演技力と、恐ろしいほど沢山の才能を持ち合わせた、とにかく凄いソプラノです。

それから、トマス・ハンプソンも、今までに見たことのないパパ・ジェルモンを熱演してました。
本気で息子と殴りあいしちゃいそうな若いパパって感じが新鮮で面白かったです。

そして、大抵、期待していて裏切られるのがアルフレード役なのですが、今回の ロランド・ビリャソンは違いました。
歌も声も安定しているのに、とても若々しく、久しぶりに良いアルフレードに出会えたなぁと嬉しくなりました。

何はともあれ、素晴らしい《椿姫》でした!
一度でも真剣に恋をしたことのある女性なら、涙なしには見られない舞台だと思います!(笑)


2005年8月7日 ザルツブルク祝祭大劇場
ヴェルディ《椿姫》
指揮: カルロ・リッツィ
美術 : ウォルフガング・グスマン
演出 : ウィリー・デッカー
ヴィオレッタ:アンナ・ネトレプコ
アルフレード: ロランド・ビリャソン
ジョルジョ・ジェルモン:トマス・ハンプソン
グランヴィル医師: ルイージ・ローニ
合唱: ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

| | Comments (12)

« December 2005 | Main | February 2006 »