ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》@新国立劇場
ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》を観てきました。
先日《ホフマン物語》でステキな舞台を見せてくれたフィリップ・アルローの新作です。
私、これで、もうすっかりアルロー・ファンになってしまいました。
実は、このオペラ、聴くのも観るのも今回が初めてでした。
何やらフランス革命の頃の話らしいということだけはチラッと耳にしたものの、あらすじも知らずに舞台に臨んでしまったのです。
でも、その先入観ゼロがかえって良かったようです。
白を基調とした洗練された舞台美術。
立体的な照明。
断頭台の刃をイメージさせる斜めの線や傾いた壁。
それらが上手く調和した舞台は、どの場面も造形的にとても美しく、絵画作品を鑑賞しているような気分になりました。
それもそのはず、アルローは、第一幕はフラゴナールなどのロココ絵画を、第二幕はドラクロワの《民衆を率いる自由の女神》を、第三幕はゴヤの暗い時代を象徴する絵画を、第四幕はカスパル・ダーヴィト・フリードリヒの世界を素材として使ったのだそうです。
う〜ん、なるほどねぇと、強く感心させられてしまいました。
兎に角、品位を保ちながらフランス革命や恐怖政治をダイナミックに表現している凄い演出だと思いました。
そんな訳で、音楽ファンのみならず、美術ファンの方にも是非見て欲しいプロダクションです。
それから、開演前に「ルカーチは風邪をひいていますが、ベストを尽くします。」とのアナウンスが入りましたが、全く心配ない歌いぶりでしたし、タイトルロールのカール・タナーも熱演でした。
特に、ジェラール役を歌ったレイフェルクスが野性味ある歌を聴かせてくれて、バリトン好きの私は大満足でした。
先日のモリスといい、やっぱりバリトンがイイと作品がしまりますね。
◇ ◇ ◇
ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》
指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
演出・美術・照明:フィリップ・アルロー
アンドレア・シェニエ:カール・タナー
マッダレーナ:ゲオルギーナ・ルカーチ
ジェラール:セルゲイ・レイフェルクス
ルーシェ:青戸 知
密 偵:大野 光彦
コワニー伯爵夫人:出来田三智子
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団