須賀敦子『こうちゃん KO-CIAN』
「あなたは こうちゃんに あったことが ありますか。」
こんな一文から、このお話は始まります。
こうちゃんて、だれだろう。
こうちゃんて、いったいどんな子なんだろう。
色んなことを考えながら読み進むうち、ふと気がつくと自分の中のこうちゃんに出会うのです。
いつの間にか季節が巡ってゆきます。
気がつくとイタリアの古い街を歩いています。
酒井駒子さんの美しい挿し絵と、優しいことばであふれた須賀さんの文が、読むものを、ふっと涙があふれてきそうな懐かしい世界につれていってくれる極上の絵本です。
初出は、1960年、ミラノのコルシア・デイ・セラヴィ書店から発行された「どんぐりのたわごと」第7号。
イタリア語でも同時に出版されたそうです。