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05 December 2005

ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》@新国立劇場

chenier032005年12月2日(金)
新国立劇場 オペラ劇場

ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》を観てきました。

先日《ホフマン物語》でステキな舞台を見せてくれたフィリップ・アルローの新作です。
私、これで、もうすっかりアルロー・ファンになってしまいました。

chenier04実は、このオペラ、聴くのも観るのも今回が初めてでした。
何やらフランス革命の頃の話らしいということだけはチラッと耳にしたものの、あらすじも知らずに舞台に臨んでしまったのです。
でも、その先入観ゼロがかえって良かったようです。

白を基調とした洗練された舞台美術。
立体的な照明。
断頭台の刃をイメージさせる斜めの線や傾いた壁。
それらが上手く調和した舞台は、どの場面も造形的にとても美しく、絵画作品を鑑賞しているような気分になりました。
それもそのはず、アルローは、第一幕はフラゴナールなどのロココ絵画を、第二幕はドラクロワの《民衆を率いる自由の女神》を、第三幕はゴヤの暗い時代を象徴する絵画を、第四幕はカスパル・ダーヴィト・フリードリヒの世界を素材として使ったのだそうです。

う〜ん、なるほどねぇと、強く感心させられてしまいました。

chenier01兎に角、品位を保ちながらフランス革命や恐怖政治をダイナミックに表現している凄い演出だと思いました。
そんな訳で、音楽ファンのみならず、美術ファンの方にも是非見て欲しいプロダクションです。

chenier02それから、開演前に「ルカーチは風邪をひいていますが、ベストを尽くします。」とのアナウンスが入りましたが、全く心配ない歌いぶりでしたし、タイトルロールのカール・タナーも熱演でした。
特に、ジェラール役を歌ったレイフェルクスが野性味ある歌を聴かせてくれて、バリトン好きの私は大満足でした。
先日のモリスといい、やっぱりバリトンがイイと作品がしまりますね。

   ◇  ◇  ◇

ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》

指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
演出・美術・照明:フィリップ・アルロー
     
アンドレア・シェニエ:カール・タナー
マッダレーナ:ゲオルギーナ・ルカーチ
ジェラール:セルゲイ・レイフェルクス
ルーシェ:青戸 知
密 偵:大野 光彦
コワニー伯爵夫人:出来田三智子

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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02 December 2005

オッフェンバック《ホフマン物語》@新国立劇場

hoffmann012005年11月30日(水)
新国立劇場 オペラ劇場

一昨日、オッフェンバックの《ホフマン物語》を観てきました。

2003年に初演されたフィリップ・アルロー演出のプロダクション。
特にアントニアの幕は、舞台美術の完成度も高く、オッフェンバックの音楽も充実していて「いいなぁ、好きだなぁ」って、そういえば2年前に観た時も、同じこと言ってたなぁと思い出したのでした。

詩人ホフマンを歌ったクラウス・フロリアン・フォークトは、若々しく勢いある歌を聴かせてくれました。
特に高音の伸びがよくスカッとした声は魅力的でした。
その分、どちらかといえば体育会系ホフマンって感じではあったかも。

hoffmann02圧倒的な存在感で舞台を引き締めていたのが、ジェイムズ・モリス。
深みのある声、堂々とした舞台姿、ステキでした。
悪役がバシッと決まると物語にめりはりが出て舞台がとても盛りあがりますね。

hoffmann03それにしても残念だったのは、空席が多かったこと。
2階正面ブロックなんて1列目しか埋まっていませんでした。

人形オランピアのアリアは歌も振りも楽しいし、良く知られた「舟歌」も出てくるし、壮大なエピローグと聴きどころ見どころの多い楽しいオペラだと思うのだけど・・・

人気ないのかなぁ。

   ◇  ◇  ◇

ジャック・オッフェンバック《ホフマン物語》

指揮:阪 哲朗
演出・美術・照明:フィリップ・アルロー

ホフマン:クラウス・フロリアン・フォークト
ニクラウス/ミューズ:加納 悦子 
オランピア:吉原 圭子  
アントニア:砂川 涼子  
ジュリエッタ:森田 雅美

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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